美人さんな人と
 

「あばばば…すいません」
「フフ、大丈夫だよ。そっちこそ怪我はない?」
神奈川県のゲームセンターに遊びに来た私は美人さんにぶつかりました。
……だって、ポップン楽しみだったんだ!
前から財前君に薦められてたからやってみたくてやっぱり近場だと誰かに見られそうだから神奈川まで遠出してみた。
…ジャッカル君と会っても寧ろ大歓迎だし、ジャッカル君マジ癒し。
なんて浮かれてたからぶつかるんだね…だって、正面激突したよ。
緩やかなウェーブの掛かった青みが掛かった黒髪の美人さんに。
「とにかくお互い怪我がなくてよかったよ」
「でも、前方不注意でぶつかっちゃったし…」
「ああ、大丈夫。俺もよそ見していたのが悪いからね」
この人…天使か…!
いや、でも何かもっと神々しい感じの…。
「神様、みたいな…」
「え、神様?」
「あっいやいや!言葉の綾みたいなものだからっ」
「一応、世間からは神の子って呼ばれてるけど…?」
「へ?」
どうやら美人さん、凄い人のようです。


















「改めて自己紹介、俺は幸村精市。立海大附属中の3年生だよ」
「は、はあ…私は田中銀音です。学校は東京の何処かで」
「何だかアバウトだね」
「いやあ…まあいろいろ事情が」
何か言ったら大変なことになりそうな気がする。
主に精神面で。
何で最近こんなにもイケメンに会う率が高いんだろうか。
私は普通な人なんだけどね。
もう訳分からん。
「銀音さんはどうして神奈川まで来たんだい?東京ならこちらに来なくても買物とか出来ると思うんだけど」
「あー…ほら、何か同じ学校の人に会ったら気まずいじゃん」
「そう?俺はそんなことないけど」
まあ手塚君は別だけどね!
けど手塚君ゲーム上手いからポップンの対戦で勝てる気がしないんだよね…。
そして幸村君はナチュラルに私のことを名前呼びなんだね…!
これが神の子パワーってやつか、恐るべし恐るべし恐るべしー。
恐るべしポイントが3溜まったところで幸村君が私の鞄をジッと見つめて言った。
「これ、確か真田の鞄にも付いてたような…」
「え、真田?誰、真田」
真田って誰?
何か聞き覚えあるようなないような。
うーん…喉元まで出かかってるっていうか。
まあいっか、きっと気のせい…だよね。
ていうか、神奈川の知り合いってジャッカル君と幸村君と…不本意だけど柳君だよね。
ちなみに柳君はあれから会ってないよ、もう会うことはないと信じてる。
…だってデータ怖い。
「…気のせいか。銀音さんがまさか真田と知り合いな訳ないし」
自己完結したらしい幸村君。
「それで、何処に行こうって思ってたの?」
「え…」
幸村君の目が怖かった。
『俺に嘘付かないよね?てか連れてけよ』…みたいな感じがした。
「ゲーセンにポップンしに行こうかと」
私は即答した。
…誰だって自分の命は大事だよ、何か幸村君美人さんだから余計に迫力があるっていうか。
「ぽっぷん?何だか可愛らしい名前だね」
フワリと笑う幸村君。
きゅん。
舌ったらずだ…!
幸村君可愛い!
「俺もぽっぷんやってみたいな…駄目かい?」
「滅相もない!」
さあ行こうか、私達の聖域へ!















「ポップンって面白いね」
本当に初めてなのかな、幸村君。
「ゲーセンに来るのは初めてだけど…たまになら来て楽しむのもいいかな」
「へ、来たことないの?」
「うん、部活仲間は来てるみたいだけど…あまり騒がしいのは好まないから」
それはもったいないな…よし。
此処は私が一肌脱いであげよう!
「じゃあ今日は遊びまくろう!プリクラ撮ったりしてさ」
「え、いいの?」
「うん、とりあえずマリカやろうマリカ。それでシューティングやって最後はプリクラ」
「マリカ…あ、あれのことかい?」
「うん、私テレサやる」
「あ、キャラ選べるんだね。…じゃあ俺はこの緑の生物で」
「ヨッシーだよそれ」
本当に知らないんだね、幸村君…私ヨッシー知らない人初めて会ったよ。









「………幸村君怖い」
「え?普通に走ってただけなんだけど…」
「普通に走ってたらアイテムボックスに必ず赤コウラとかカミナリとか出ないよ」
本当にそれしか出さなかった。
本気で怖い。
「…よし、じゃあとりあえずシューティングだシューティング!」
「シューティング…銃を撃つやつか。俺、出来るか心配だなあ」
「大丈夫大丈夫、とりあえず撃ってればいいから」
「そう?」
二人で横に並んで置いてある銃を手に取る。
此処は経験者の私が引っ張っていかないとね!
「……フフ、」
「!?」
「何だかこのゾンビ達、真田に似てるな」
ガウンッ。
……躊躇いもなく画面越しのゾンビの眉間に撃った。
「あ、こっちにも真田」
バンバンッ。
えげつない…!
的確に眉間のみに撃ってるんだけど!
真田君とやらご愁傷様。
合掌をしてみた。
…っていうか、幸村君画面の向こうのゾンビを怖がらせてるし!
後退ってるよゾンビが。
流石神の子…や、あんまり関係ないよねこれ。
とりあえずゾンビを真田と呼ぶ幸村君に勝てる気がしなかった。


―――
キリリク36000番琥珀様リクエスト『彼らと彼女のオタク事情番外編』でした。
幸村様と遭遇の回。
幸村様は普通な人です。
むしろゲームとかするよりガーデニングするタイプなので。
このあと二人はプリクラを撮りました…が、ふざけてチュープリ(に見える)を撮りました。←
そこの描写はまあ脳内補完でお願いします。
琥珀様のみお持ち帰り可能です。



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