「さあっ市ちゃん!ドドーンと行きますよ☆」
「うん…待って、白い鳥さん……」
「二人ともちょっとは落ち着くだよ!…全く、まつさんや濃さんに怒られちゃうべ」
元気いっぱいのショートヘアの女の子──瀬戸 鶴(鶴姫)が市の手を引く。
そんな鶴に精一杯といった様子の市と一番背の低いツインテールの女の子──雪野 いつき(いつき)が注意する。
「…あれ、もしかして織田さん?」
控え目に掛かった声に市が顔をそちらに向けるとそこには三強が私服姿で立っていた。
「幸村さんと真田さんと柳さん…」
「やはり織田だったか」
「市ちゃんお知り合いですか?」
「ええ…」
「市の知り合いならオラの知り合いも同然だべ。オラは雪野いつきっていうだよ」
「あ、いつきちゃん狡いですよ!私もバシッと自己紹介決めちゃいますよ!私は瀬戸鶴、千里の先も見通す巫女です☆」
「…巫女?って、神社にいる…」
「はい!私これでもその筋で有名なんですから」
バチコーン、決めポーズを取る鶴に幸村が尋ねるとキラキラとした視線で鶴は頷いた。
「あ、俺達も自己紹介しないとね。俺は幸村精市」
「俺は真田弦一郎だ」
「柳蓮二だ。…織田、この二人は友人か?」
「ええ、そうよ……」
「そうか」
ノートに書き込む柳に何をしているのかと首を傾げるいつきと鶴。
そんな二人に真田が声を掛けた。
「そういえば何処かに行くのではなかったのか?」
「あ、忘れてたべ。ありがとな、真田のおじさん!」
「お、おじ…っ!?」
「あはは、おじさんだって弦一郎」
「よかったな、弦一郎おじさん」
「……俺は17だ」
「え、ご…ごめんなさい!オラ、まだこっちさ来たばっかで…」
オロオロし始めたいつきに真田は慌てて気にしていないと告げた。
「…そうだべか?だとしても、オラが自分を許せねえだよ…あ。真田の兄ちゃんは米、好きだか?」
「米か?ああ、好きだが…」
「ならオラが作ってる米さやるだ」
ポンと胸を叩くいつきに真田は困惑する。
「む、しかし…」
「真田さん狡いです!いつきちゃんの作るお米は日本一なんですよ!私だってなかなか食べられないのに…」
「鶴には今度またあげるだ。だから今日は真田の兄ちゃんにあげていいけんろ?」
「よかったじゃないか弦一郎。彼女もこう言っていることだ、受け取ったらどうだ」
「しかし蓮二…」
「弦一郎、あまり断ると失礼にあたるぞ」
「!」
柳の言葉に渋々と頷いた真田はいつきに「よろしく頼む」と告げた。
「任せてくんろ!オラ、いっちばんいいの持って来るべ!」










「へえ、幸村さんって部長さんなんですね!…ところで部長って何ですか?」
キョトンとしている鶴に幸村は驚いた。
「鶴は世間知らずだべ。昔っから神社の外にあんま出れなかったからそういうの気にしないでやってほしいだ」
いつきの言葉に幸村は曖昧に微笑んだ。
「瀬戸さんは巫女なんだよね?」
「はい!私、予知出来るんです☆」
「予知を?」
「っていっても最近は占いなんかの依頼ばっかりなんですけどね」
「へえ、面白いね」
幸村の笑みに鶴も笑顔を返す。
「ふふ…白い鳥さんと仲良し……」
「白い、鳥さん?瀬戸のことか?」
「そうだべ。市は鶴のこと白い鳥さんって呼んでるべ」
「私だけのあだ名ですよ!」
柳の問い掛けにいつきと鶴が答える。
「そうか……」
柳は一瞬眉根を寄せたものの次の瞬間にはノートに何かを書き始める。
「柳さん…あんまり市のお友達のデータ、取らないで……」
「すまないな、職業病みたいなものだ」
「だとしても市、嫌なの……」
市の様子に柳は渋々といった感じにノートを閉じた。
「あ、そういえば市と鶴!早く行かないとお店開いちゃうだよ!」
「ああっそうでした!市ちゃん早く行ってまつさんと濃さんと合流しましょう!」
慌てていつきと鶴が市の手を取る。
「三人とも…ごめんなさい、市達もう行かなきゃ……」
「あ、ううん。こっちこそ引き止めちゃってごめんね。急いでたみたいだし」
「……幸村の兄ちゃんに真田の兄ちゃんに柳の兄ちゃん、市と友達になってくれてありがとうな。オラ達、市が友達を紹介してくれるのなんてあんまりないだ」
「ですから三人とも!市ちゃんを泣かせたらバシッと退治しちゃいますからねっ☆」
最後の最後まで我が道を行くといった様子の鶴が締め括り、三人は道の向こうへと駆けて行った。
「…織田さんとはまた違った意味で凄い二人だね」
「そうだな。……弦一郎?」
「…俺は、何故あのような年下の少女に米をお詫びにと貰うことになったのだろうか……」
「……三人の中で一番しっかりしているからじゃないか(彼女は恐らく年齢は同じくらいだろうがな)」


───
月城様リクエスト『BASARA女性キャラとお出かけ中、偶然三強と会う』でした。
BASARA女性キャラは完璧に私の独断です。
鶴姫を出したのはやっぱり彼女が3のときストーリーモードで仲良く?なっていたからでしょうか。
まつさんでも正直よかったかなとは考えています。
だが後悔はしていない。



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