私は最近疫病神にでも取り憑かれているんだろうか。
再び事件に巻き込まれました。
まあ一応武器(鉄パイプ)をゲットしたから逃げ回ってる訳だけど。
今回は立て篭もりらしい。
デパートがあったから中に竹刀かなんかないかなと思って入ってすぐに起きた。
まあデパートの端の階段を登ってた途中だったから犯人に見つからなかったんだけど。
あとは階段で待ち伏せして当て身喰らわせたり。
一応空手もやってたからね、一人でしかも相手は銃持ってる訳じゃなかったから何とかなった。
…多分上に人は集められてるんだろうな、そっちは銃を持ってる人がいそうだ。
とりあえず私は鉄パイプがあるから何とかなる気はする。
……なる、よね?
何にせよまずは脱出しなくちゃ。
多分出入り口は塞がれてるから、多分品物搬入用の出入り口がある筈。
まずそっちに行ってみよう。
何処にあるか分からないからデパートの品物が置いてある裏に廻らなくちゃなあ……。
人がいないことを確認して私は走り出す。
こんなとき、デパートだから監視カメラもあるかもしれないと思ったけど馬鹿なのか犯人達はデパートの電源を落としていた。
監視カメラの存在を気にしなくていいのは嬉しいから何も言わないけど。
なるべく擦り足で走り抜ける。
音を立てればアウトだ。
裏に廻る為のドアの前に立ち僅かにドアを開ける。
中には何故か誰もいなかった。
…もしかして、人を全員集められたって思って上に行ったのだろうか。
好都合だから体を中に滑り込ませる。
暗さに目が慣れているから平気だけど…いきなり電気点いたら危ないな。
サングラスを拝借しといて良かったかもしれない。
掛けながらそう思っていると上が何だか騒がしくなっている。
………。
もしかして当て身を喰らわせた犯人の何人かが見つかったのだろうか。
だとすれば急がないとまずい。
鉄パイプを持っていると足が遅くなるけど見つかったときを考えると手放したくはない。
……いや、考えている暇はない。
敢えてドアを開けてなるべく遠くに鉄パイプを投げた。
響く音を後ろに私はドアを閉めて近くにあった鍵を使ってドアを閉じた。
あとは急いで逃げるだけだ。
音に集まって来るだろうけど多分フロア内を探してから裏のドアに気づく筈。
なかなかに目立ちにくい位置にあるのだから。
奥にあったドアを開けると外で、長い階段になっていた。此処から下に降りれば出られそうだ。
迷ってる暇なんてない。
私は駆け降り始めた。
勿論ドアも閉めておいた。
……7階、か。
結構長い。
転ばないようにでも早く音を立てないように降りるのは神経を意外と使う。
4階に差し掛かった辺りで上から声がした。
…もう気付かれたらしい。
2階辺りまで行かないと飛び降りる訳にもいかない、流石に4階から飛び降りたら怪我どころじゃない。
もう気付かれたんだからと音を立てながら走る。
…やっぱりその方が早い。
ついでにサングラスを取り上にぶん投げてやる。
サングラスを撃った音が聞こえた。
……よりによって銃を持ってる犯人が追い掛けて来たのか。
3…2…今だ!
2階に差し掛かった瞬間、私は階段の手摺りを掴み階段の外側に乗り越えた。
そして浮遊感。
着地の準備をした途端誰かに腕を掴まれた。
「っ…大丈夫かい?!」
そこにいたのはスカイハイだった。
「良かった、気付けて。…しっかり私に掴まっていてくれ。犯人め、この私が来たからには容赦はしない、そして容赦はしない!スカーイハーイ!」
風を操りスカイハイは犯人に風を当てた。
……凄い、これがヒーローなんだ。
感動していると地面にフワリと降ろされた。
「すまない、気付くのに遅れて。でももう大丈夫だ、私達が犯人を捕まえる!」
宣言して再びスカイハイは飛び始めた。
…まさに正統派ヒーロー。
常に弱者の味方、といった点が。
中が騒がしくなってきた。
どうやら救出が成功したみたいだ。
とりあえず私はこの場から離れることにした。
スカイハイは気付かなかったみたいだけど私、銀行強盗のときに会ってるからなあ…。
絶対面倒なことになる気がする。
エリザさんも観光どころじゃなくなるって言ってたし。
…うん、やっぱり逃げよう。
幸いスカイハイが受け止めてくれたから怪我は全くないし。
ありがとうスカイハイ、そしてありがとう。
なんて口癖を真似ながら私はその場を走り去った。










「はあー…疲れた」
「あっ!お帰りなさいリンお姉ちゃん!」
「ただいまテオ君。……あれ、エリザさんは?」
「ママはお仕事だよ!」
「お仕事…?」
「うん!あのね、パン屋さんなんだ」
「へえー…パン屋さんかあ。エリザさんが作るパン、美味しいんだろうな」
「そうなのっママの作るパンはとっても美味しいの」
ニコニコしながらテオ君が言う。
「そういえば夜ご飯どうしようか」
「夜ご飯?夜ご飯はね、ママの作ったパンとシチューだよ!」
「エリザさんのパンとシチュー?」
パンは多分作ったのを持って帰って来てくれるんだろうけど、シチュー…?
そういえばテオ君の格好はエプロンだ。
「もしかしてテオ君が作るの?」
「うん、そうだよ!僕、料理出来るんだ」
誇らしげなテオ君の頭を軽く撫でながら私は考えた。
…お世話になっている身で何もしないのも嫌だな。
「テオ君、今日のシチューは私に作らせてもらえないかな」
「へ?」
「居候させてもらってるお礼、だよ」
ウインクを一つして、私はキッチンへと向かった。
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