ねた帳 | ナノ




Look back on the thing to here.

「…とまあ、こんな感じですはい」
「ふーん、アンタも何があってこっち飛ばされたか分かんないスか」
お互い自己紹介してからこっちに来た経緯を話してみた。
切原君は残ってたグラタンを食べてる、あれだけ食べてたのに足りないんだね……!
「俺がこっちに来たのは二日前っス。部活帰りにコンビニ寄って漫画買って帰ろうとしたら気付いたら知らない路地にいたんスよ。……犬の姿で」
「そりゃあ混乱するね、いろいろと」
「まあ30分もすれば慣れたっスけど。テニスバックもないし漫画もないしで大変だったんスけど、とにかくご飯も調達しなきゃなんねえし考えてる暇なかったんスよねー」
流石柳君や弦ちゃんの後輩、順応能力が高いですね。
「じゃあ二日間何も食べてなかった系?」
「とりあえずそんときは狩りました」
「狩ったの!?」
「狩りました。意外と美味かったっスよ」
何を食べたのか凄い気になる…!
何か聞いたら終わる気がするけどね!
「んで、昨日は副部長とそっくりの声した人が肉くれました」
「へ、へえ…」
それ多分牛さんだよ、アントニオさん。
アニメ見てて弦ちゃんと同じ声プギャーって私騒いだ覚えがあるもん。
「そのあと人の姿にも戻れることに気が付いたんスけど、犬の姿でいた方がご飯とか貰えたんで犬のまんまで過ごしてたら泉李先輩に会ったんスよ」
凄いな切原君。
根性あるというか何と言うか。
「てか泉李先輩ヒーローやるんスか?良いなー羨ましい」
「羨ましいっていうか死亡フラグしか立ってないんだけど」
「えーっでもヒーローっスよヒーロー!かっこいいじゃないっスか!」
切原君にとってはそうかもしれないけど私サバイバルとかバトロワとか言われてたからね?
「俺もなりてえ」
「切原君NEXTだけどわんこになるだけじゃ無理じゃね?」
「え?…あ。俺別に犬だけになる訳じゃないっスよ?」
「何ですとぉ!?」
「何キャラっスか泉李先輩」
「刹キャラだけど何か。てか何も言ってないじゃんか!」
「いやあ、すっかり言った気でいましたよー。俺、狼にもなれるんスよ!」
……what?
「え、狼ってあの狼?ウルフ?」
「うる…?よく分かんないっスけど多分それっス」
何故狼。
切原君のNEXTってどういうことなの。
「大きさは自分じゃよく分かんないですけどけっこーでかかったっス」
「……ちょっとなってみてよ」
「リョーカイっス!」
私の言葉に軽い調子で頷いた切原君はリビングの開いてるスペースの真ん中に立つと能力を発動した。
「………おおう、」
「がう」
で…でかっ!
やっぱり黒い毛並みで少し毛先が癖のついた狼。
尻尾が凄いフサフサしてる………!
「切原君、大型のバイクくらいあるんだけど」
「がうー」
あ、喋れないのねケモノモードだと。
「とりあえず戻ろうかうん」
私の声に一吠えすると人に戻った切原君。
「初めて見たよ、変身系の能力」
「あ、マジですか?でも狼になってもヒーローにはなれないんスかねえ…」
「………いや、相棒とかならいけるんでない?」
「あいぼー?」
「うん、今ワイルドタイガーとバーナビーっていうコンビもいるくらいだし。私はまだデビューしてないからアニエスさんに頼めばいけるかもしれない」
「! 泉李先輩大好きっスー!」
「ぐはっ。ご馳走様です」
ぎゅう、と抱き着いてきた切原君にダメージを受けながら髪をわしゃわしゃと撫で回す。
うーん、やっぱり良い触り心地。
触り心地が俺様好みー!
「よっしゃ、それじゃあアニエスさんに連絡してみようか」
「はいっ」
「あと私のことは外では刹でよろしくね」
「あー、偽名っスか!リョーカイしましたっ」
びしっと敬礼した切原君。
「それと俺のこと苗字は止めてくださいよ?赤也で良いんで!」
にこやかに言うきりは…赤也に撃沈しました。
マジ後輩属性ktkr。
「あ、もしもしアニエスさん?今NEXTの子保護したんですけど。私の相棒としてHEROにしても平気ですか?…はい、はい。能力は変身です。あ、折紙サイクロンとは違って擬態じゃないんです。大型バイクくらいの狼になるんです。…え、本人と話したい?」
電話口だから猫被りモード全開でごぜーます。
とりあえずブレスレットを赤也に向けるとアニエスさんと赤也が話を始めた。
「初めましてっス!切原赤也です」
『…っ、テラ。この子採用よ!』
うわあ、赤也目茶苦茶年上好きする笑顔してた。
自分の容姿をフル活用いたしましたー。
『アカヤって言ったわよね?一回狼になってもらえるかしら』
「良いっスよ」
能力を使って狼になる赤也。
……うん、もう何も言うまい。
そうだよね、周りが先輩ばっかだったから甘え上手だねうん。
末っ子気質だわー。
だがそこが良い(キリッ)。
多分赤也無意識だわこの純粋さんめ!
『明日TV局の方に二人で着てもらうわ。アカヤはスーツについて相談と能力について見てもらうから。テラはスーツの試着ね、それからトレーナーが見つかったから早速トレーニングに入ってもらうから』
言いたいことだけ言って通話を切ったアニエスさん。
「……赤也、年上キラーなんだね」
「へ?何スか年上キラーって。普通に話してただけじゃないっスか」
やっぱり無意識だったらしいです。

(ここまでの事を振り返れ)
赤也とお互いの今までを話す編。
ちなみに赤也のNEXTはトイプードル、狼に変身すること。
変身しても服着てないとかいうお約束はありません。

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