俺とコイツが会うた日
 

「光ーっ!」
「何や、銀音か」
遠山銀音6才。財前光7才。
二人が出会って間もない頃の話である。
「あんなっさっきすごいんよ!金ちゃんがテニスでズドー、ガラガラドカーンて!」
「少しおちついて話せや」
ぐいっと銀音の頬を伸ばして財前は呆れた声で言った。
「やってやって!」
興奮している銀音の口に財前はイチゴの飴を入れた。
食べ物が口に入っていると銀音は喋らないことを短い時間で学んだ財前は、当たり前のように飴を持ち歩くようになっていた。
「んー……っふぁ」
「おちついたか?」
コクコクと頷き、銀音は飴を舐めている。
財前も銀音が飴を舐め終えるのを黙って待つ。
「………っ。ひかる、おーきに!」
「かまわんし。で、金太郎が何やって?」
「あ、せやった!あんな、金ちゃんが中学生とテニスのしあいやったんよ」
「金太郎が?」
ニコニコしながら言った銀音の言葉に不思議に思った財前が聞いた。
「せや、さっきストテニに中学生が来よってしあいしたんや」
「それで、勝ったんやろ」
「ひかる何で分かるん!?」
「お前が興奮しとったから分かるに決まっとるわ」
ワシャワシャと頭を撫でながら財前が言う。
「でな、ひかるに教えたろおもてさがしてたんや!」
「家が近所なだけでひまなやっちゃな」
「? やって、ひかる友だちやろ?」
「友だち?何言うとるんや」
「えー、やってオカンが笑顔であいさつしたら友だちやっていっとった」
キョトンとした顔で言う銀音に財前は溜息をついた。
「もしかして、ひかる…うちと友だちいややったん?」
「せやな、会ったばかりなんやから…」
「じゃあマブダチやな!」
「は?」
知り合いが妥当だ、と言いかけた財前の言葉を遮り銀音は笑顔で言った。
「違うん?」
「そうやないやろ、普通そう考えんわ」
「でも、友だちいややったらマブダチやろ?」
「いみ分かって言っとるんか、それ……」
「? 何か友だちやない人に使うゆうとった」
「誰がや」
「オカン!」
財前は銀音の母親は何を教えているんだ、と考えながら銀音を見る。
「まあしゃーない。そん代わり、少しはしずかにせえや」
「おんっ!」
抱き着きながら銀音は笑った。





















現在、遠山銀音中学1年。財前光中学2年。
「(今日から、金太郎と銀音が一緒や)」
「あーっ光やー!」
「金太郎か、……銀音はどないしたんや」
「立海ゆうとこに言った」
ケロッとした顔で金太郎が言う。
「立海…?四天宝寺やなくてか」
「おん!」
「そんなん聞いとらん」
「やって言っとらんもん」
財前はそれを聞くと不機嫌になった。
ここ最近会わないとは思っていたがまさか神奈川に行っていたとは思わなかったからだ。
「金太郎、何で言わんかったんや」
「言うん忘れとった!」
「…………」
財前は無言で金太郎の頬を抓り、校舎へと歩いて行った。






彼女との関係―財前光の場合―
(絶対会ったらシバいたる)
(光殺気立っとる!)
(マジ煩いっすわ謙也さん)



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