The calamity which comes to the next from the next



「ふう…今日は嫌な空気になってるなあ」
学校に着いて第一声がそれだった。
…誰かに聞かれたとかはないけど。
俺の周りに人はいない。
何故なら俺は今、校舎の裏側に来ているからだ。
「確かこの辺に…あ、あったあった」
一本だけある木の根元。
そこから南に3歩程歩いて借りてきたシャベルで掘り起こす。
薄汚れた箱が姿を表した。
「あー…やっぱり大分駄目になってきていたみたいだなあ」
中に入っていた破れているトランプ達を見てそうボヤいた。
これは入学当初に俺が埋めたものだ。
幼い頃から幽霊の類いが見えていた俺は、対処策として結界を張っていた。
こうでもしないといちいち学校内で幽霊達を払わないといけなくなるからだ。
そんなところを見られれば変人のレッテルを貼られてしまう。
それどころか人が近寄って来なくなる可能性だってあるのだ。
流石にそれはまずいからね、これを埋めるのにもちょっと一悶着あったんだけど…。
それは今は置いておこうと思う。
とりあえず代わりに一時凌ぎに過ぎないけど新品のトランプに力を込めて、経が書かれたお札と共に箱に入れて再び地面に埋めた。
現在、トランプに力を込める作業をしているところだ。
まだまだちゃんとした物を作るのに時間がかかりそうだ。
…とまあ此処まで考えたと同時に箱を埋め終わる。
それにしても。
何だかちょっとだけ違和感が残る、ような。。
何が可笑しいのか。
違和感の原因が分からない。
まるで既にこの学校に馴染んだ何かがいる、のか…?
……いや、まさかね。
そうなるまでに時間が掛かる。
いくらなんでもそれだけの時間があれば俺だって気がつく。
ならこの微かな違和感は一体…。
そこまで考えたところで携帯が鳴る。
この着信音は、部活の誰かからだ。
表示を見れば常ならばあまり連絡をしてこない宍戸からで。
「もしもし?」
「あ、滝か!?」
やっと連絡が着いたと言わんばかりの宍戸の安堵したような声。
「お前、今何処に…あ!」
後ろでは何故だか喧嘩しているような声がしている。
「…何が起きてるのかさっぱり分からないんだけど?」
俺のそんな言葉に宍戸が歯切れ悪そうに答えた。
「…滝を出せって、女子が来てて跡部と口喧嘩を始めた」
……女子が?
跡部と口喧嘩って…そんな子がこの学校にいたのか…。
半ば感心している俺に必死で宍戸が声を掛けてくる。
「とにかくっ!早くこっちに来てくれ!」
その必死さに、俺はスコップを手に持って走り出した。










「早く滝さんを出してって言ってるの」
「無理だって言ってるだろ?」
跡部と対峙していたのは風見さんだった。
顔が、青白い。
…幾らなんでも昨日の今日でこの顔色は可笑しい。
「風見さん、その顔色…」
「……ちょっと寝不足なだけ」
嘘だと知り合って間もない俺にだって分かるくらい風見さんは嘘を付くのが下手だった。
元より、鋭い跡部だって気が付いていただろうし…風見さんが突っぱねたんだろうなあ…。
流石にそう言われたら跡部も初対面の人相手に強制的に帰らせる、とかしないし。
強引だけどそういうところは優しいというかなんと言うか。
「跡部、ちょっと部活抜けるね」
「ああ、早めに戻って来い」
跡部から許可を貰って風見さんと移動する。
「風見さん、俺に用事って?」
コートから離れて人目に付かない場所に移動してから俺はそう聞いた。
風見さんは暫く口を閉じていたけど覚悟を決めたのかブレザーのポケットから何か取り出していた。
「これって…」
昨日の朝に渡したダイヤを形どったネックレスだ。
……鎖とダイヤが離れてしまっている。
まるで引き千切られたかのように。
これ、もしかして…。
「風見さん、何処か変な道通った?」
「いつもと同じ道を通った」
それなのにこんな状態に…。
いや、それとももともと幽霊がいる道で俺がネックレスを渡したことで目を付けられたとかか?
だとすると早急に打開策を考えないと…。
「風見さん、今日暇?」
「え、うん…」
「部活が終わるまで待ってて。送っていくから」




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