「名前。此処においで」
ポンポンと自分の膝の上を叩いて微笑む幸村。
「おん!」
そんな幸村に満面の笑みを浮かべながら名前は幸村の膝の上に座った。
「精市、練習中はあまり甘やかすなよ?」
「ふふ、いいじゃないか蓮二。俺も久しぶりに名前を愛でたいの」
「甘え癖がついてあとで困るのは名前だぞ」
「うーん…まあそれもそっか。じゃあ明日の休みにでも愛でようかな?勿論蓮二も来るよね」
「……そうだな」
「柳も一緒なん?」
愛でたいって何やろ、なんて首を傾げていた名前は二人の会話から幸村と柳と明日は一緒に遊ぶと思ったのかキラキラとした目で二人を見つめた。
「そう、明日は俺と蓮二と名前で遊ぼっか」
名前の頭を撫でながら幸村は笑った。










「たこ焼きやー!」
「ふふ、お気に召したかな?」
名前は幸村と柳に連れられて東京にある有名なたこ焼きの店に来ていた。
関西の方で元々店を出していたらしく味も氷帝の忍足のお墨付きとあって名前も喜んで食べている。
「名前、ソースが付いているぞ」
柳が名前の口元に指を伸ばしてソースを拭う。
「大概蓮二も甘いよね」
「そうか?俺としては精市は甘やかし過ぎだと思うが」
「だって可愛くない?俺、もう一人妹が欲しかったんだよね」
素直だし…名前、幸村家の一員にならないかな。
とまで言い始めた幸村に苦笑しつつ柳は名前に水を差し出す。
「んぐ…っ、ぷあ。おおきに、柳!」
水を受け取り一気に飲み干すと名前は笑顔でお礼を言った。
「たこ焼き食べ終わったら何処か遊園地でも入る?」
「…逆ナンされるぞ」
「名前がいるのに逆ナンは嫌だけどね……どうせなら遊び尽くしたいんだ」
「幸村ー遊園地やったらシュゴーでキャーなんがある場所がええな」
むぐむぐとたこ焼きを食べながら名前が言う。
「絶叫系か…蓮二、名前の身長制限で引っ掛からなくて凄いやつある場所ってある?」
「この近辺だと跡部財閥で経営しているところが絶叫系で優れているな」
手を顎の下にやり考える柳に幸村は笑う。
「じゃあそこにしようか。ほら名前、食べ終わった?」
「おん!美味かったで幸村、柳。ご馳走様や!」
満足そうに笑う名前の頭を撫で、柳と幸村は名前の手を取って歩き始めた。










「ほあー…凄いなあ」
キョロキョロと周りを見る名前がはぐれないようにとしっかり手を繋ぐ柳と幸村。
「名前、あまりうろうろしていると迷子になるぞ」
「迷子は嫌や!」
柳に言われくっつくように二人に抱き着く名前。
そんな名前に幸村は苦笑しながら抱き上げた。
「大丈夫だよ、名前。…ほら、こうしてればはぐれることはないだろう?」
「ホンマや!柳よりも大きなった気分やなっ」
きゃー、と喜ぶ名前に柳と幸村は微笑ましいと言わんばかりに口元を緩めた。
「何だかこうしてると家族みたいだよね」
「そうだな。精市が父で名前が娘、…俺が母といったところか?」
「そうそう、案外ノリノリだね蓮二」
「柳と幸村がオトンとオカンなんか?」
抱き抱えられたままの名前が首を傾げた。
「そうだよ。……あ、ほら母さんに肩車してもらう?」
「オカンに肩車してもらう!」
「フッ…父さん、一度下ろさないと肩車は出来ないぞ?」
家族ごっこに興じながら三人はジェットコースターに並ぶ。
「此処って身長が低い向日の為に身長じゃなくて年齢制限にしたらしいんだよね。…年齢制限も小学6年生より下だし、名前も乗れるね」
「そうだな。今回ばかりは跡部に感謝しなくてはな」
「うち、そないに背え小さないもん」
膨れっ面をする名前に二人は苦笑した。
「そうだったな、ほら次だぞ」
「ホンマや!早う乗りたいわあ…」
一旦下ろされて手を繋ぐ名前は楽しげにそう言って笑った。
「じゃあ名前が真ん中で俺達が外側ね」
「おん!ぐあーって凄いんやろう?めっちゃ楽しみや!」
楽しそうな名前の様子に周りにいた人達も自然と笑顔になった。
「さ、楽しもうか」
幸村の一言と同時にジェットコースターは走り出した。


───
せな様リクエスト『幸村と柳にベタベタに甘やかされる』でした。
あれ、ベタベタ…?
基本的に末の妹を可愛がるお兄ちゃん状態の二人です。



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