Junior of favorite occult



日吉に言わなきゃならないけど、どうしようか。
俺ははあ、と溜息を吐きながらユニフォームへと着替えていた。
風見さんと話をしてすぐに部室へと来た訳だけど…日吉は既に練習に入っていた。
日吉はレギュラーコートの方で練習しているから休憩時間にでもならない限り話せないんだよね…。
休憩時間だと他の人達もいるから話せないからなあ。
そもそも俺に霊感があるなんて皆知らないし。
日吉って下手すると俺より心霊関係に対して詳しいから協力してほしいんだよね。
「あーあ、どうしようかな」
着替え終わって俺はラケットを片手に部室の外に出る。
勿論風見さんに渡したものに似た、小さなダイヤとハートとスペードとクローバーのマークが付いたリストバンドを付けている。
練習中は流石にトランプを持っていけないからね。
代わりになるものが必要だったから探してたら跡部が用意してくれたんだよね。
『お前、トランプのマークが好きなんだろ?これ、俺様の趣味に合わねえから萩之介にやるよ』
とか言ってたっけ。
……絶対勘違いされてるよね、何だか。
別にトランプのマークが好きなんだとかはないんだけど。
「ごめん跡部。週番で遅れた」
「週番にしては遅かったな、アーン?」
「…今日はもう一人の子がお休みでね、次からは気をつけるよ」
「フン、まあ良い。今日は日吉と鳳が準レギュラーのコートで練習に入ってる、サポートを頼む」
「ああ…来年に向けて指導力を試すんだっけ?うん、分かった。俺に出来る範囲でフォローするから」
「頼んだ、萩之介」
ふう…跡部は俺を買い被り過ぎだよ。
俺に任せたりするなんて、ね。
一応俺、準レギュラーなのにね。
まあ日吉と話す機会が増えたから助かるけど。
さて、二人はどんな風に指導しているかな。










教え方にはやっぱり性格が出るなあ。
二人の教え方を見て俺は苦笑した。
一人一人丁寧に優しくフォームをチェックして教える鳳と丁寧だけれど厳しい評価を口にする日吉。
足して二で割ると調度いい感じかな。
二人に声を掛けることはしない。
あくまでもこれは二人の指導力を試すものだ。
それなのに口を出してしまってはいけない。
そう思って俺は隣のコートに足を向けて練習に入った。
樺地がこのコートにはいたみたいで、無口ながらも手本を見せフォームを修正している。
「お疲れ様、樺地。球出し手伝うよ」
「……ウス」
うん、相変わらず樺地の周りは落ち着くね。
樺地自身がそういう体質なのか、純粋だからか知らないけど樺地の周りには悪いモノはいない。
ちなみに、それに比例するように跡部には悪いモノが沢山憑いている。
…ただ殆ど樺地と一緒にいるから跡部に憑いている悪いモノは何も出来ないうちに追い払われてしまう。
調度釣り合いが取れた関係だ。
とは言っても跡部には守護霊が憑いているから本当に命の危機に陥ったときは守護霊が何とかしてくれるのだろうとは思うが。
ちなみに守護霊は気の弱そうなおっとりした女の子だったりする。
ただしかなりの年数を霊体で過ごしてきたのでそこら辺の悪霊なんか一捻りだ。
「さて、と…日吉。ちょっといいかな?」
休憩に入ったところで日吉に声を掛け、準レギュラーから少し離れた場所に行く。
「何か用なんですか、滝先輩」
「ちょっとね。…日吉は確か心霊関係に詳しかっただろう?」
「まあ嗜み程度にですが」
嗜み程度でそこまで心霊関係に詳しくはならないだろうに。相変わらずな日吉に俺は苦笑混じりに口を開いた。
「俺がしたい話はね。結界について、なんだけど」
「……結界、ですか?」



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