クセモノと天才とやで!
 

「周助ーっ!」
「やあ、久しぶりだね銀音」
「ホンマ久々やー」
前々から話していた一緒に練習するという約束を果たす為、不二と銀音はストリートテニスコートへと来ていた。
「周助って強いんやろ?ごっつ凄いて聞いたで」
キラキラと目を輝かせる銀音に困ったように笑いながら不二は言う。
「僕は強いって訳じゃないよ」
「えー?でも切原も言っとったし」
「切原が?」
銀音の口から出た名前に不二は目を開いた。
「何かな、『倒さなきゃなんねーバケモノが増えた』て言うとった」
「へえ……そっか」
銀音の言葉に不二は笑みを深め、銀音の頭を撫でた。
「あ、そういえば立海と当たったときに銀音を見掛けなかったけど…何かあったのかい?」
「うち応援しとったで?周介が試合しとったとこ見てたもん」
そう言うと銀音はラケットをギュッと抱きしめ、コートに入る。
「なあなあーっ早うやろうや!」
「ふふっ…そうだね」
クスリ、と笑み不二もコートへと足を踏み入れた。














「はっ!」
「ふんっぎぃー!」
二人の打ち合う音が響く。
「行くで…っ妖精の円舞!〈ようせいのワルツ〉」
「!今のは、一体……」
銀音の打ったボールが不二の足元に着いたと思うと、そのまま円を描くように丸い跡を残してタタン、と跳ねた。
「やった…成功したでっ周助!」
嬉しそうに不二に飛びついた銀音に、不二は笑みを浮かべたまま頭を撫でた。
「おめでとう、銀音。だけど…あんな変化、どうやって」
「んっとな、ボールがグインってなってそこをパコーンのバシッのくるっでタタンや!」
不二の問い掛けに銀音は答えるが、感覚だけの説明に不二が僅かに困ったような顔をした。
「うーん…そうじゃなくて、」
「不二先輩、何やってんスか?」
「やあ、桃」
聞き覚えのある声が聞こえて、不二はそちらを向きつつ挨拶をした。
「何って言われると…試合、かな」
「試合?ってこの小さい子とスか?」
「小さい言うなーっうち、ちっさくないで!」
ベーッて舌を出す銀音にワリイワリイ、と桃城は謝った。
「でも、不二先輩と試合するなんて羨ましいことしてんなーお前」
「へへっええやろー」
桃城の言葉に銀音は得意気に笑った。
「桃城、君も打ちに来たんじゃないのかい?」
「ああ、俺っスか?あとから越前も来るんで越前とやりますよ」
「えちぜん?て、お店ん名前?」
理解していない銀音が桃城に尋ねる。
「越前っつーのは…生意気で強い超ルーキーだな」
「超ルーキー…ごっつ強いん?うち、試合したいわー」
キラキラと目を輝かせる銀音だが、携帯が鳴っているのに気付いて携帯を取り出す。
「んっとー……もしもし?」
『銀音かよぃ。今日は幸村君の復活パーティーやるって言ってただろぃ?まだ幸村君来てないから急いで真田ん家来いよ』
丸井は言いたいだけ伝えると電話をすぐに切った。
「…周助ー、うちもう帰らんと駄目になってもうた」
シュン、と落ち込みながら銀音は言った。
「そうなんだ…また今度、練習を一緒にしようよ」
「ええん!?おおきに、周助!」
嬉しそうに銀音は不二に飛びついたあと、ラケットをウサギリュックに仕舞って走り始めた。
「不二先輩、あいつ誰だったんスか?」
残された桃城が不二に問い掛けると、不二は意味ありげに笑いながら言った。
「超ルーキーってとこかな」


―――
キリリク21000で古希様リクエスト『青学との絡み』でした。
話の都合上、絡ませられるのが不二とギリギリで桃ちゃんだけだったので…。
古希様のみお持ち帰り可能です。



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