やだこのイケメン
 

これは白石君に頼まれて千鶴ちゃんコスをしていたときの話だ。
この日、学パロVer.の千鶴ちゃんが見たいとかで服とウィッグ、化粧品を持って家に白石君がやって来た。
『おはスタシー金代さん!』
『ああ、おはよう白石く…いや待て、何故朝早くから白石君がいるの?しかも普通に家に馴染んでいる…だと…』
『ああ、今日金代さんの両親が朝早くから出掛ける言うて出てったで?』
『え、マジで?よっしゃ、今日は一日中によ生やるか』
『残念やけどによ生はまた今度や。今日は金代さんにお願いしに来とるんやけど…ええか?』
そんなこんなで丸め込まれた結果がこれだよ!
ナンテコッタイ。
ちょっとだけ体より大きいブレザー型の制服。
ポニーテールにピンクのリボン。
千鶴ちゃん学パロVer.である。
いやまあ普通の女の子には見えるからまだマシだけど…え、何?
この格好のままデートするの?
そんな私の疑問は総スルー。
流石白石君半端ねえ。
そして完璧なデートプランは考えてあるとのことだからまずは待ち合わせからだとか。
「うあー、てか初デートがこれってどうなの…?あ、でもむしろ白石君的には千鶴ちゃんな訳だしノーカウントですね分かります」
一人でブツブツ呟いていたら、後ろから声を掛けられた。
「彼女一人?」
…うわあ。
今時こんなテンプレなナンパがあったのね…!
なんて振り向けば二、三人のお兄さん。
しかし普段から国光君達と一緒にいたからかまあまあかっこいい部類に入るだろうお兄さん達が全く持って普通の人に見える。
うん、だって…ねえ?
「彼女一人なんだろ?だったら俺らと一緒にカラオケにでも行こうよ」
「ほら、お金ならこっちが払うし…な?」
だが断る、なんて言えないのがこの格好である。
ていうか白石君に怒られそうだよねってのが本音ですはい。
「い、いえ…私は」
勿論千鶴ちゃんボイスで断ろうとしたけど逆にお兄さん達は盛り上がる。
「声も可愛いじゃん!こんな可愛い子とカラオケに行けなかったら俺ら死んじゃうって、なっ?」
どんな理屈なの…そして化粧効果ぱねぇっす。
勝手に盛り上がっているお兄さん達に引っ張られる。
いやー止めてーアッーて展開はまだ早…!
「自分ら、悪いけどこの子俺のツレやねん。早う此処からどっか行ってくれへん?」
ぐい、と肩を引き寄せられる。
「し、白石さ…っ」
「大丈夫やで、千鶴ちゃん」
千鶴ちゃんモード全開の私に白石君、大分にやけてるよね。
むしろ内心絶頂って言ってるよね?
そんな感じでナンパのお兄さんを追い払ってくれたのが白石君でした。
「あー…マジで助かった。てか腕やばいね、白石君離してくれ本当に」
「……」
「あれ、白石君?え、マジでどうしたし」
真顔ですねナンテコッタイ。
しかし改めて見るとやっぱりイケメンだよね、あはは羨ましい。
とか考えてたら白石君が徐々に近付いて…え、何これ。
何フラグ?
待て、本当に待てむしろ待ってくだしあ。
まだファーストキスもまだな私にはどうやら荷が重過ぎたようだ…ぐはっ。
「金代さん、ホンマやったら逃げられたやろ」
「あはは…」
はいバレてらっしゃる!
まあ某白菜ヘアーなお方と軽く喧嘩(まあ私が逃げてるだけの簡単なお仕事だけどね!)とかしてますからキリッ。
「いやー千鶴ちゃんはしないでしょ?そういうの」
「そういうのはナンパされとったら関係ないやろ。あないな怖いモン…」
何やらトラウマがあるらしい白石君が若干顔を青くした。
「まあ今日一日は俺が守ったるわ」
やだ何このイケメン。
国光君いなかったら惚れるわー。



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