テストのなく頃に―真相解答編―
 

テスト前ということで部活が休みになった立海大附属。
勿論男子テニス部も部活が休みになっていた。
「知っての通り我が立海は文武両道、つまり勉強も部活も両立しなければならん」
休みになる前日、テニス部レギュラー+1は緊急ミーティングを開いていた。
「そこで学校側から提示されている点数は75点以上、部内で決められている点数は85点以上となっている」
「柳先輩、何か前より目標点数が上がってる気がするんスけど」
「気のせいだろう」
「いやいやっ絶対気のせいじゃないっスよね!」
「王者たる者、勉強も出来んでどうする!」
一喝され、切原は渋々ながらも黙った。
「なあなあ柳生ー、テストって?」
「銀音君、テストを受けたことがないのですか…!?」
驚いている柳生にとりあえず頷く銀音。
「銀音ちゃんのことやけえ、やったことはあっても分からんだけじゃろ」
ワシワシと銀音の髪をグシャグシャにしながら仁王が言った。
「銀音、テストというのは今まで勉強してきたものがどれだけ身についたか確かめることだ」
柳の説明にピンと来た銀音が目を輝かせた。
「金ちゃんが何回もやっとったやつやな!」
ニコニコとしながら銀音が言った言葉に驚きつつ、レギュラー陣は受け流した。
「そういえば銀音ちゃんて勉強出来るんか?」
「何か見た感じ出来なさそうっスよね」
「切原君、仁王君言い過ぎですよ」
仁王の言葉にそういえばと全員で銀音の方に顔を向けるが、当の銀音は持って来ていた飴玉を舐めている。
「……今回は俺が銀音の勉強を見よう」
柳が名乗りを上げると切原はえーっ!と不満そうな声を上げた。
「ちょっと待ってくださいよー!それじゃあ俺は誰から教われば……」
「弦一郎、頼めるか?」
「無論だ」
「げっ…」
「何だ、嫌か」
真田に教えてもらうことになった切原は嫌そうな声を上げるものの真田からの質問に黙った。
「嫌じゃないっス…」
「比呂士は仁王と丸井を頼む。ジャッカルは比呂士と共に教えてやってくれ」
柳の的確な指示に全員が動き出す。
「さて、銀音のテスト出題範囲はこれか」
銀音の鞄に入っていたプリントを手に取り柳は確認を始める。
「……分かった、では今日は暗記科目から始めていこう」
ルーズリーフを自分の手元に引き寄せると柳はサラサラと何かを書いていく。
「銀音の日本史がどれほど出来ているのかをまずチェックさせてもらおう」
「んー…これ解けばええの?」
鉛筆を手に持ちながら尋ねる銀音に柳は頷いた。
「終わったら俺に渡してくれ」
そう言うと柳は自分の数学を取り出して問題の出題傾向を計算し始めた。
銀音は手元の紙を見つめると考え始めた。
「んー…あ!」
問題をぎこちなく解きながら銀音は紙に答を書いていく。
20分程立ち銀音は紙を柳にと渡した。
「柳っ柳ーっ出来たで!」
「そうか。それと図書館では静かにな」
「おん」
注意されるとハッとした様子で口元を手で抑えながら頷いた。
「半数は正解か…となるとこの時代の生活の詳細について覚え、尚且つ政治的な出来事を覚えば……」
手元にある銀音のプリントに注意点を書き加えると柳はシャープペンシルを置き銀音を見た。
「どないしたん?」
「いや…次は理科を見たい」
柳は予め作っておいた紙を渡した。






















「驚いたな………まさか赤也より出来るとは」
テスト当日。
学年の順位を確認しつつ柳は言った。
全ての教科の出来を見終わった柳は銀音に勉強を教えたが、スポンジが水を吸うかの様に覚える銀音に驚きつつも楽しくなり必要以上に勉強を教えていた。
……正直銀音は次々と教えられて半泣きになっていた。
「放課後集まったときにどうなるか楽しみだな」
何処か面白そうに言った柳はノートに全員分のテストの結果を書くと教室へと歩いて行った。














「えーっ!銀音学年で37位だったんスか!?」
「だっせ、赤也。銀音に負けてんじゃんか」
丸井が切原をからかう。
「そんなこと言ったら丸井先輩だって銀音に負けてるじゃないっスか」
「は?お前さ、銀音よりは順位上になるとか言ってたのに駄目だったんだろぃ」
「そりゃ、そうっスけど……」
「銀音は教えれば教えた分だけ覚えるからな」
柳が銀音の頭を一撫でしながら言った。
「真田ーっうち凄いん?」
「うむ、これからも日々精進するのだぞ」
「おん!」
「ところで誰か追試っているのか?」
「この点数だと赤也が英語を追試だな」
「赤也!たるんどるぞ!」
「どうせ遅くまでゲームか何かやっとったんじゃろ」
くあ、と欠伸をしながら仁王がぽつりと言った。



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