皆でタコ焼きパーティーや!
 

「きょーのおやつはなんやーろなー」
「銀音、いきなりどうしたんだよぃ?」
「あ、丸井や」
部活が休みのある日、銀音は近くにある商店街に来ていた。
そこで丸井に会い、銀音は丸井に抱き着いた。
「うおっ、」
「甘い匂いがするなぁ」
「甘い匂い?あー…多分さっき食ったケーキの匂いだな」
くんくん、と鼻を鳴らす銀音に丸井は言った。
「ケーキ?何処んとこの?」
「そこの角にある場所の。まあ、もう今日は閉じてたけどよ」
「えーっ、ええなあ」
「そのうち行けば良いだろぃ」
頭を押し付け、丸井は笑った。
「やから、頭は抑えつけんで!」
「別に良いだろぃ?」
「駄目やっ」
「んで、銀音は何してたんだよ」
「あ、せやった!あんなあんな、タコ焼きの材料買いに来てん」
「タコ焼き?」
「おんっ、オカンがこっちでもタコ焼き食えるようにタコ焼き機送ってくれたんよ」
既に買って来た小麦粉を見せながら銀音は笑う。
「へー……そのタコ焼き機ってどんくらい焼けんの?」
「ざっと十人くらいは焼けるで」
「じゃあ決まりだな。今日、お前ん家でタコ焼きパーティー」
「うちんとこでタコ焼きパーティー?」
「そういうこと。他の奴には連絡回しとくし、材料も分担で揃えてやるよぃ」
携帯を取り出して、丸井はメールを送りながら言った。
「っし、じゃあ夕方の5時過ぎに集合な。確か銀音の家は新しく出来たマンションだったよな?」
「せやで、」
「こっちで集まったら直で向かうからな」
そう言って、丸井は歩いて行った。


















「お邪魔するよ、銀音」
「相変わらず殆ど物がないな」
5時過ぎ。
宣言通りにレギュラー陣全員を引き連れて、丸井は銀音の家にやって来た。
「あ、いらっしゃい。んーと、材料はそこのテーブルに置いといてーな」
「銀音君、材料を切るのを手伝いますよ」
「おーきに柳生」
リビングの机には既に鉄板とタコ焼きプレートが設置されていた。
「鉄板の方はお好み焼きかの?」
「おん、今日はとことん食べるでー!」
「銀音、米も持って来たのだが」
「真田、それ持って来たん?」
10キロの米袋を床に置いた真田に銀音は驚く。
「この人数だからな。米もこれくらいなくては足りんだろう」
「せやな、急速で炊くな」
「じゃあ俺が洗っとく」
ジャッカルが名乗り出て、米を洗い始める。
「銀音君、切り終わりましたよ」
「了解や!切原ー、材料運ぶん手伝ってーや」
「はいはい、銀音ーこれはこっちのテーブルで良いか?」
「おん、取り皿と箸も並べてや」
「俺も何か手伝おう」
柳が言い、台所にある材料を運ぶ。
「わ、肉とかも買って来てたんだ」
「幸村、俺達も野菜や魚、肉だって持って来ただろう」
「そうだったね。それも出しておこうか」
ガサガサと袋から材料を取り出す真田と幸村。
「こっちは終わったぜ」
「急速押してスタートや」
「急速…ああ、これか」
準備が終わったジャッカルがコップを並べた。
「飲み物は何があるんだよぃ」
ガチャリ、と勝手知りたる手つきで冷蔵庫を開けて丸井はソースやらを取り出し、飲み物を挙げていく。
「お、銀音は前髪が危ないからこれで結びんしゃい」
ヘアゴムで銀音の前髪を結び、仁王は飲み物を出すのを手伝い始めた。
「じゃあ最初はタコ焼きの生地作っとるな!」
小麦粉に水と卵を溶き、トロトロな生地を作る銀音。
それが終わると今度はお好み焼きの生地を作り、具を入れた。
「こちらは片付けが終わりました」
材料を切ったまな板などを洗ってきた柳生が席に着く。
他のレギュラーもそれぞれ準備が終わり、席に着いた。
「じゃあ先にお好み焼きからやで」
具を入れた生地を軽く混ぜて、銀音は熱々の鉄板に流し込んだ。
「お、良い音立ててるの」
「銅板やからな。ほんで、後は待つだけやからタコ焼きも焼いてくで」
油を沢山敷きながら、銀音はタコ焼きプレートの前に仁王立ちした。
「よっしゃ、行っくでー!」
ザッと流し込み、タコを入れて更に他の具もバッと大まかに入れる。
「ちょっと大まかにやり過ぎではないか…?」
真田がそのやり方に眉根を寄せるが、銀音は気にした様子もなく続ける。
「えーからえーから。……よっしゃ、クルッとな!」
タコ焼きピックで溢れた生地を上手く使い、くるりと一回転させる。
「ほんで少しほっといて…次はお好み焼きをほいっ」
お好み焼きをひっくり返し、様子を見る。
「……なかなか手慣れてるね」
「金ちゃんが食べる専門やったから、自然に出来るようになったんよ」
へへっ、と照れ臭そうに銀音は笑った。
「タコ焼きも何回か回して…完成や」
クルクルと回し、銀音は大きな皿に移した。
「少しタコ焼きが凹んだら食べてな」
「美味いな、」
タコ焼きが少し凹み、全員でタコ焼きを食べ始める。
「お好み焼きももうえーで」
「じゃあ早速…うん、うめー」
丸井が最初に手を付ける。
「これは、なかなかですね」
「銀音ちゃん、なかなかやるのう」
ガヤガヤと騒ぎながら食べる。
「あ、俺タコ焼き焼いてみてぇ」
切原が銀音に言った。
「せやったら、材料はそこにあるで!」
「お手並み拝見だな、赤也」
柳が興味深そうにその様子を見つめた。
「へへっ、まあこんくらい出来ますよ」
銀音の手つきには及ばないものの、手際よくタコ焼きを作る切原。
「なかなか上手いな」
「これでも何回か作ったことあるんスよ」
ジャッカルの言葉に得意気に答える切原。
「ふふっ、赤也。よそ見してると焦げるよ」
幸村に注意されて切原はタコ焼きに集中した。
「楽しーな、真田」
隣に座っている真田に銀音は話し掛けた。
「うむ、そうだな」
「あ、真田真田!これ食うても平気?」
「たわけ、それはまだ火が通っておらん」
「銀音君、こちらの方は焼けてますよ」
「おーきに、柳生!」
「銀音ちゃん、こっちの肉は焼いてええんか?」
「おん、」
夜遅くまで全員で騒ぎ通し、そのままのテンションでレギュラー陣+銀音はリビングで布団を敷き詰めて寝た。




皆でタコ焼きパーティーや!


―――
キリリク2000番で「〈遠山のお姉さん!〉連載番外編〈立海テニス部レギュラー達との話〉でした。
リクエストしてくださった輝様に捧げます。
持ち帰りは輝様のみとなっております。



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