短編 | ナノ
「よっしゃ、UNO!」 「させないよドロ4」 「げ、返せる訳ないじゃんか!」 部室に置いてあったUNOを見つけ、部活の皆でUNO大会をしていた。 「色は赤な。次、ダビデだぜ?」 「赤はアカン……ブッ」 赤の8を出しながらダビデがダジャレを言う。 「くおら、ダビデっ!またくだらねえダジャレ言いやがって…!」 「ちょ、バネさんタンマ!」 「駄目じゃん、俺をフリーにしちゃ。スキップ4枚、使わせてもらうよ」 「げ、自分にスキップ使って戻された」 「クスクス…流石サエ」 「でもサエの次は俺なのね。そうしたら負けないのねー」 「さ、リバース使わせてもらうよ」 「リバース…!?サエさんどれだけいろいろ持ってるの!?」 「ウイ。……あ、俺上がり」 「嘘!?」 「おいおい…何で同じ数字のやつ4枚も持ってんだよ」 「これも、作戦…枚数多めならまさか上がるとは思わない。ダビデもなかなかの戦術を考えるよね」 「首藤はもうその手札じゃ上がれなさそうだよね」 「……………」 「駄目だ、首藤さん気絶してる」 「え、何で!?」 間違って鰯水か何か飲んだのかもしれないと片が付けられた。 「あ、俺も上がり」 「最後の最後で亮、0使ったし…!」 「だって使ったら李紅の手札貰うことになっちゃうし。今一番枚数が多いの李紅だったからつい」 「げ、俺が枚数多くなってんじゃねえか!」 「てか亮がドロ4二枚も一気に使うから私の手札凄いことになってたんだけど。返せない私も私だけど」 「よーし!次に上がれたら僕はモテる!」 「あ、上がりなのねー」 「そんな、いっちゃん……」 ……剣太郎が砂になった。 「俺も上がりだよ。あとは李紅とバネさんと剣太郎だけか…」 「あと一枚…!」 「あ、リバースな」 「バネさんナイス!ドロ4ですよ!」 「ちょ」 「は、ざまあみろ」 「色はー……じゃあ青で」 「………」 「クスクス…バネさんの手札、青一枚もないね」 「やった!僕上がった」 「はい、」 「スキップな。それで…」 「あ、俺達ちょっと先に外で片付けしてくるよ」 「外でそっと片付け……ブッ」 「ダビデ!」 「だからバネさんタンマ!」 ツッコミと言う名の飛び蹴りにダビデが声を上げる。 ダビデを引きずりバネさん以外の皆が外に出て行き、沈黙が走る。 ………どうしよう。 凄い無音だ…! 実はこのUNO大会、バネさんの誕生日パーティーを開く為の準備時間のカモフラージュだったりする。 六角の他の皆は準備でバネさんを引き止める係の私達。 UNOを見付けたからやろうと誘い時間を稼いでいたけど皆熱が入り過ぎて時間を潰すとかじゃなくなった。 ……熱くなり過ぎて普通に皆すぐ上がっていった。 時間もさほど稼げていない。 そんな訳で私はなるべく長引かせないといけない。 とりあえずドロ4を使ってバネさんの手札を増やす。 こちらはドロ2で増やされ、なかなか終わらない。 「バネさん、なかなかやるね…!」 「李紅こそ、ドロ4やら何やら使って俺が上がれないようにしてるじゃねえか…!」 「二人ともーそこまで!」 パン、と手を叩く音がしてバネさんと一緒に固まる。 見るとニコニコ笑いながらこちらを見ているサエさん。 「バネさんはちょっと此処で待機、李紅は…ほらオジイを連れて来てよ」 「リョーカイ。…あれ、ダビデは?」 「ダジャレ考えてるよ」 「………ダビデっ!」 「ちょっ、バネさん!だからタンマって!」 騒ぐバネさんとダビデの声を尻目に走り出した。 バネさん、誕生日おめでとう!
UNOする六角
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