「織田さん、今日はよろしくね」
「ええ、こちらこそ…」
とある日、立海レギュラー達に遊びに誘われた市。
二つ返事で了承した市は待ち合わせ場所の駅前に来ていた。
「…是非もなし」
「か、上総ノ介様…」
「友人と遊びに行くとは言っていましたが…まさか男性とだったとは思いませんでしたよ」
「光秀…そのカメラどっから持って来たんだよ!」
その様子をコソコソとした様子で眺める影が4つ。
それぞれ右から織田信長、濃、明智光秀、森蘭丸。
市と血の繋がり、もしくは関わりのある人物達である。
前世を覚えていないらしい市と普通に接して来ていた四人だったが、まさか市に男友達がいるとは思いもよらなかった。
四人は心配になりこっそり後を付けて来ていた。
「ぶるあぁぁあ……我の妹に、何を…」
ギシギシと信長の手によって電柱が軋む。
現在、市には切原が抱き着いていた。
「織田せんぱーいっ!俺、織田先輩と遊びに行けるなんて嬉しいっスよ!」
「市も嬉しいわ……」
「…絶対蘭丸の方があいつより強いのに」
「あらあら、蘭丸君。市ちゃんのお友達だもの、強いに決まってるわよ」
宥める濃だが、目は笑っていない。
その視線の先には先程からこちらを見続けている幸村の姿がある。
「……ふうん、ねえ織田さん。今日は楽しもうか」
「ええ…、市こっちで遊びに行くの初めてよ……」
「おやおや、市様は遊びに行くのを我慢なされていたのですねえ…ククッ」
「きっしょ、光秀!」
「言うじゃありませんか、この餓鬼が」
バチバチと相変わらず仲が悪い二人が睨み合う。
「黙れ光秀ぇ…丸…」
「! 信長様ごめんなさい」
「ああ…すいません、信長公…」
「上総ノ介様、どうやら移動するみたいです」
ふと様子を見ていた濃の言葉に信長は無言で視線をやる。
「…行くぞぉ」
「上総ノ介様、此処はこの濃めにお任せを」
「…ふん、濃よ存分に奮えぇい」
「はい、上総ノ介様」
ゆっくりとした足取りで濃は市達に近づいていく。
「市ちゃん、奇遇ね」
妖艶に微笑み後ろから声を掛けると市は驚いたように振り向いた。
「あ…濃義姉様」
「織田、知り合いか?」
「ええ、兄様の奥方なの……」
「ほう…兄貴の、のう」
興味津々といった要素で濃を見遣る仁王。
「たたたた、たるんどる!」
「たるんでるのは弦一郎の脳内だよ」
濃の際どい服にカアッと顔を赤らめて叫ぶ真田に冷たい視線を送る幸村は溜息をついた。
「…もしかして、さっきから視線を送っていた人達の一人かな」
「…あら、鋭いのね。坊や」
「ふふ、坊やって年でもありませんよオネエサン?」
空気が凍りつく。
「やいっ、市様に引っ付くなよこのワカメ!」
「…あ?誰がワカメだって」
「お前さんじゃとよ、このツンツンチビが言っとる」
「誰がツンツンチビだっ!」
「…ひゃははっテメエも赤く染めてやろうか?」
「仁王君、煽るのは止めたまえ!」
蘭丸と切原の喧嘩を面白そうに煽る仁王と、そんな仁王を止めようとする柳生。
「ジャッカル、俺腹減った」
「お前…空気読めよブン太……」
「おやおや、此処に血色のよさそうな赤いぶ…青年が一人いるじゃありませんか」
「誰が豚だって?」
「誰も豚などと言っていませんよ」
「お前のことぶちのめしてやるぜ…ジャッカルが!」
「って俺かよ!」
勝手にコントを始めた丸井とジャッカルを面白そうに眺める光秀。
収集が付かない状態をデータに取る柳と、今だに顔を赤くしたままの真田。
市は何が起きたのか分からずにぼんやりと眺めている。
「ぶるあぁぁあ!貴様ら全員平伏せぃ!」
待ち切れなくなった信長がキレ、何とか収集が付いた。
「……で、この人は?」
「市の兄様よ…」
「似てないっスね」
「ごめんなさい……」
「あーっ何市様泣かしてんだよ!このワカメ!」
「泣いてねえじゃん!このチビ」
「……ねえ、黙ろうか」
「!…ういっす」
「うっわだっせー!」
「君もなんだけどな?」
幸村の微笑みに何かを感じとったのか蘭丸は黙り込んだ。
「それで、織田さんのお兄さんが何か用事でもあるんですか?まさか、妹である織田さんが友達と出掛けるのが心配だったとかじゃないですよね?友人と遊びに出掛けるのは何ら不思議なことではないと思いますが」
ノンブレスで言い放った幸村にレギュラー達はコソコソと話す。
「幸村のやつ、本気で言いくるめに掛かっとるのう」
「余程織田さんと遊びに行きたかったのでしょうか…」
「そこ、あとで俺と乱打一時間」
幸村に言われ黙り込む仁王と柳生。
「言っておきますが、俺達は織田さんを友人として見ています。恋愛対象としては見ていませんよ(まあ赤也らへんは分からないけど)」
「……是非もなしぃ、愚民共ぉ今日は帰るぞ」
フン、と鼻を鳴らし信長は背を向けた。
「え、良いんですか信長様!」
「こやつらなら安心に値する」
振り向きもせずに言うと信長は歩き始める。
慌てて信長を追う蘭丸と濃、そしてちらりとレギュラー達を一瞥して笑い立ち去った光秀。
「何だったんだ、一体…」
ジャッカルの言葉に全員が全員頷かざるを得なかった。

───
紫春様リクエスト『緋花IFで超絶仲良し織田軍が転生していたら』でした。
何だこの意味不明な文は。
とにかく紫春様のみお持ち帰り可能です。


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