「おっだせんぱーい!」
「赤也、こんにちは……」
「今日はお招きありがとうございますっ!」
「赤也!女子に抱き着くなどたるんどるわ!」
「落ち着け、弦一郎。人の家で騒ぐな」
今日、市の自宅には切原と柳と真田が来ていた。
切原は元から来ることになっていたのだが、柳と真田は切原が迷惑を掛けないかと思い、来ることになった。
「あ…今日、兄様達がいるから静かにしてないと怒られるわ……」
「織田先輩の家族っスか?へえ、ちょっと会ってみたいっスね」
「ぶるあああぁあっ!光秀ぇ…何を持っている……」
「おやおや信長公。決まっているじゃありませんか、実験用のモルモットですよ…ククッ」
「……やっぱいいっス。早く行きましょう」
リビングから聞こえた会話に、切原は何かを察したのか視線を逸らしながら言った。
「その方が良いだろうな、何か物の壊れる音が聞こえる」
「兄様…暴れているわ………全て市のせい…」
悲しげに目を伏せる市に真田は首を傾げながら言った。
「む、織田は何もしていないだろう」
「そう、かしら……」
「そうよ、市ちゃん。上総ノ介様のことは、私が注意しておくわ」
「あ、濃義姉様……」
「たったたた、たるんどる!」
「弦一郎…いい加減慣れてくれ」
リビングから顔を覗かせたスレンダーな女性──濃の姿に真田が顔を赤くする。
そんな様子に柳が言葉を掛けると、真田は「うむ…努力はしてみよう」と言った。
「あら、初なのね。何だか新鮮で嬉しいわ」
くすり、と微笑みながら濃は言うと一拍置いて付け足した。
「今は、リビングには近寄らない方が良いわよ。蘭丸君が光秀を弓で打っているから」
「弓!?危なくないっスか当たったら」
「大丈夫よ、光秀もメスで弾いていたから」
「興味深いな」
柳の言葉に市は控えめに声を掛けた。
「柳さん、リビングには近寄らないでね………」
「ああ、分かっている」
柳が返すと、濃は呟く。
「…まあ、そろそろ上総ノ介様が止めてくれると思うわよ」
濃の言葉と共にリビングからズガン、と音がする。
「貴様らぁ…市の皿を割るとは何事ぞ…」
「……今、銃の音がしてたんスけど」
「あら、きっと気のせいよ」
サラリと切原の言葉を受け流して濃は笑う。
「濃…何をしている」
「上総ノ介様。今、市ちゃんのお友達が来ていたのでお話していたのです」
リビングから出て来た信長の言葉に濃は答えた。
「……友ぉ?」
「あ、織田先輩と仲良くさせてもらってます!切原赤也っス!」
「同じく、仲良くさせてもらっている柳蓮二です」
「真田弦一郎です」
「…………」
「兄様……?」
「男ではないかぁあああ!」
黙り込んだ信長に恐る恐る市は声を掛けた。
すると、信長は独特の巻き舌で叫んだ。
「市に悪い虫が付かぬよう、今まで苦労してきた…なのに、貴様らぁ……」
ギロリ、と切原達を睨みつける信長。
「よもや、このまま生きて帰れると思うなぁ……!市に手を出す輩はぁ、死ぃあるのみいぃ…!」
何処からともなく銃を取り出した信長。
「上総ノ介様?」
しかし、濃が笑顔で二丁銃を信長に向けて構えたことで、信長は渋々銃を仕舞った。
「ごめんなさいね、三人共。上総ノ介様は、市ちゃんのことを溺愛しているのよ」
こっそりと濃は三人に言うと信長を促しリビングに入って行った。
「…強い女性だな」
真田の言葉に切原と柳は静かに頷いた。
「…三人共、そこに立っているとまた兄様が来るわ………」
「ああ、そうだったな」
市に声を掛けられ、三人は市に着いて行き客間に入った。
「久々のフカフカソファじゃないっスか!いやー懐かしいっス」
切原は客間に着くなりソファに倒れ込み騒ぐ。
「そういえば赤也は織田の家に暫く居候していたな」
「…幽体状態でソファに座れたのか?」
「物体には触れたんで」
真田の疑問の声に切原はソファでゴロゴロとしながら答えた。
「おいっお前!何蘭丸の特等席奪ってんだよ!」
いきなり声がしたかと思うと切原の体は床に落ちていた。
「いって…何しやがんだよ!」
「蘭丸の特等席奪ったのが悪いんだよ!」
「蘭丸…」
「市姉ちゃんも何で止めないんだよ、此処は蘭丸の特等席っていつも言ってるじゃんか」
「姉ちゃん?君は、織田の弟なのか?」
「そうだよ糸目っ。俺は蘭丸、正真正銘信長様の子供だからな!」
「…………」
「わっ!な、何だよ!べっ別に怖くなんてないからな!」
柳が静かに開眼すると蘭丸は怯えながら気丈に返した。
「だっせー、柳先輩に怒られてやんの」
「うっさいこの歩くワカメ!」
「…ああ゙?お前も赤く染めてやろうか?」
「へんっやれるもんならやってみろよ!」
二人の喧嘩に三人はどうしようかと目を合わせた。
「…おや。此処に調度良いいけに…素材が一人」
スッと顔を覗かせた不健康な肌色の青年──明智光秀が舌なめずりをしながら真田を見つめた。
「運動不足か?たるんどる!」
「……煩いですねえ。これじゃあ素材にはなりませんか」
真田の言葉に光秀は顔をしかめながら言う。
「今日も皆平和ね………」
「(平和、なのか……?)ああ、そうだな」
市の言葉に柳は同意した。

───
露李様リクエスト『緋花で織田軍が家族として転生』でした。
信長─兄、濃─義理の姉、蘭丸─弟、光秀─危ない従兄弟。
とのことでしたが、上手く表せていましたでしょうか…。
露李様のみお持ち帰り可能です。


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