「今月も疲れたぜ…」
「ああ、全くだよな。激ダサだぜ」
「お疲れ二人とも。ほら、今日も恒例のお疲れ会やるよ?」
私と亮とジャッカル。
全員違う学校だけれど私達三人には共通点がある。
「この間なんかよ、いきなりジローのやつが…」
「俺のとこも、ブン太やら赤也が…」
「大変だね、二人とも。私のところも海堂君と桃ちゃんがね……」
そう、三人とも苦労人なのだ。
亮とジャッカルは選手、私はマネージャーとしてテニス部に携わっているのだけれど周りにいるのは常識を持たない人達だったり我が道を行く人ばかり。
必然的に私達三人は彼らのフォローに回ることになっていた。
そんなある日、私達は大会の会場で出会った。
……運命だと思った、同じ悩みを共有出来る相手がいたんだ!
なんて思い直ぐさま連絡先を交換。
見事に仲良くなって、今や親友と呼べるほど仲がいい。
お互いがお互いに愚痴を零すのだけれど家が遠いこともありなかなか集まることが出来ない。
だから月に一度、東京と神奈川から調度中間地点に当たる地域にあるカフェに集まることになっていた。
お金もその費用だけは別に取っておいておく。じゃないとジャッカルに至っては直ぐさま搾り取られる。
お金もそうだけど、部内は部長の絶対王政なんだとか。
お坊ちゃま校である亮はその金持ちであるが故の大胆な行動に大層苦労をさせられているとか。
……正直二人の話を聞いていると自分の苦労なんて足にも及ばない気はする。
「ありがとな、名前…!俺達、お前に愚痴れるだけでどれだけ楽になるか……!」
「私こそ愚痴聞いてもらってるし…本当に二人とも大丈夫?私なんかよりよっぽど苦労してない?」
「大丈夫だって。…何だかんだで楽しいしな」
亮の言葉に確かに…とジャッカルと二人で同意した。
何だかんだ言って楽しいんだよね、皆といるのが。
………ただ暴走が激しいだけで。
そのせいで苦労しまくってるのがまた…複雑というか…。
私の複雑そうな顔を見て二人は笑った。
「んな顔するなって」
「ほら、ケーキでも食おうぜ」
ジャッカルが手渡してくれたメニューを見ながら、三人で話す。
「そういえばこの間跡部のやつが遊園地のチケットくれたんだけどよ、三人で行かねえ?」
「いいね遊園地!でも枚数あるの?」
「大体そういうチケットってペアのやつだよな?」
「どうせならこの三人で行きたかったからよ、跡部に無理言ってもう一枚貰ったから大丈夫だ。それくらいは欲張ったって罰は当たらねえだろ?」
なんてかっこよく笑うもんだからジャッカルと二人で「兄貴…!」って叫んだ。
「それでいつ行く?私達、部活の休みが合う日って確か月に二、三日しかないよね?」
「もうちょっと休みが被ってもいいのにな」
「確かに。休みを増やせとは言わねえけど、なかなか集まれないっていうのも困りものだよな…」
珈琲を飲みながら計画を立てる。
亮の持っているチケットは期限は特にないらしいからしっかり休みが取れるときで尚且つ氷帝のメンバーが行かない日を狙わないと行けない、らしい。
…うん、このメンバーで出歩いてるのに絡まれて愚痴の言い合いも出来ないとか悪循環だよね。
しかも私達も多分苦労するし。
それが分かってるから慎重に計画を立てているのだ。
「勿論私服だよね?…あ、やっぱりさズボン系のがいい?」
「そりゃそうだろ。遊園地行ったら絶叫とか乗るだろ?」
「うん、そうだね。……あれ、亮?ちょっと服の話しただけだよ」
「お、おう…分かってるって」
相変わらず初だなあ…他の人達とは大違いだ。
ジャッカルも普通にしてるけど常識持ってるから気にしない。
「亮といると純粋な気持ちを思い出せるよ。ね、ジャッカル」
「そうだな」
「お前ら…!俺が激ダサじゃねえか!」
なんてじゃれ合うのも親友の特権だよね。
亮も本気で怒った訳じゃないし。
「きゃー亮が怒ったー」
「ほら、これ食って落ち着けって」
「…チーズサンドなんていつの間に頼んでたんだよ」
ついさっきケーキの代わりに頼んでたよ、ジャッカルが。
月一で来てたからカフェの人が何かメニューに加えてくれたんだよね。
「おら、名前もジャッカルもケーキ食えよ」
チーズサンドを食べて機嫌が良くなった亮が笑う。
…流石チーズサンド。
「此処のケーキ美味しいよね。隠れ名店みたいな感じで」
「ああ、あまり甘さもなくて調度いいしな」
「珈琲や紅茶も本格的だしよ」
自家製だよな、これ。
なんて愚痴らずに此処のお店の話をし始める。
いつもいつも愚痴ってる訳じゃないのだ。
「今度紅茶や珈琲の入れ方教えてもらいたいよ」
「こんな美味いもんな、俺も聞いてみたいぜ」
ジャッカルが手元の珈琲を見ながら同意した。
「俺は紅茶が気になるぜ。跡部の家で出される紅茶と同じくらい美味いからな、此処の。入れ方が丁寧じゃないとこんな味は出ないだろうしな」
亮もそう言って奥にいるマスターを見遣った。
珈琲を調度挽いていたマスターはこちらに気付くと優しく微笑んだ。
「……大人の魅力って、いいよね」
「…確かに」
「一理あるな…」
そう三人で納得した。


───
柚様リクエスト『ジャッカルと宍戸さんで親友設定』でした。
二人と親友なら夢主も苦労人だよね?←
そんな三人は庭球苦労人連盟。
そのうち人数が増える予定です。



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