え、何これどういうことなの?
「へえ、君が手塚の彼女の苗字さんなんだ?」
ニコニコと私を見ている不二君とその後ろにいる我等が青学男子テニス部レギュラー陣(国光君除く)に私は冷や汗を流した。
そして一つ訂正させてほしい。
私は恋人じゃなくて親友です。
「へえ、部長の親友なんだ」
おっと口から出ていたようだよ独り言!
白い帽子の最近校内で有名な越前君がニヤリと笑った。
…うん、何だか悪どい!
そして前に否定しといた桃城君は苦笑混じりだよねやふー!
「苗字先輩も大変っスね」
「分かってくれるか桃城君よ。…てゆか菊丸君には否定したよね私」
「にゃはは、ごめんね。俺早とちりしちゃって…」
菊丸君が可愛らしく謝った。
………うん可愛いから許すよ。
可愛いって正義だよね!
「名前、大丈夫か?」
部室にやって来た国光君に安堵しながら私は国光君に近寄った。
「うん、何かもうただびっくりしただけだから。…そんな心配そうにしなくっても大丈夫、恋人に間違われただけだようん」
「また間違われたのか…菊丸が言ったのか?」
「ご、ごめんってば手塚ー」
呆れたように国光君が菊丸君を見る。
…て、何か菊丸君焦ってない?
怒られた訳じゃないのに。
「国光君、菊丸君も悪気があった訳じゃないって。だからそんなに呆れなくてもいいんでない?」
「国光君!?」
大石君が素っ頓狂な声を上げた。
…何で?
「……って、手塚怒ってにゃいの!?」
「別に怒ってはいないが」
今度は菊丸君が声を張り上げた。
……国光君、ちょっと面倒だとか思ってるよね今。
眉間にシワ寄り始めてるし。
「え、ちょっと待ってよ手塚。苗字さんに名前で呼ばれているの?」
河村君が国光君に尋ねる。
「………そうだが」
「国光君からお願いされたんだよね、確か。……よくよく考えたら仲良くなった当初から名前で呼んでくれとか言われた気がしないでもな……あ、いや何でもないですはい」
何だ今の乾君からのゾワッとした何かは……眼鏡の反射ですね分かります。
ツッコミ入れたら負けなんですね。
「…正直、手塚と君が仲良くなる確率は零に等しかったんだけどな。データを侮っていたようだよ」
うんそれは私も思った。
けどあの運命のゲームショップで会ったときから普通に仲がいいです、流石国光君。
いつどうやって出会ったとかは黙秘の方向で。
乾君、私達がによ厨だって知らないから気付かない気がする。
……いや国光君と三年間一緒にいて気付かないってことは国光君の隠し方が上手いか、国光君に限ってそんな趣味はないだろうってことなんだろうけどね!
私もゲームショップで会うまでは全く分からなかったとかね、これでも何となくなら同族かくらいは分かったんだけどな…。
「フシュー…」
「あれ、君は薫ちゃんじゃま…あれ、薫ちゃん何で他人のフリ?」
……薫ちゃんにそっぽを向かれた。
何故だ解せぬ。
「国光君んんん!」
ショックのあまり国光君に抱き着いてみた。
「手塚に抱き着くとか苗字さん強者だね」
「何で不二は落ち着いてるにゃ?」
不二君が微笑み(開眼してるけど)ながら言うと菊丸君が恐る恐る尋ねてる。
「そうだね…面白いからかな?」
「面白いとか止めてよ真面目に!私と国光君は純粋に仲良しさんなだけなんだからね?」
「手塚部長を名前で呼んでる時点で仲良しなのは分かるッスけど。…何で名前?」
「それはいい質問だよ越前君…いやコシマエ君!国光君の可愛さに私がキュン死にしたからさ!」
「可愛さ…!?」
国光君除くレギュラー陣に動揺が走った瞬間だった。
まあ乾君はノートに凄まじい勢いで何事か書いてたけどね!
「……グラウンド100週!」
「国光君照れ隠しにそう言っちゃうとかマジ萌えント突いてくるよねらぶ!」
うわあ今凄い強者を見る目…てゆか畏怖の目で見られた。
でもそれと同時に照れ隠しをしようとする国光君に全私が禿げ萌えた。
そもそも国光君と三年間も一緒にいて照れ隠しとか分からないとかまだまだ手塚マスターの称号には程遠いとか偉い人には分からんのですよとか嘘吹いてみた。
まあその称号は渡さないよ?
だって国光君の親友だものキリッ。


───
瑞樹様リクエスト『手塚マスターっぷりを発揮する夢主と理解されて嬉しい手塚(と青学レギュラー)』でした。
名前呼びにざわつくレギュラー陣。
不二と乾は平静を装っています。
桃城はこんな人だっていうのを以前体感しているので驚きつつもやっぱりって感じ。
海堂は完璧に夢主にからかわれています。
海堂の名前呼びは必須イベントですよね分かります。



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