大阪でえくすたしー!
 

「あれ、確か金ちゃんの姉ちゃんの…」
「銀音やで!」
「ああ、そか。すまんなあ」
白石は苦笑混じりに銀音の頭を撫でた。
全国大会が終わり、引退した白石は勉強の合間を縫ってストテニへと来ていた。
そこで自らの後輩である金太郎の姿に似た銀音を見つけ、声を掛けたのだった。
「銀音ちゃんが此処におるなんてびっくりやわ。金ちゃんはどないしたんや?」
「あんな、金ちゃんは今日補習やねん」
「あー…夏休み前の補習、サボってたんやな」
白石は銀音の言葉に頬を掻いた。
「ホンマは行きとうない言うてたけど、金ちゃんの為やから心を鬼にして学校まで送ってあげたんや」
「銀音ちゃんは偉いんやな」
白石の言うことも毒手を持ち出さないと聞かないというのに流石姉弟。
扱い方を心得ていた。
「そういえば銀音ちゃんは何で立海に入学したんや?財前に聞いたけど、金ちゃんとは普通に連絡取り合ったりしとるんやろ?」
「んーとな…うち、強いやつと戦うんが好きなんや。ごっつうワクワクしてドキドキして楽しいから」
「それやったら、四天宝寺でも」
「それやと金ちゃんと戦えんやんか」
何を当たり前のことを、といった様子の銀音に白石は若干驚きつつ謝った。
「そうやな、すまん銀音ちゃん」
「それにうち、ごっつう楽しいんや。切原達と一緒にテニスするんも。立海に行って後悔しとらん」
真っすぐな目をした銀音に白石は息を飲んだ。
自分も、昔はあんな目をしていたのだろうか。
頭を過ぎるのは全国大会決勝で耳にした越前南次郎の言葉。
『誰もが最初は天衣無縫なんだよ』
その心を忘れずに持っている、だからこそ銀音の目はあんなにも真っすぐなのではないのだろうか。
「…白石?何考えとるん?」
「え、ああ…何でもないわ。それより銀音ちゃん」
「? 何やー」
「俺と乱打せえへん?」
「ホンマ!?金ちゃんがよく白石はめっちゃ強い言うからやってみたかったんや!」
早う早う、と急かす銀音に金太郎の影を見た白石はやっぱり双子だと思いながら銀音に着いて行った。










「銀音ちゃん、自分…」
白石は驚いていた。
金太郎と似たプレースタイルでありながら何処か違う。
奔放でありながら統率が取れている、…無駄がない。
「白石ーっ次行くでー!」
白石は銀音に若干圧されていた。
完璧聖書とまで呼ばれる白石の技を綺麗に返して来るのだ。
ただ惜しむべきはフォームが粗いということか。
いくら王者立海に所属しているとはいえコーチは着いていない。
柳もテニスに対する知識は豊富だが自分の練習もあり今まであまり見れていなかったのだろうかと考え、白石はボールを打ち返す。
「んんーっ絶頂!」
「えく…?」
最後に白石が円卓ショットを打ち乱打は終わった。
「銀音ちゃん、強いなあ」
にこりと笑みながら白石が言うと銀音は頭を横に振った。
「うち、勝てんやつめっちゃいるねん。まだまだ、やで!」
ニッと笑うと銀音は手を振りながら走って行った。
「またなー白石ー!」
「おん、」
嵐のように去って行った銀音に唖然としつつ白石は見送った。



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