「ごめんなさい、ぶつかって」
はいはいこんにちは、相も変わらず爆走してる名前ちゃんでえぇっす!
とりあえず悪ノリしてみたけど、あれだね。
ぶつかってサーセン。
「いえ、ワタシも余所見してたので…こちらこそごめんなさい」
………良い人だ。
何だろう、久々に良い人に会えて嬉しいよ。
「でも何か一杯荷物持ってたみたいだし…あ、運ぶの手伝うよ!」
「え、でも悪いですし良いですよ」
「でもぶつかったのは私だからさ、私の気が済まないんだ」
「……じゃあ、お願いします」
「オケオケ!任せとけ!」
これでもおばさま方の食料争奪戦争に参加してるから力あるんだ、相手の女の子の荷物を半分以上持って何処に運ぶのか聞く。
「立海大附属ですよ」
「立海大…?何か偶然って怖い」
「え、偶然って何がですか?」
「あーいや…私前までは立海に通ってたんだよね。中二までだけど」
「そうだったんですか。何だか親近感が湧きますね」
二人でほのぼのと歩く。
…うーん、やっぱり女の子って良いよね!
可愛いしふわふわしてるし。
私何故か周りが男の子ばっかで女の子要素が足りないんだよね……!
うん、このままお友達になれないかな。
「そういえば自己紹介もしてませんでしたね。ワタシは神原詩戯って言います」
「私は田中名前。青学三年だよ!あ、神原ちゃんって呼んでも良い?もしくはしっつんか駿河さん」
神原とか駿河さん思い出すよね、思い出す人挙手。
「では神原ちゃんでお願いします」
「オケオケ把握。私のことは好きに呼んじゃってよ」
「では田中さんで」
やっぱり美人さん……!
ちょっと誰かカメラをくれ。
私が神原ちゃんをカメラに収めるから。
「立海内には入れないから、門のところまでかー…門で誰か待ってる?」
「待ってない、と思いますけど」
「ふうん。…とりあえずあの人影にピンと来たら110番」
「え、…赤也?」
「ほほう、あれが噂のワカ……げふんげふん、切原君。凄く…天パです」
「詩戯せんぱーいっ」
いやいや、見事な天パですね。
そして神原ちゃんに抱き着くとか良いぞもっとやれ。
鼻血モンだねこれは。
「田中さん、見てないで何とかして…って鼻血出てますけど大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ない」
「あれ、誰っスかこの見た目ふっつーな人」
…見た目普通!?
ナメるな、私をいちびったら痛い目見てもそっちのせいだかんな!
あれ、どっかで聞いた台詞。
何処でだろう、私は知らないよ。
「赤也、失礼だから」
「詩戯先輩酷いっス!」
「とりあえず離れて、暑いし重い」
「ええっそりゃあないっスよ!こーんな素敵な彼氏捕まえといて」
「な…んだと……」
あああ、これは美味しいっ美味しいよ…!
生意気だけど一途な後輩彼氏と敬語毒舌な先輩彼女…見えた、新境地!
「誰が彼氏?馬鹿なの、死ぬの?」
真顔で言うなんてこれ何て鬼畜?
そして気にしたそぶりを見せない切原君凄く、天パです……。
え、違う?
うんまあどうでもいいよね。
とにかく神原ちゃんと切原君グッジョブ。
「弦ちゃんとか柳君に会わないうちに逃げたいなあ…」
「お義兄様と、知り合い?」
「え、お義兄様…!?それは弦ちゃん?それとも柳君?」
「柳君の方です」
切原君を引っ付けたまま答える神原ちゃん。
……え、あの柳君が?
お義兄様?
何かの間違いじゃなくて?
「どうやら私は疲れているようだ…バルス!」
「田中さん!?」
声色を某天空王な大佐に変えて叫ぶと神原ちゃんと切原君に驚かれた。
私がバルスと叫んだら駄目なの?
「今、声がム〇カに…」
「普通なのに、こんな取り柄があったんスね…」
「おいそこのもじゃ小僧。喧嘩売ってんなら買うよ、弦ちゃんが」
「弦ちゃん?」
「真田弦一郎だけどなーにーかー」
全く本当に失礼な!
普通、良いジャマイカ!
てゆか弦ちゃんの名前出したら黙ったし。
そうかそんなに怖いのか。
「田中さん、ワタシから怒っておくから無視していいよ」
「いやいや、神原ちゃんの手を煩わせる訳にはいかないっしょ。弦ちゃんに頼まなくても私はもじゃ小僧を倒せるし」
「え、倒せるの!?赤也、こんなのだけど普通に強いよ」
「成る程、相手にとって不足なしか。じゃあ、カラオケで勝負だ」
え、腕っ節を期待してた?
はっはー私は武闘派じゃないのだよ、まあ変な白菜に絡まれて互角に戦えたけどね!
いやあの白菜マジ可愛いよ。
モンブラン好きって…乙女か。
とりあえず白菜とは喧嘩友達ですまる。
「カラオケ、スか?」
「あれ、もしかして歌下手?じゃあ私の不戦勝だね。プギャー」
嘲笑ってやると切原君はムッとして言い返して来た。
「まっさか。アンタみたいな普通のやつに負ける訳ないっスよ」
…どうやらよっぽど私を怒らせるのが上手らしいよ。
「よっしゃあ、じゃ私から行くよ」
「此処で歌うの!?カラオケに行けば良いのに」
神原ちゃん、大分私に慣れて来たのか敬語抜けて来たね。
おっちゃん嬉しいよ、おっちゃんじゃないけど。
「カラオケはね、こないだ桃ちゃんと言ってオールナイトしたから良いよ。次は手塚君と行きたい」
「(今何か知り合いの名前が出て来て…)そうなんですか」
「そうなんです。さて、私が歌うのはこれだ!アンハッピーリフレイン」
「アンハッピー、リフレイン…?」
「じゃあ行っくよー。……────」
歌い終わると二人がポカンとした顔で私を見ていた。
「歌、上手いんですね」
「まあ…うん」
「しかも声全く違うじゃないっスか」
「体が縮んだ東の名探偵が持ってる変声器を素で装備してるからね」
いやマジでさ、最初はびっくりだよ。
私がふざけてアニメのキャラの真似したら声そっくりだったんだもん。
「とりあえず切原君歌う?」
「…いや、良いっスよ。何か目立ってますし」
「まあ人通りあるからね…田中さん、荷物ありがとう」
「いんや、可愛い女の子に荷物持たせる訳にはいかないし」
「あ、俺が持って行きますよ」
ひょいと神原ちゃんの荷物を奪い取る切原君。
「すっごい好かれてるね、神原ちゃん」
「…………」
「神原ちゃん?」
「あはは、いやもう本当にヤンデレの如くで…」
「神原ちゃん!?」
若干遠い目してる…!
苦労してるんだね、でもそんな神原ちゃんに最終通告。
「…神原ちゃん、私そろそろ行かないと。これから聖地(と書いてアニメイトと読む)に行くから」
いや本当に見捨てた感がバリバリあるんだけど、私このまま此処にいたら駄目だって第六感が言ってるんだ…主に柳君とか柳君とか柳君とかねっ!
なので最後にこんな置き土産。
「赤也!たるんどるぞ!練習を勝手に抜け出したと思えば…さっさと練習に戻らんかー!」
「え、えええ!?副部長、すんませんっ」
顔を青ざめさせて走って行った切原君と、よく分かってないらしい神原ちゃん。
「え、弦一郎?」
「あーいないよ、弦ちゃんは。私の声真似」
「あ、成る程…凄いんですね」
「まあ、特技ってことで一つ。…それより行かなくて平気?」
「あ、そうだった。じゃあまた会えると良いね。今度はもっと話そうよ」
「うん。今度は趣味とか詳しく話そうか」
「楽しみにしてる」
神原ちゃんが立海の中に入ってくのを見送って、私は校舎に背を向けた。
…聖地に行く為に。

───
空歌様リクエスト『オタ事情でコラボ』でした。
空歌様のサイトで連載されている干渉者連載のヒロインちゃんとコラボ。
あああ、キャラが掴めていない…だと…!?
あばばすいません。
駄文過ぎてすいません。
空歌様のみお持ち帰り可能です。


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