「随分と鬼も増えて来たじゃねーの」
跡部は眼力を使いながら鬼から逃げていた。
最初は油断して何度か捕まったが、既にそんなこともない。
慣れたものだ。
ポン。
肩に手を置かれた。
振り返るとそこにいたのは乾だった。
「や、やあ…」
「乾か。大分疲れてるみてえだな」
「ちょっと、ね…」
言わずもがな、あの急所マシーンのせいである。
そんなことを知らない跡部は眉間にシワを寄せたが、特に何も言わなかった。
「そういえば忍足や真田はどうしてるんだ?」
「いや、会ってもすぐに鬼に遭遇してバラバラになっているからどうしているかまでは分からない」
「ぎゃー!」
「………」
「…と、とにかく早く移動しよう」
悲鳴が聞こえて沈黙が走る。
乾が先に口を開き、移動を始めた。



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