日常ブログ
 

「手塚、そのキーホルダーどうしたの?」
不二に聞かれて、俺はテニスバックにつけていた根付を見遣った。
「これは・・・友人に貰ったものだ」
金代から貰った根付を軽く触りながら答えた。
「へえ、その子いい趣味してるね。今度会ってみたいな」
少しだけ驚いたような顔で言う不二に少々迷ったが、俺は首を横に振った。
「……すまないな、」
「いやいいよ。それにしても手塚、その子と本当に仲がいいんだね」
「…?」
「だって、君はいくらキーホルダーを貰ったからってテニスバックには付けないよ」
無意識の行動について指摘され、俺は思い返してみた。
………確かに、今までテニスバックにはこういった類いのものは付けたことがなかったな。
「だからよっぽど気に入った子なのかなって思ってね」
不二はそう言うと、お先にと部室から出て行った。
「……気に入った、か」
その声が誰もいない部室に響き渡った。


















「手塚君!今日はゲーセンで太鼓の鉄人やろうよ」
門の近くで待っていた金代と合流した。
「あー…でもポッ〇ンもやりたいかも」
「……太鼓の鉄人なら新しい機種が入った場所を知っているが」
「じゃあ太鼓の鉄人やろう!」
俺の趣味を唯一知っていて、尚且つ普通に接してくれている金代。
むしろ趣味も合い、家族以外で気を許すことが出来る大切な親友だ。
…今まで出会った誰とも違うかけがえのない存在。
「金代、ありがとう」
「え、今感謝されるようなことしたっけ?」
不思議そうな金代の声に自然と笑みが浮かんだ。
「おおう、手塚君笑った!かっこいいようん。しかしかっこいいより可愛いって言葉を送りたいいやむしろかっこ可愛いでお願いします」
「グラウンド10周だ!」
「手塚君の照れ隠しktkr!」
……いや、時たま着いて行けないときもあるが。
そんな金代のことも受け入れていきたいと思う。
金代が俺を受け入れてくれたように。





















「……何や財前、どないしたん?」
「…や、何でもないっスわ」
ブログ巡りをしていたらふと辿り着いたとあるブログ。
名前こそ偽名になってるけど、明らかに手塚さんのブログだと分かる。
…ちゅーか何や見つけたことを忘れたなってきた。
日記感覚で付けとるみたいやけど、無意識でクサいこと書き過ぎやろ。
「あー…これ、見んかったことにしとくかな」
カチカチ、と携帯の電源ボタンを押し携帯を閉じた。
次会うとき、どないな顔して会うかな。
「とりあえず帰ったらすぐに新曲作ろかな」
二人にピッタリの、凸凹なそれでいて噛み合う曲を。



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