クリエイティブ精神
 

素敵に無敵な生徒会長様の手塚君と仲良くなって二日。
手塚君と凄い趣味が合うって知った。
「手塚君、これこの間言ってたやつ」
「ああ、すまない」
CDなんかも意外と聞くらしい手塚君。
流石にたまにはだけどロックなんかも聞くと聞いたときは驚いたよ、うん。
「あれ、手塚ーいつのまに女の子と仲良くなったのにゃ?」
近くにいたらしいテニス部の菊丸君に冷やかされる。
……手塚君めっちゃ困ってる!
うんそうだよね、あのあと聞いた話じゃオタクだってこと隠してるらしいし。
オタク仲間、とか言えないもんね!
………あれ、何か手塚君私をチラチラ見てる。
言っていいのか?的な目で見てる。
手塚君が良いなら言っていいよ、てか私と手塚君がオタクとか信じる人がいるとは思えないし。
とりあえず頷くと手塚君はホッとした顔で言った。
「金代とは親友だ」
ガタガタッ。
確実に時間が止まった。
手塚君、凄い嬉しそう…表情には殆ど現れてないけど。
「手塚ごめん、にゃんか俺疲れてるみたい。ちょっと保健室行ってくるねー」
…よっぽど否定したかったらしい菊丸君は去って行った。
気持ちは分からなくはないけど、何か酷くない?
「手塚君、」
「? やはり駄目だったか?」
「あ、いやそういうんじゃなくて。周りが固まってる」
「……………」
押し黙った。
「…グランド10週!」
手塚君、もしかして照れ隠しですかマジ私の萌えントを突いてくるねラブ!
とにかくその言葉に正気になったらしい周り。
手塚君すげえ。
























閑話休題。
私は〈によによ動画〉というサイトで歌ってみた動画を投稿している。
『刹』という名前なんだけど、結構歌うのは楽しい。
今はちょっと忙しかったから投稿出来てなかったけど…そろそろ投稿しようかな。
てかコラボしてみたいな、一度もやったことないし。
誰か知り合いに…って言っても都合よく歌ってみた投稿してる知り合いはいない。
「うーん…」
「金代、どうかしたのか」
「いや、誰かコラボしてくれないかなって…」
「コラボ?」
あれ、今私普通に答えてたけど誰と話してたよ。
振り向くと手塚君だった。
…近っ!
「コラボというのは何のコラボだ?」
「え、あーいや…言葉のあやと言うか何と言うか」
「俺には話せないことか?」
「いやいやっ、そんなことないよ!」
だからギャップ萌ええぇぇぇ!
結局洗いざらい話しました。
あああ、恥ずかしい…手塚君にバレた…。
「お前が『せっつん』だったのか…」
え、何か知ってるし。
つか『せっつん』って知ってる…え?
「俺は『刹』のファンだ」
「えええぇ」
嬉しいけど複雑だ…。
「歌ってみたのコラボか…俺でよければやらせてもらう」
「え、良いの?」
「ああ、俺もたまにはコラボで歌いたかったからな」
「たまには?…もしかして手塚君も」
「『零』だ」
「あの有名な!? 『エロやかボイス』の!?」
「あ、ああ…」
手塚君が引いてるのはスルーだスルー。
私の食いつきっぷりが凄いのは零さんが私の原点だからだ。
元々によによ動画を見ていたりはしてたけど、零さんの歌ってみた動画を見て私も投稿するようになった。
本当に尊敬してた人がまさか手塚君だったなんて…!
「何の歌を歌うんだ?」
手塚君大人だ。
私の態度を見なかったフリして普通にしてるし。
……うん、もう落ち着いたから大丈夫。
「まだ決めてない」
「そうか、ならばこのあと決めるか?」
「うん、そうしよう。何処で決める?家来る?」
「家か?行って構わないのか?」
「手塚君なら大歓迎だよ」
「なら邪魔させてもらおう」
手塚君を連れて家にと向かう。
…男の子家に上げるの初めてだから緊張する、助けて。
「あ、此処。入って入って」
「お邪魔します」
「あ、いらっしゃい!泉李が男の子連れて来るなんて…彼氏?彼氏なの!?」
「手塚君は親友だから」
「金代…!」
手塚君の感動したような声に私は笑った。
てか何でお母さんがいるんだろ、今仕事中じゃないの?
「泉李、今私は休憩時間だったから忘れ物を取りに来ただけよ。……あ、お菓子は冷蔵庫の中だからね。それじゃあ手塚君ごゆっくり」
言いたいだけ言って出て行った。
「……何かごめん、」
「いや、大丈夫だ」
私の部屋へ案内して、飲み物とお菓子…あ、ケーキを用意して部屋に戻る。
「手塚君、ケーキどっちがいい?」
「ではモンブランで」
「はい、了解」
モンブランと紅茶を出す。
私はショートケーキだ。
「じゃあどうしようか」
パソコンを立ち上げて尋ねると、手塚君は少し考え込んでから言った。
「五輪Pの新曲が男女のデュエット曲だった筈だ」
「……よし、それで行こう」
「とりあえずカラオケ音源を落として…あ、マイクこれでいい?」
「ああ、大丈夫だ」
二つあるうちの一つを手渡し、一回聞く。
「それじゃあ私が手塚君に合わせて歌うよ」
「すまないな」
「じゃあ一回通しで録ってみよう」
「ああ、油断せずに行こう」






















「あー緊張した…」
「ではあとはノイズなどを取り除いておく、」
「お願いします」
何とか録り終わって、ケーキを食べる。
手塚君、何かごめんよ…任せちゃって。
「あ、動画の絵はどうする?」
私は手書きでやってるけど、手塚君は元の絵を使うからなー…。
「金代、書いてくれないか?」
「喜んで!」
手塚君に任されるなんて光栄だ、頑張るよ!
「じゃあどんな感じが良いかだけ決めよっか」
ササッと紙にイメージを幾つか書いて見せる。
「…この対になっているものはどうだ?」
「あ、これ?これならこうやって…」
なんて話し合い、時間も遅くなったから手塚君は帰って行った。
よし、頑張って絵を仕上げよう!



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