「幸村さん、遅れてごめんなさい……」
「ああ、平気だよ。調度コートの準備も終わったところだし」
「織田がテニスをしていたとは」
「赤也と一緒にいた時に赤也の経験を臨時体験してたみたいで…フォームなんかが分かるようになってたみたい……」
市の言葉に柳はノートを開き書き込んでいく。
「でも織田って体力なかったよな?大丈夫なのかよぃ」
「ええ…市、意外と丈夫なのよ……」
「織田さん、無理はいけませんよ。この間の合同体育で貧血で倒れていたじゃないですか」
柳生が眉尻を下げながら注意する。
「む、ならば織田は見学の方が」
「真田、ちょっと黙ってて」
「う…うむ」
ピシャリと真田を黙らせ、幸村は微笑みながら市に手を差し出した。
「じゃあ織田さん、今日は俺とやろうよ」
「ええ、お手柔らかに……」
「なら俺が審判をやるナリ」
「織田先輩、頑張ってくださいね!」
「市、これ以上続けられないと思ったら棄権しろよ?」
「大丈夫よジャッカル……」
ラケットを手に持ち、市はコートへと入った。
「へえ、赤也のと色違いなんだ」
「ええ…赤也と選んだから…」
「そっか。…フィッチ?」
「スムース」
「当たり、サービスとレシーブどっちを取る?」
「サービスでお願いするわ…」
ボールを受け取り、位置へと二人が立つ。
「ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ・織田サービスプレイ!」
「お手並み拝見だな」
「柳先輩、織田先輩は別に選手じゃないんスから…」
「そうは言ってもやはり今後試合をする可能性もあるからな」
ノートを片手に柳は試合を見ながら言った。
「おや、幸村君のボールに食らいついて行っていますね」
「赤也のプレーに似たものを感じるな」
「臨時体験したってやつか?」
二人のラリーの応酬に分析をしながら全員が眺める。
「織田さん、君本当に凄いね……!俺のボールを落とさずについて来る、しっ!」
「そう、かしら…?」
会話しながら試合をする二人。
「……そろそろじゃねえ?幸村君のイップスが発動すんのって」
「危険だと思ったら止めに入らなくちゃな」
全員が身構え、暫く試合を見つめていると。
「っ!」
市の体が僅かにぐらついた。
「どうやら始まったようだな…」
真田の声に、全員で頷く。
「…織田さん、俺は本気でいくよ」
鋭い目をした幸村は言う。
「ええ……市も本気でやるわ…」
光すら反射させない暗い黒の瞳を見えない筈の幸村へと向ける。
「織田先輩、見えてるんスかね?」
「……いや、見えていないだろうな」
「だったら何であんなに的確にボールを返せるんだよぃ!?」
「15-30」
「幸村から点を取った!?」
ざわめくレギュラーを尻目に、幸村は息を整える。
「織田さん、本当に君は凄いよ。始めからラリーがこんなに続くなんて思わなかったからね。…真田といい勝負だよ」
「……、ありっがと……う」
「市のやつ、もう息も絶え絶えじゃねえか!」
「止めに入るべきではないでしょうか…?」
市の様子に柳生とジャッカルが止めに入ろうとする。
「いや、待て。どうやらまだ平気らしい」
柳が二人を留まらせる。
「ですが柳君!」
「織田はまだやろうとしているぞ」
「本人の意志を尊重せねばな」
柳と真田が言った言葉に渋々ながら柳生は黙った。
「織田がサービスゲームをキープしたぜ!」
丸井の言葉に全員が目を向ける。
「ゲームカウント1-0」
「ウォーミングアップは終わりだよ、織田さん」
楽しそうな声色で幸村は言った。
「負けないわ…」
ギュッとラケットを握り直して市は幸村からのサーブを待った。



























「ゲームセット・ウォンバイ・幸村6-2」
「ありがとう、ございました……」
「こちらこそどうもありがとう。また試合しよう、織田さん」
「織田、お疲れさんじゃ。ほれ、幸村お前にも」
二人にスポーツドリンクを渡す仁王。
「ありがとう、仁王」
「あんだけ凄いモンを見せられたらの。…それじゃあ柳生、組んでブンちゃん達をメッタメタにしてやるぜよ」
ヒラヒラと手を振り仁王が言った。

―――
遥様リクエスト『緋色主が立海メンバーとテニス』でした。
誰と試合させるかとなった時にアミダで決めたら幸村になりました←
柳生辺りと試合させれば良かったかもしれないと思ってます。
遥様のみお持ち帰り可能です。


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