開始時刻
 

「今一度確認ね、8時ぴったりにスタートで、明日の午前10時まで笑ったら幸村君による鉄拳だって」
そんな言葉のあと、時計を見つめる泉李に謙也は恐る恐る声を掛けた。
「ええと…金代、何しとるん?」
「測定係り、てかあと10…9…8…7………2…1…スタート!」
何処かでファンファーレが鳴った。
「それじゃあ、4人が一日過ごす部屋に私が案内するよ。あ、あと…頑張」
そう言って泉李が歩き出そうとした瞬間。
泉李は転けた。
笑顔のまま、顔面から転けた。
スライディング土下座並みのダイナミックさだった。
…泉李はピクリとも動かない。
「だ、大丈夫か泉李…!傷は!傷は浅いぞおおお!」
取り乱しようが半端ない真田。
全員がドン引きである。
「…ふ、ふふ…データだ、新しいデータだ…!」
「あ」
にやけながらノートを開く乾。
そんな乾に謙也が声を上げた。
その瞬間、何処からかデデーン、と音が聞こえた。
『乾、アウト』
「何…っ。はっ、そうか、今無意識に…」
部屋の扉を黒いゴツ目のプロテクトスーツのようなものを着た男が蹴り開く。
そして乾の前に立ち一発、強烈な裏拳を食らわした。
「ぐ、ふぅ…!」
男が立ち去り、沈黙が走る…否、未だに泉李に話し掛け続ける真田を除いて、沈黙する。
そして乾がよろめきながら立ち上がり、言う。
「り、理屈じゃ…な、い…」
「い、乾ー!」
既に体力は黄色のようだった。
段々と収集が付かなくなってきた、そんな空間で一人だけずっと声を出さなかった跡部が高笑いを上げた。
「上等じゃねーの…!このゲーム、勝つのは俺だ!」
『跡部、アウト』
そして無慈悲にも跡部は鉄拳を食らった。
こうして最悪のスタートを切ったのだった。



前へ 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -