「………、……………(白石君、金平糖が食べたいよー)」
「お、どないしたん?」
テニスボールの女の子、もとい洸と白石が一緒に暮らすようになって数日。
まだまだ意思疎通は上手くいかない二人だが、慣れてきたのか結構普通に暮らしていた。
「よっしゃ、今日の勉強も終わりやな。次はヨガやろか」
「……………!(私もやるー!)」
白石の言葉に洸も動き出して用意をする。
白石は勿論上半身裸になった状態に、洸は以前作ってもらったテニスウェアでヨガを始める。
じっくりとヨガをして汗を拭うと白石は風呂に向かって、軽くシャワーを浴びた。
洸も風呂場の前にある洗面所(風呂に誰か入ってる場合は立入禁止の為)で汗を流す。
二人は夜の日課を終えて部屋に戻るとベッドに潜り寝るのだった。
翌日は日曜、学校はないけど部活はあるので二人は学校へと向かった。
「おはよう白石!今日も早いんやな」
「ああ、謙也か。おはよう、ちゅうか部長なんやし当たり前やろ」
呆れた口調で謙也に言う白石。
足元には既に無数のボールが転がっていて練習していたのが伺える。
「まあそらそうやろうけど。…っと、そろそろ他のやつらも来るやろうしボール片しとこうで」
「おう、そうやな」
時計を見ながら謙也が言うと白石も時計を見遣り頷くと、二人でボールを籠へと戻した。
洸はそんな様子をコートの端にある溝の中から見ていた。
此処なら死角になっていてバレにくいのだ。
「…………………(白石君頑張ってるなあ)」
肩から掛けているポシェットから金平糖のかけらを取り出し口に入れながらボールを拾い集めている二人を見つめる。
「白石はん、おはよう」
「お、銀。今日も早いなあ。おはよう」
「蔵リンおはよう。今日もかっこええわーロックオン!」
「浮気か、小春!…白石おはよう」
「相変わらず仲がええな。小春は褒めても何も出んで?」
次々とやって来る部員達と挨拶を交わしながら白石は出席簿に記入していく。
「まだ来ておらんのは…金ちゃんだけやな」
「金太郎ならまた寝坊っすわ」
「起こしてやりいや光!」
「は?あいつ起こしとったら俺が遅れるんですけど。アホちゃいますか謙也さん」
「アホ言うなや!」
馬鹿にしたように言う財前にムキになって反論する謙也だったが、口で勝てる訳がなく端の方で落ち込んでいた。
「遅刻やー!白石まだ始まっとらんよな?」
バタバタと砂埃を立てながら走って来た遠山に白石は溜息を吐いた。
「…金ちゃん、まず先に言うことあるんやないの?」
「へ?んー…あ、白石と試合したい!」
「却下。今日は金ちゃんは試合無しやな」
「えー!何でなん!?」
「よう考えてみ」
白石はサラリと告げて練習のメニューを告げていく。
「白石が虐める…ワイ試合したいもん」
膨れっ面をしながら遠山はラケットを片手に持ちながら柔軟を始めた。
「…………(白石君流石部長だよね!)」
キラキラとした視線を送る洸。
「………!(私も応援頑張ろう!)」
心機一転、洸は気合いを入れ直した。



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