すわと零と刹
 

「財前君!」
「二人ともよう来ましたね」
相変わらずのクールっぷりの財前君と再会しました。
……手塚君とは違ったかっこよさだね!
「…にしても、何で金代さん学ランなんですか?」
「あー…他に着れそうな服がなかった」
「逆にそれ凄ないですか?」
財前君にツッコミを入れられた。
財前君もツッコミするんだ………!
何だか妙な感動を覚えながら、移動を始めた。






















「烏龍でええですか?」
「あ、うん。ありがとう」
「それと土産の茶菓子だが…善哉で良かったか?」
「おおきに、」
…あ、財前君嬉しそうだな。
うん、そういえばこの間のカラオケのときも善哉頼もうとしてたもんね。
「曲のことなんですけど、とりあえずミクとがくぽに歌わせたんで聞いてもらえますか」
一段落ついて、財前君が切り出した。
「うん、オケオケ。何か楽しみ」
「ああ、そうだな」
「人に聞いてもらうんは初めてなんでスわ、きっちり感想欲しいんでよろしゅう頼んます」
そう言うと、財前君はパソコンを操作して曲を流し始めた。
曲は何処か寂しげな音から始まってミクの独奏。
サビに入るといきなりテンポが上がって楽しげになって、がくぽも一緒に歌い出す。
二番はまた寂しげな音に戻ってがくぽの独奏。
サビの近くになるとミクが追い掛けるように輪唱を始めてサビで追いつく。
サビは一番のものよりアップテンポになって歌い上げる。
最後は二人のハーモニー。
高い音と低い音が上手く調和して、最後になったトライアングルの音が余韻となって部屋に響いた。
「……どうですか、二人とも」
暫くの沈黙のあと、財前君はそう私達に聞いてきた。
「うん、…とりあえず聞きたいんだけどこれ曲の内容って何か元にしたものがあるの?」
妙に具体的で怖いんです。
私の質問に財前君は軽い口調で答えた。
「ああ、二人のイメージで作ったんで」
「マジか。言っとくけど私あんな寂しげじゃなかったからね」
愛と勇気だけが友達だったけどね!
…あれ、どっかで聞いたフレーズだ。
「先程聞いた中で気になる歌詞があったんだが…」
「ああ、はい。何ですか手塚さん」
「この『一人孤高のプレイヤー』とは、俺のことなのか?」
「そうですわ」
……財前君の中で手塚君はどんなイメージなんだろう。
ちょっと気になったけど、そんなこと言ってる場合じゃないよねうん。
「曲は良かったと思うよ。…でも、あの最後のハーモニーを表すのは大変かもしれない」
「一応二人に歌ってもろたときに出せていた音域で一番上手くハモるところを選んだんで、」
そんなことまで分かるんだ、財前君!
「録るのは出来るなら今日やりたいんやけど、……二人ともやれます?」
「俺は大丈夫だ」
「あったりまえさ!」
何かワクワクしてきた!
テンションが上がりすぎて抑えられない…だと…!?
ああもう本当誰か止めてくれ。
「じゃあ俺が音録るんで、一回通しやりますよ」
手慣れた様子で用意を始める財前君。
……?
何で手慣れてるんだろ。
財前君はボカロ専門だからこういったものは得意かもしれないけど、録音の仕方とか違うよね。
マイク使っての録音はない筈だし。
何で?
「金代、この部分の音を合わせたいのだが」
「あ、ごめんごめん手塚君。じゃあ手塚君が出した声に合わせて私が声出すよ」
おっといけない。
確かに気になるけど今はこっちに集中しないとね。
せっかくのコラボなんだし。
あとで聞けばいいよあとで。
「じゃあ声の調子が整ったら教えてください」
「了解だよん!」
「あ、厳しく見ていくんで頼んますわ」
「…………え」



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