物語の終わりに、愛し合う2人は死んだ。
ユウキは本を閉じた。
借り物のその本は題名だけ知っていて長い間読んだことがなかったものだった。
内容は至って悲劇的、それしか形容しようがない気がした。
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「何度読み返しても、2人は死んじゃうの」
本を受け取ってハルカは言った。
「…本だからな」
「そうだよね」
目を伏せてハルカは笑った。そんな顔をしてほしかったわけじゃないのに。
「けど、悲劇だからこの物語は忘れられないんだよね」
ハルカが本の表紙をなぞる。結末を知らない二人は幸せそうに抱き合ったままで、この先もずっとこのままだ。
「…悲しいおかげで、うまくいかなかったおかげで、記憶の中で生き続けられる二人は幸せなのかな」
「分からない」
分からないけど、おれはそんな幸せも終わりも嫌だ。
「ハッピーエンドを繰り返そうよ」
裏返せば表紙の2人は呆気なく居なくなった。
風でなびいたカーテンの隙間からやけに明るい光が入ってくる。
何故なら部屋の時計は引っ越してきたその日に合わせてからずっと同じ、これまでもそしてこれからも動き出すことのない永遠に午前6時47分。
好き合う二人のBADEND
ごめんね、あんまりうまくできてないんだ。