The request thing is accepted.



俺の言葉に訳が分からないと眉間にシワを寄せる彼女。
「…つまり、幽霊がいるって?馬鹿馬鹿しい、そんなもの。いる訳ないじゃない」
「あれ、気づかないんだ?君さっき取り付かれてたんだけど」
「…あれはただ調子が悪かっただけだし」
「調子が悪かっただけ、ね」
「………何が言いたい訳?」
「さあ。とりあえずもう学校に向かわないと遅刻するよ」
何としても信じるつもりはないらしい彼女にそう声を掛け、俺はテニスバックを持つ。
話に熱中していた為、朝になっていたようだ。
ご飯を食べて身支度を整える時間を考えるともう部屋から出た方が良いしね。
リビングで朝食(トーストとベーコンエッグ)を食べ、彼女の身支度が終わるのを待つ。
「滝さんって朝はもっと優雅なもの食べると思ってた」
「今日は時間もなかったしね。一睡もしてないから霊力の回復も出来なかったし…ストックがあるからそれ使うけど、あんまり食べとくとちょっと辛いんだよね」
彼女の言葉にそう返すとまだそんなことを言ってるのかといった目で俺を見た。
「とりあえず学校の近くまでは一緒に行こう。まだ君も本調子じゃないだろうし」
玄関先でそう告げて俺は先を歩く。
彼女にネックレスを渡したとしても校内はともかく外では油断出来ない。
弱くなって来ているとはいえ結界がある校舎ならネックレスに込めた霊力だけで充分身を護れるだろう。
外ではあの大きさのネックレスだしそんなに持たない。
あくまでも俺はトランプに霊力を込めているから。
代用でマークを使っているけど、マークの方が持たないし。
「そういえば君の名前を聞いてないんだけど」
「…風見沙耶、」
「風見さん、ね。よろしく。それと俺のことをさん付けするの止めてね、同じ学年みたいだし」
まあよろしくする気はないみたいだからさん付けは止めないんだろうけど。
学年カラーの入ったリボンを見ながら言うと、風見さんは露骨に顔をしかめた。
……そんなに露骨な態度取られると傷付くんだけどな。
「…考えとく」
「うん、そうしておいて」
微笑むと風見さんは沈黙して、俺も特に何か話さなくちゃいけないこともないから黙ってると学校に着いてしまい、門のところで別れた。
…風見さん、あれだけ霊力が高くて今までよく無事でいられたよね。
なんて考えながら部室へと向かう。
準レギュラーの部室に入り、レギュラーの部室にあるものよりは小さめなソファー(と言ってもやはり高価なものだけど)に座り込む。
…正直、辛いかも。
朝練もこの調子じゃ出られるか分からないし、跡部に何て言って休もう…。
「萩ノ介。顔色が悪いな、アーン?」
「あ、跡部。…ちょっと寝不足でね」
「体調の管理はしっかりしろ。…おい樺地」
「ウス」
調度部室に入って来た跡部と言葉を交わした。
やっぱり俺の体調なんかお見通しらしい跡部は樺地にタオルケットを持って来るように指示して俺に掛けさせた。
「ごめん、跡部。樺地もありがとう」
「俺様は部長である以上部員全員の体調を見なくちゃならねえからな。これは当たり前の行動だ、なあ樺地」
「ウス…滝さん、は…疲れて……ます」
あまり喋らない樺地がそう言って俺のことを心配そうに見つめる。
樺地は優しいからなあ。
「そういうことだ。萩ノ介、とりあえず朝練は休め。何なら奥にある休憩室で休んでもいい」
ジャージを翻し部室から出て行きながら跡部はそう言った。
全く…跡部には敵わないよ。
このまま此処にいても邪魔になるからと言われた通りに俺は奥にある休憩室へと足を向けた。



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