詐欺師と紳士と、
 

「あ、もう終わってたんか?」
残念そうな声を出しながら銀音は立海レギュラー陣へと走り寄った。
「銀音か、随分と早く着いたな」
予想していたよりも早く着いた銀音に柳は目を見開きながら言った。
「遅刻は、遅刻だからな。…覚悟は出来ているか?」
「おん、」
真田の言葉に頷き銀音は歯を食いしばる。
パアン、と頬を打たれ銀音の体が後ろへと下がった。
「っぐ……」
赤くなった頬を抑える銀音に、ジャッカルが冷えたペットボトルを当てた。
「痛い」
「そりゃ真田副部長の平手打ち受けたんだから当たり前だろ」
切原の言葉に銀音は小さく頷いた。
「……さて、これからは自由行動だ。俺と弦一郎は青学と氷帝の試合を見に行く」
柳の言葉にそれぞれが動き出す。
「んじゃ、俺は副部長達に着いて行きますよ」
「俺と柳生は銀音ちゃんを見とるぜよ」
「んじゃあ俺とジャッカルはグルッと回ってくるぜ。…早く行くぜジャッカル!」
「おい、ブン太!走るなよ……たく、しょうがないな」
それぞれが自由行動を取り始め、仁王と柳生と銀音がその場に残る。
「……ほれ、銀音ちゃん。湿布張るからペットボトル離しんしゃい」
「待ちたまえ仁王君、それは熱さ〇シートです。…銀音君、これをどうぞ」
「そういう柳生こそトコロテンなんか渡してどうする気じゃ」
案外混乱しているらしい二人の会話に銀音は首を傾げた。
「何でそんなにテンパってるん?」
「何でって…普通でしたら全員腹痛で棄権など有り得ないですし」
「腹痛で棄権?相手全員棄権だったん?」
「そうじゃ、いきなり全員で腹痛を訴え出してのう」
試合が始まる直前を思い出し、二人は落ち着いた。
「へえー、何てとこなんか?」
「確か、銀華中だったナリ」
「銀華中…あ!周助が言っとった学校や!」
「周介?……ああ、青春学園の不二君ですね。彼は何と言っていたんですか?」
「何か試合んときに全員腹痛訴えて棄権したんやって」
「……銀華中は腹痛になる呪いでも掛けられとるんかのう」
「ですがこうして関東大会に出ていたことですし、実力はあるのでしょう」
仁王の言葉に柳生が言葉を返した。
「なー湿布まだ貼らないん?」
「!そうでしたね、少し髪を上げてくださいますか?」
「おん」
言われた通りに髪を上げ、柳生は銀音の頬に湿布を貼った。
「…にしても、これからどうするかのう」
「そうですね…データ収集には真田君達が行ってくださいましたし」
「……そういえばあの氷帝を下した学校が試合しとるんじゃなか?」
「確か…不動峰でしたか?興味がありますね」
「なら行ってみるぜよ」
「うちも行くで!」
仁王と柳生の言葉に銀音は楽しそうに笑う。
「はぐれないよう、気をつけてくださいね」
「おん!」



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