#04

コツ、コツ。
足音だけが響き渡る。
「…さあ、次の階に上がりましょう」
「ちょ、ちょっと待って…」
泉李は息を切らしていた。
「ベスさんが鬼畜すぐる」
「はい?何か私がしましたか?」
首を傾げるエリザベスに泉李は苦笑した。
現在地、15階。
戦闘は泉李だけ攻撃でエリザベスは回復のみ担当。
ちなみに泉李はペルソナを召喚してさえいない。
(私、死に関するトラウマとかないからなあ…多分、いや絶対にペルソナを召喚出来ない)
ちらりと自らの腰に下げられた召喚器に手を当てて考える。
「どうかなさいましたか泉李様」
「…んー、いや何でもないよ。とりま次行こう次」
棍を持ち直し、泉李が階段を指差す。
「畏まりました」
エリザベスも階段に視線を向けると、そちらに歩き出す。
(流石にペルソナを呼び出せないんじゃ、私危ないよね。うん…どうしよう。まさに死亡フラグびんびん物語)
余裕はあるらしい泉李、まあ何とかなるさの精神である。
階段を登るとすぐにシャドウ達が寄って来る。
「…キリがないねえ」
攻撃を避けてダウンさせながら泉李はボヤく。
「いっその事シャドウ無視で階段登りたい」
「構いませんが、この先どうするつもりですか?」
「考えてなかった」
地道に登るのが一番か、という結論になった。
更に数階登ると漸くワープ機能が仕様出来る機械を発見した。
「最高でも50階のようですね」
「…ってことは、またこれを探しながら登るってこと!?」
263階まであるタルタロス。
一日掛けてどれくらい登れるのか…体に疲労が溜まっていくのを感じながらも泉李は機械を作動させて50階へと移動する。
エリザベスが回復をして、再びシャドウを倒しながら進む。
それを繰り返し続け、162階。
「…っは、あ」
「……今日はこの辺りで切り上げましょう」
「…っ。や、大丈夫だから。200階くらいまで上がろう。多分この辺りにワープ出来るところある筈だし」
エリザベスの提案を断り泉李は立ち上がる。
大分シャドウを倒すことに長けて来たのか、ペルソナ無しでも何とか登ってきている。
帰るならギリギリまで粘ってからだ。
「そういえば…トラフーリだったっけ?」
「はい、使いますか?」
「いや使わないけど…あれってどういう原理なんだろうね」
「知りませんが。少なくともそのような秘めた力を持っている…それでいいではありませんか」
「え、答えになってな…いや何でもないです。はい」
再び現れたシャドウに構えながら泉李は冷や汗を流した。
エリザベスの方が怖い。
ちなみに、今現れたシャドウは経験値よりお金が手に入る奴だった。
アイテムを駆使しながら泉李はシャドウをダウンさせる。
それを繰り返してシャドウからお金をキッチリ徴収した。
「ったた…」
「大丈夫ですか?」
「優しそうに聞いてるけど原因の大半はベスさんです」
いきなり後ろからマハジオダインされ、何とか避けた泉李は精神的にダメージが大きく、そのあと敵増援で不意を突かれてダメージを食らっていた。
「せめてジオダインでお願いします」
「申し訳ございませんが、今装備しているペルソナは全体攻撃系のスキルしか持ち合わせていませんので」
分かってて使う辺りがエリザベスの凄いところである。
「あちらに使用出来そうなワープ機能がございますね」
「あ、本当だ…さて、何処まで登れるかなー、っと」
辛うじて起動している機械に触り、確認をする。
…200階まで行けるようだ。
「じゃあこれで上がったら一旦引き上げよう」
「そうですね」
ワープ機能を使用して、泉李とエリザベスは200階まで登るとトラフーリを使用してエントランスへと戻って来た。
「お疲れ様ー」
「お疲れ様でした。早く戻りましょう」
エリザベスがそう言い、外への扉の残骸を潜る。
泉李も後に続く様に外へ出ようとして、一旦振り向いてタルタロスの最上階を思った。
「……初めて会うし、何の力にもなれないかもしれないけど。そっちに行く、から」
宣言するようにそう告げて、今度こそ泉李は外へ出て行った。

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