クリスマスっ
 

「ハッピークリスマスやー!」
「うわっいきなりなんだよぃ!?」
「あ、丸井や!あんなあんな、今日サンタが来るねん!」
「だから先輩って付けろよぃ………つーかサンタっていな」
「それは良かったな銀音」
言葉を遮るようにバシッと丸井の後頭部を叩きながら柳が言った。
「おん!せやから楽しみやねん!」
キラキラと目を輝かせる銀音はラケットをブンブン振りながら跳ね回る。
「それで、何を頼んだんだ?」
「ケーキや!」
「…ケーキ頼んだのかよぃ」
ボソリと聞こえない程度に呟いた丸井。
そこに後ろから仁王が来て言った。
「なあ知っとるんか?サンタはよい子のとこにしか来んぜよ」
「おん、前オカンが話してくれたで!」
「銀音ちゃんはよい子なんかの?」
「えーっ!うちんとこ来ぃへんの?!」
「さあ分からんナリ」
「仁王ー、なあ来ぉへんの?」
「ピヨ」
泣きそうな声で聞く銀音にくつりと笑みを見せた仁王に眉根を寄せる柳。
「仁王その辺にしておけ」
「そうだぞ仁王。たるんどるわ!」
仕舞いには真田までやってきた為、分が悪いと踏んだのか仁王は「すまんのう」と軽く謝った。
「なあー、うちんとこにサンタ来ぉへんの?」
泣きそうで、心配そうな顔で聞く銀音に切原が言った。
「大丈夫、なんたって銀音はよい子だからな」
わしゃわしゃと髪をボサボサにするように撫で回して切原は笑った。
「! ホンマ?」
「本当だ。なあ弦一朗」
「うむ、仁王の言ったことは本当だが銀音はよい子だから心配はいらぬわ」
二人に元気付けられて一気に表情が笑顔になった銀音に、ジャッカルが言った。
「そういや今日って暇か?」
「おん!暇や!」
「フフッなら良かった」
ジャッカルに元気よく言うといつからいたのか分からない幸村が微笑を絶やさずに声を掛けた。
「これからレギュラー陣で泊まりでクリスマスパーティーをしようと思ってね。銀音も勿論参加だよ」
「泊まりなん?せやったらサンタ来ぉへん……」
「大丈夫ですよ、サンタさんは銀音君が何処にいようと必ずプレゼントを持って来て下さいますから」
フォローするように柳生が言い、銀音が考える。
「…やったら行く!」
「それじゃあ部活が終わったら真田の家に集合だよ」
「ま、待て幸村。何故俺の家なのだ」
「苦労をかける、真田」
「う、うむ…」
この言葉に弱いのか、うっと言葉につまる真田。
そんな様子に立海レギュラーの雰囲気が和やかになる。
「冗談だよ」
「そうじゃ。クリスマスパーティーは俺ん家でやるぜよ」
「脅かすでないわ!」
ワイワイと騒ぐ三人を尻目に銀音と他のレギュラー陣が話す。
「クリスマスパーティーって何やるん?」
「そうですね……ご飯を食べたりプレゼントを交換したりでしょうか」
「後はけ」
「丸井、」
何かを言おうとした丸井を柳が遮る。
「な、何だよぃ?」
「少し頼みたい事がある」
丸井と柳が少し離れたところに行き、残されたメンバーで顔を見合わせた。
「ほら、早く練習切り上げるよ」
幸村が声を掛けて部活を終えた。








「仁王ー仁王ー!なあ、仁王の家って逆やないの?」
「ピヨ」
「仁王ー!」
「プリッ」
仁王にじゃれついている銀音にそれを見ている柳生。
先程から姿の見えない他レギュラー達には全く気づいていない。
「ほら、銀音君。静かにしないと周りに迷惑ですよ」
「柳生、仁王の家行かへんの?」
純粋そうな表情で聞く銀音に飴を渡し、柳生は微笑んだ。
「少し遅れて行くんですよ」
「そうなん?」
「そうじゃ、」
「何でやー」
「サンタがプレゼントを持って来てくれるゆうとったんでな、暫く入れんのじゃ」
「サンタが来とるん!?」
「プピーナ」
ごまかした仁王に飛び付く銀音。
「おや、そろそろ良いようですよ」
「そんじゃー行くとするかの」
携帯を確認しながら柳生が言うと、仁王が踵を返して家へと向かう。
「うちが一番乗りやー!」
ピョンピョン跳ね回りながら銀音が走る。
先へ行っては戻り、先へ行っては戻り。
しまいには二人に手を掴まれて先に行かないようにされていた。














「銀音」
「めっさ凄いなー!サンタが持って来てくれたんやろ!?」
大きなケーキを目の前にわあと声を上げて銀音は笑った。
「赤い髪をした甘いもの好きのサンタが来てくれたんだ」
「サンタ、おーきに!」
にぱあと笑顔のまま銀音はお礼を言った。
その後ろでは丸井が照れたように頭を掻いていた。
「それじゃあ早く始めましょうよ、先輩達!」
「そうだな、ほら。銀音も席に座っとけよ」
「おんっ!」
ジャッカルに促されて座った銀音。
ジュースの入ったコップをぶつけ合って、乾杯をした。



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