大阪に帰ったで!
 

「久々にこっち来たなぁ」
全国大会が終わり、暫く経った。
銀音は部活が休みになった日を利用して大阪に帰って来ていた。
「金ちゃんには内緒にしとったけど家におるかな」
ワクワクした顔で駅から出た銀音は家に向かって歩き始めた。
「あら、金太郎さん?」
後ろから弟の名前が聞こえて来て振り向くと、そこには全国大会で知り合った金色小春がいた。
「金太郎さん、こないなとこで会うなんて奇遇やね」
「小春、小春。うち銀音です」
銀音はしっかり訂正する。
「あら、ホンマ。帰って来とったんやね」
頭を撫でてくる小春に銀音はにっこり笑った。
「全国大会ん時に会ってから会っとらんかったわね」
「せや、何やか知らんけど幸村達が帰るなゆうてきてん」
「幸村君達が…それって」
「小春うぅぅぅう!何浮気しとんねん!」
小春の言葉を遮り、一氏ユウジが駆け寄ってきた。
「ベタベタすんなや一氏」
「! 小春!?」
「あ、モノマネの兄ちゃんや」
「うっさいわ!……て金ちゃん?」
「ちゃうわよユウ君。銀音ちゃんやて」
「ああ、金ちゃんの兄弟のか」
「モノマネの兄ちゃん、兄ちゃん」
「一氏ユウジや」
「! 一氏ってエスパーなん?」
ビックリした顔で聞く銀音に一氏は呆れ顔で言った。
「アホ、名前で呼ばれとらんかったら誰でも言うやろ」
「そうなん?よう分からんけど…」
「そういえば、銀音ちゃんは金太郎さんには会えたん?」
「まだ会っとらん」
「せやったらはよ行かなあかんよ」
ソッと背を押す小春に銀音は笑顔で頷いた。
「おーきに、小春!」
「ええんよ、さあユウ君。行きましょ」
「おう、じゃあな銀音」
去って行く二人を見送り、銀音は家への道を走った。
「たっだいまー!」
その声にドタバタと家の中から走って来たのは金太郎だった。
「銀音や、銀音ー!」
「金ちゃん、久しぶりやな!」
ギュッと抱きしめあい、二人は笑う。
「今日はどないしたん?帰って来るなんて聞いとらんよ!」
「あんな、金ちゃんに驚いて欲しかったんよ。やから秘密で来たんやで」
「ビックリしたわー」
仄々した雰囲気を漂わせる二人。
「お、確か金ちゃんの兄弟の……」
「銀音や」
「せやったな。お邪魔しとるわ」
そんな騒ぎに、家へと来ていた白石蔵ノ介はこちらに顔を覗かせた。
「んーと…絶頂さん?」
「惜しいけどちゃうよ。白石蔵ノ介言うんや」
包帯を巻いていない手で白石は銀音の頭を撫でながら言った。
「しらいし…白石やな!毒手取得しとるって金ちゃんから聞いとったでー」
「金ちゃんめ…何教えてんねん」
「うち、毒手見たいなー」
キラキラとした瞳で白石を見つめる銀音。
そんな姿に白石は少しだけ動揺した。
「門外不出やからなあ…見せられんのや、」
上手いこと言って白石はその視線を逃れた。
「そうやったん?じゃあ金ちゃんもまだ見とらんの?」
「せやな、金ちゃんも死にとうないゆうて嫌がるさかい」
「やって、毒手くろうたらめっちゃ苦しんで死ぬんやろ?ワイ嫌やもん」
二人の話に金太郎はビクビクしながら言った。
「でも金ちゃん、何でそないに毒手くらいそうになるん?」
不思議そうな顔で銀音は言った。
「それはやな」
「し、白石!言うたらアカン!」
面白がり、白石が話そうとすると金太郎は慌てて止めた。
「金ちゃん、どないしたんや」
「銀音に言うたら駄目や!」
「こんくらい平気やろ?」
「駄目ったら駄目や!」
余程言われたくないのか、金太郎が騒ぐ。
「何でそんなに嫌がるんや、金ちゃん」
「銀音にかっこ悪うとこ見せたくない」
「二人とも何話しとるんー?」
何の話か掴めていない銀音が聞くと、金太郎は何でもないと必死になって言った。
「まあええか、ところで銀音ちゃんは今日の夜開いとる?」
「おん、明後日までこっちいる予定やから平気やで!」
「なら四天宝寺のレギュラー陣とオサムちゃんに奢ってもろて歓迎会やろか」
「歓迎会?」
「流しそうめん大会やるで、どや?」
笑顔で白石が誘うと、銀音は嬉しそうに頷いた。
「ワイもワイもー!」
金太郎が声をあげた。
「金ちゃんは銀音ちゃんとおるとええ。準備は他の皆とやっとくさかい」
お邪魔したわ、と白石は帰って行った。
「金ちゃん、」
「銀音!」
ぎゅうっと抱きしめ合い二人は笑う。
「ホンマ久しぶりやー!」
「全国大会で会ったばかりやよ、金ちゃん」
「大阪で会うんと東京で会うんじゃ違うでっ」
「そやった!じゃあ久しぶりや」
おお!と納得した銀音。
「ちょっとしかこっちおれへんけど、金ちゃん遊ぼーな!」
「おん!仰山遊ぶでーっ」
きゃっきゃっ騒ぐ二人は直ぐさまラケットを持ち外に出た。
「絶対負けへんでー!」
「それはこっちのセリフや!」
パコン、パコンとボールを打ち合いながら二人は町の中を駆け回る。
「明日は動物園行こうな!」
「ウサギ触れるとこやないと嫌やでっ」
「分かっとるでー!あと豹も見れるとこなっ!」
「おんっ、楽しみやなー!」
段々と打ち合う速さが速くなってくる。
二人はニコニコ楽しげに笑い、話す。
「今日はこれから何するんー?」
「せやなー…あ、光んとこ行くでー!」
「光ーっ!早う行っくで!」
信号まで来て二人はボールを打つのを止めた。
そして顔を見合わせて、悪戯気に笑い財前の家に向かって走り出した。



















「部長ら、いきなり何考えとるんや」
財前は部屋でパソコンを操作しながら言った。
先程来たメール『暇なやつは学校集合や!流しそうめん大会やるで』について考えた。
「(この間やったばかりやから、やらん筈なのに)」
はあ、と財前は憂鬱そうに溜息をついた。
「大体何で流しそうめんするんや」
「光ー!」
調度そのとき、外から財前を呼ぶ声がした。
「何や、金太郎か?」
ガラ、と窓を開けて家の前を見た財前は、金太郎の隣にいる銀音を見て一瞬思考を停止させる。
「光ーっ、久しぶりやなー!」
「アホ銀音」
「ええっ何でや、光!」
叫ぶ銀音に財前が毒を吐いた。
「いきなり来るとか、いい加減にせえ」
ちょお待っとれ、と財前は言い自室から袋を持って出た。
「光ー!」
家から出るなり飛びついてきた銀音を予想していたのか危なげなく受け止める。
「はしゃぎ過ぎや」
「やって、光と話すん久しぶりやもん」
「この間全国大会で会ったばからやろ」
自分から引きはがしながら、財前は呆れた口調で言った。
「へへー、」
「へへー、やない。で、何や」
ぺしりと頭を軽く叩き、財前は手に持っている袋を渡しながら聞く。
「光ん顔見に来たんや!……これ、何なん?」
「向こう帰ってから開けえや」
「おん!」
ギュッと体の前で袋を抱きしめ銀音は笑った。
「ワイのこと忘れんでーっ!」
痺れを切らした金太郎が二人に飛びつく。
「忘れとらんよっ、金ちゃん!」
「……何かちっさいユウジ先輩と小春先輩見とるみたいや」
3人はそのまま流しそうめん大会へと直行した。












後日、銀音が神奈川に戻って来て袋を開けると中にはウサギの耳がついたフードが中に入っていた。



四天宝寺の皆と流しそうめん大会や!
(こん後会った謙也と銀と健ちゃんとオサムちゃん、ごっつおもろかったで!)





―――
キリリク2222福様リクエストで「四天宝寺と金ちゃん姉の絡み」でした!
ごめんなさい、謙也と銀さん、健ちゃんにオサムちゃんと絡ませる気力がありませんでした←
とにかく、こんな駄文でよければください…っ!



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