「こんにちは、市ちゃん!もうホンマ久々やなあ」
「今日は朝まで恋ばなやからな!小春の良さを語り合うで!」
「…どうでもええですけど何で部長もおるんですか?」
「まあまあええやないか、俺も織田さんと話してみたかったんや」
「……チッ、ライバルが増えたんか」
ボソリと財前は呟いた。
「こんにちは…小春さん、一氏さん、光さん、白石さん……今日はよろしくお願いします…」
頭を下げた市に4人は「こちらこそ」と返した。
今日は市の一泊二日の故郷堪能デーである。
時折大阪にやって来て、小春や財前の家でお泊り会(メンバーは小春、一氏、財前、市)が開かれている。
そんなお泊り会に今回初参加となったのは白石だった。
以前練習試合で会った時も素の市と話が出来なかったこともあり、市が大阪に来ると聞いて無理に参加してきた白石。
「白石さんは初めて参加よね…遅くまで起きているけれど平気なの……?」
「俺は先に寝てまうかもしれんな。まあそれまでは楽しく話そうや」
「ええ……」
「市先輩、荷物持ちますわ」
そんな二人の様子が面白くない財前が割って入り、市の荷物を持った。
「ありがとう…でも、重くない…?」
「こんくらい慣れとるんで平気ですよ」
「へえ…なあ小春とユウジ、財前織田さんのことが……」
白石が二人に話し掛ける。
「あら〜蔵リンたら鋭いやないの〜。大当りやで」
「けど、まだ市のことはアイツにはやらんで」
「ユウ君たら嫉妬妬いちゃってーか・わ・え・え!」
「小春ーっ!小春の方が俺の何億倍もかわええでー!!!!」
「ユウ君…!」
「小春…!」
「はいはい、そこのホモップルはいちゃつくのは止めえや」
白石が二人を止めに入る。
「……って、財前。織田さんは何処や?」
「は?さっきまで俺の後ろを歩いとったんですけど」
白石が近くにいた筈の市がいないことにふと気がついた。
「まさか市ちゃん、迷子になって…!」
「携帯は……駄目や、荷物の中に入っとるわ」
「とりあえず探さんとな」






















「あれ、あん時のマネージャーさんじゃなか?」
「えー、と…千歳さん……?」
「当たりばい。こげなとこでどぎゃんしたとよ?」
「小春さん達とお泊り会…けれど逸れてしまって……」
「楽しそうばい。俺も参加してもよか?」
「何処に行けば合流出来るかしら……」
「家に行けばよかよ、誰の家でやると?」
微妙にかみ合わない応酬に、近くで様子を見ていた謙也が話し掛けた。
「ちゅーか、なんやねん!話かみ合っとらんわ!」
「そんなことなかー、なあマネージャーさん」
「ええ……」
「え、俺が間違っとたんか……ってちゃうわ!おかしかったわ!とにかく織田はよう分からんけど行きたいとこがあって、千歳はそこに案内するっちゅー話やな?」
「凄いわ、謙也さん……市達の会話を簡単に要約するなんて……」
純粋に驚いている市ととりあえず頷いている千歳に頭が痛くなるのを感じた謙也だったが、携帯に掛かって来た電話に出た。
「光?どないし」
『謙也さん、ちょお足しか取り柄ないんやから頼まれてくれません?』
「酷い言い草やな……」
『ハッ、本当のことを言うただけですわ。……とにかく、市先輩を見つけたら連絡してください』
「え、あ、ちょおま」
ブツッ、ツーツーツー。
一方的にまくし立てられた挙句話も聞かずに切れられた謙也はとりあえず携帯を仕舞った。
「何となく事情は分かったから財前の家に行くで。そんで千歳、お前はどっかフラフラ行かんで着いて来るんや。ちゅーかせんかったら置いてく」
「分かっとるばい」
一番心配な千歳に一応釘を刺し、謙也は市の手を握った。
「………?」
「、別にちゃうからな!逸れたら大変なだけやからな!」
よく分かっていない市にしっかり説明して歩き始める。
「謙也だけずるかー。俺もマネージャーさんと手を繋ぐばい」
市の空いている手を握りにこー、と笑顔を浮かべる千歳。
こうして、目立つ三人組は財前の家へと手を繋いだまま歩いて行くのだった。




















「とりあえず謙也さん、そこに正座して部長のインナーマッスルとやらをガン見しててください」
「嫌に決まっとるやろ!」
連れて来たのにその態度はないやろ!と謙也は軽く涙目になりつつ抗議した。
その隣では白石が「んんーっ絶頂!」と叫びながら上半身裸で筋トレをしている。
「しかも俺だけ!何やねんホンマ!」
「ああ、千歳先輩はそういった目で市先輩のこと見とらんので」
「俺かて見とらんわ!」
「は?謙也さん市先輩の良さが分からんとかないっスわ」
「理不尽!?」
ぎゃーぎゃー騒ぐ謙也と淡々と返す財前を尻目に小春と一氏、千歳に市はのんびりお茶を飲んでいた。
「もうっホンマ心配したんやからね」
「勝手にいなくなんなやボケ」
「ごめんなさい……」
しゅんとした顔で謝る市の頭を撫でながら千歳は言った。
「仕方なかよ。次から気を付ければよかー。……にしてもほんにマネージャーさん、むぞらしかよ。キツネリスみたいばい」
「キツネリス?……ああ、あのジブリに出とるやつか」
「ホンマに千歳きゅんはジブリが好きなんやな」
「ジブリ……市は中トトロが好きよ…抱きしめたい……」
「! 俺もばい!きっとフワフワで気持ちよかよ」
ほんわかと笑う千歳に釣られて市も自然な笑みを浮かべた。
「(何か千歳きゅんと市ちゃんが一緒におるの見ると和むなユウ君)」
「(ホンマ、何でか分からへんけどな。……でも小春、俺は小春を見ると和むで。小春は俺の天使やからな!)」
「ユウ君……っ」
「小春………っ!」
「そこーいちゃつくんは風呂場くらいにしとき」
「やだ、蔵りんたら!妬かんでも蔵りんにもピーしてあげるから!」
「いや、いらんから」
服を着ながら白石は言った。
「にしても…随分と大人数になりましたね、部屋は開いとるのは二部屋やから…」
「全員で一部屋で寝ればええやないか」
「部長、本気で言うてはりますか」
「いつでも俺は本気やで?」
「………まあええですけど。布団は人数分ないんで」
「じゃあ俺はマネージャーさんの隣がよかよ」
「うーん…しょうがないから今回は千歳きゅんに譲るわ」
「よろしくね……千歳さん…」
「俺も市先輩の隣ですから」
寝る場所を決め、全員で輪になって座る。
「それじゃあ恋ばなでもするで!」
小春の言葉で恋ばなが始まった。


―――
ヘル様リクエスト『緋色主で四天との絡み』でした。
金ちゃんとは会ったことがまだ本編でないのでいません。
小石川さんや銀さんも欠席。
ちょっと自分の中で千歳可愛いよ千歳となっていたのででしゃばりました←
ヘル様のみお持ち帰り可能です。


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