「あれ、三成やんか」
「…忍足か、」
市と謙也が大阪で会った際、かの凶王…石田三成と会った。
彼もまた転生して記憶を持ったまま生活をしていたのだが、今まで市と再び巡り会うことはなかった。
三成は現在は大阪に住んでおり、生活範囲が違う二人が再び会えたのは偶然に近い。
市が大阪にいた頃も、住んでいた地域が遠かったのか会うことはなかった。
一方の謙也は小学生の頃から知り合いであった(親友だと思っている)三成に対して笑顔で話し掛ける。
「何や久々やな。最近、学校ですれ違っても全然話さんし」
「何故貴様と話さねばならない。私は秀吉先生の手伝いをしなければならない」
「堅いなあ、ホンマ。織田も何か言ってくれんか?」
「………………」
「織田?」
謙也の言葉を聞いていないのか三成をガン見する市に謙也は首を傾げた。
「…魔王の妹か、何故貴様が此処にいる」
「……魔王?何言うてるん三成」
「貴様は黙れ、斬滅されたいのか」
「酷ない!?親友に向かって酷っ!」
「誰が貴様なんかと親友だ……!百歩譲って同級生だ」
「まんまや!そりゃあそれ以下でもそれ以上でもないやん!」
「……闇色さん?」
謙也の言葉の間を縫って、市は尋ねた。
「…やはり、魔王の妹か」
「え、知り合いなん?ちゅうか俺は無視?」
「煩い、秀吉先生こやつを斬滅する許可を……!」
「えええ、豊臣先生にそんな許可まで貰うんかい!」
「当たり前だろう、何を馬鹿なことを…」
「何やろ、三成のツンが酷過ぎる……」
「闇色さんはどうして此処に…」
「私は…あの関ヶ原の際、家康と闘い合い秀吉様の敵を取ろうとしていた」
「あれ、何で関ヶ原?ちゅうか秀吉様!?」
謙也の言葉を無視して三成は更に続ける。
「その際、刑部の声が聞こえたかと思うと気がついたらこちらにいた」
「市はよく分からないの…」
「そうか、……私は家康を斬滅しなければならないのにッ!」
「大変ね……」
「いやいや大変て何やねん」
「……いたのか忍足」
「おったわ最初っから!何やねんさっきから!」
叫ぶ謙也に三成は面倒そうな顔をした。
「………貴様など秀吉先生のお言葉がなければ斬滅をするというのに…」
「こっわああぁ!豊臣先生のおかげでいつのまにか命拾いしとる…!」
「明日があるわ…謙也さん…」
「織田に慰められた…」
どんよりとした雰囲気を出す謙也を無視して、三成は再び口を開いた。
「それよりも気になっていたが、何故そのような格好なのだ。休日だろう」
「これは…忍足さんが謙也さんと会うなら制服が良いって……」
「忍足…見損なったぞおおぉぉ!」
「え、えええ!?俺そんな趣味ないわ!それ侑士の趣味やろ!」
「女子のことをそのように見ていたなど…秀吉様に斬滅の許可を貰うまでもないッ!おぉぉしいぃたあぁりいぃぃい!」
「どっから取り出したんやその刀ああぁぁあ!」
刀を構え走り出す三成から逃げ出した謙也。
…二人とも足が早いから全く決着がつかない。
「二人とも、仲がいいのね…ふふ、」
市の目には二人が仲良さ気に追いかけっこをしているように見えていた。
「…そろそろ止めないと、迷惑になるわ…………」
ふと周りの様子を見て市は呟くと黒い手を出して、二人を止めたのだった。

───
蒼様リクエスト『緋花IFで三成も転生していたら』でした。
三成ルートまだやってないんです…闇色さんって呼び方しか分からない私を斬滅してください。
そして相変わらずの扱いの酷さの謙也さん。
でも謙也さん好きです←
蒼様のみお持ち帰り可能です。


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