氷の帝王と仲間達
 

「ウス」
「うす!」
「……何やってやがる、樺地」
跡部が部室にやって来ると既に来ていたらしい樺地と、赤い髪の少女――銀音がいた。
「迷子…だ、そうです」
「…アーン?この敷地には他校生は入れない筈だろうが」
「壁をぴょんと飛び越えたら入れたで!」
「あの高さの壁をか。向日でも超えられるか怪しい壁なんだがな。…面白え、おい樺地。コイツの保護者は誰だか分かったか?」
「…首から迷子札、をぶら下げて…いました」
「よく迷子になってんのか、コイツ。…で、誰が保護者だ?」
呆れた口調で言う跡部に樺地は暫く間を空けてから答えた。
「………立海の幸村さん、です」
「……………」
跡部はその返答に僅かに顔を顰た。
「…とりあえずコイツは送ってやればいいだろ。部活終了後にでも」
「ウス」
「うす」
「…あ、何や二人とも来とった、んや……な…」
ガチャリとドアを開けて入って来た忍足は固まった。
「……跡部、そないな隠し子がおったんか。ちゃんと避妊はせなあかんやろ」
「何の話だ。…むしろお前の方が可能性が高いだろうが、アーン?」
「ひにんって何やー?」
「…ウス」
忍足の登場によりその場はカオスになった。
忍足の発言に青筋を浮かべる跡部と樺地に純粋な目をして分からない言葉を聞く銀音、そしてどう答えればいいのか分からずに困る樺地。
異様な雰囲気が流れる中、その空気をぶち壊す者が部室へと入って来た。
「あー…マジ眠E………って銀音君だ〜」
「あ、じろーや!」
「マジマジ久しぶりー!」
「あのジローがテンション上がっとる」
「おい、知り合いかジロー」
「Aー?丸井君の試合見に行ったときに仲良くなったCー」
「ああ、あのときの…お前がサボったときか」
半ば諦めが入った口調で跡部が納得する。
「銀音君とは丸井君同盟組んでるんだCー」
「丸井君同盟…って、何やねん」
「Nーと、丸井君のボレーについて語る会?だよ」
「こないだの綱渡りは凄かったんや!そんでな、今度二人でサイン貰うんやでー」
「何処のアイドルだよ、丸井のやつ」
ねー、と二人で相槌を打ち合う芥川と銀音に跡部はツッコミを入れる。
「あ、あと銀音君に手を出したらいくら跡部や忍足だろうと怒るCー」
「何で俺を見ながら言うんや」
「忍足はロリコンって聞いたC」
芥川の言葉に引き気味の目で忍足を見つめる跡部と、銀音を自分の後ろに隠す樺地。
「…いや、誤解やって。俺は足の綺麗な子が好みやし」
「…樺地」
「ウス」
「ちょ、何やねん。降ろしいや、樺地」
「……跡部さんの、命令ですから」
忍足を肩に担ぎ運び出す樺地に慌てて忍足が降ろすように言う。
しかしそれが聞き入れられることはなく忍足は何処かに連れて行かれた。
「今日は送って行ってやるから大人しくしてろよ」
「えー、うちもテニスしたい」
「………」
「跡部ー俺からもお願い。俺も銀音君と打ちたE」
「……チッ、今回だけだからな」
「おおきに!」
「マジマジやったね銀音君!今日は銀音君と試合だC!」
お子様コンビのはしゃぎっぷりに跡部が僅かに頬を緩ましたのは誰も知らない。

―――
キリリク44000番、朝霧麗羽様リクエストで『金ちゃん姉と氷帝の絡み』でした。
とりあえず跡部と樺地と忍足とジロー。
ジローと銀音は丸井君同盟組んでます。
流れ的に県大会終了→メルアド交換→メールで丸井君マジかっこいいって盛り上がる→じゃあ丸井君同盟組もう!って感じです。
なお、樺地に銀音は懐きました。流石妖精さん。
朝霧麗羽様のみお持ち帰り可能です。



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