ねた帳 | ナノ




Take care about a black dog.

しかしアニエスさん、仕事が出来る女性である。
視聴率を上げる為にまさか此処まで徹底した情報操作するとかマジ思わんし。
「とりあえずトレーニングを受けてもらうわ。あ、それから他のHERO達とは交流はなしよ」
「あばばマジですか」
「マジよ。ミステリアス路線で行くつもりだから」
アニエスさんマジ鬼畜…!
他のHEROに会いたいです安西先生。
「スーツも秘密裏に作る手配をしてあるから。あ、それと名前も決めないといけないわね」
「アニエスさん、トレーニングなんですけど古武術ってありで?」
「古武術?何、習ってるの」
「はい、てかよく組み手とかやってたからそっちが良いなあ、みたいな?」
「テラは日系みたいだし、ミステリアスでいて武士みたいな感じが良いのかもしれないわね……」
ぶつぶつとプランを練ってるアニエスさんマジお疲れっス。
だけど内容が内容だけに笑えないっていうね…!
所々でサバイバルとかバトロワとか聞こえたんだけど。
「専門のトレーナーを呼ぶわ。それと、どんな状況でも生き残る為の知識も覚えてもらって…」
あるぇ、HEROって生き残る為の知識とかいるっけ?
でもNEXT持ってないなら必要、なのか…。
そして私もドンドンと人間離れしてくねママン!
「それじゃあ、これが家の鍵。それから、連絡が着くようにブレスレットも渡しとくわ。…携帯は自分で選びたいでしょう?」
そう言って茶目っ気たっぷりにウインクするアニエスさんマジ色気たっぷりけしからんもっとやれ。
「道は大通りに沿って行けば着くと思うから。まあ、分からなかったら連絡入れてくれればナビゲートしたげるわ」
なんて言われて現在地テレビ局前。
大通り沿いらしいからなあ…とりあえず右行くって聞いたからそっちか。













「よっしゃあ迷わず着いたーやったね!」
特に何かがある訳でもなく到着致しました。
しかし一軒家である、まごうことなき一軒家である。
何これ一人で住むのに一軒家とか寂しいんだけど!
「とりあえずお風呂入りたい、汗びっしょーり」
家に入ろうとして、ふと玄関の横を見ると黒い毛並みのトイプードルがこっちを見ていた。
「…………………」
「………わん」
何これ、かわ…っ可愛い!
近寄るとジッとつぶらな瞳で私を見上げるトイプードル。
「飼い犬?でも首輪もないし…野良?」
抱き上げると暫く腕から逃れようと動いてたけど諦めたらしいトイプードル。
うん、凄いフワフワな毛並みご馳走様です。
「…とりあえず中入ろう」
野良なら飼いたい、可愛いは正義!
鍵を使って中に入りトイプードルを床に下ろすと逃げようともしないで玄関で毛繕いをしてる。
おっま、本当可愛いな!
ドアを閉じ、鍵を掛けて中に入る(靴は脱がない式だった)とトイプードルもついて来る。
中は天井が高く、2階まで吹き抜けになっているリビング。
キッチンもカウンター付きだし、全体的に木材が目立つ。
あと白も目立つ、清潔感あるお家。
冷蔵庫やらダイニングテーブルやらソファやら既に置いてあって生活はもう出来そうだよ。
この数時間で此処まで用意するアニエスさん神である。
冷蔵庫の中には食材まで入ってて今日は料理して食べるだけで済みそうだし。
お風呂も浴槽(しかも檜…!)付きで豪勢ですな。
「さて、どうしようかねえ…」
ソファに寝っ転がると私のお腹の上に乗っかってくるトイプードル(君)。
中々人懐っこいらしいわんこの頭を撫でつつ外を見ると既に暗くなりかけてる。
「…とりまご飯作って食べよっか?」
「わふ、」
こくりと頷き私の上から飛び降りたわんこは頭良いね。
まだ暗くなりかけだしグラタンでいっか。
オーブンで焼いてる間にお風呂沸かそうそうしよう。
わんこの分はグラタン作る為のマカロニを多めに茹でてホワイトソースを薄めてシチュー風にしたやつあげよう。
「わんこは危ないからリビングで待っててねー」
わしゃわしゃと頭を撫でてキッチンに入ると元気よく吠えて返事をした。
オーブンに入れてスープもある程度出来たところで火を止めてお風呂にお湯を張る。
檜とか奮発し過ぎワロタ。
「わんこも一緒に入る?」
「…くうん」
目を逸らされた。
…うん、何かごめん。
「あ、じゃあご飯食べよー」
「わん!」
わんことリビングに戻ってグラタンとスープをダイニングテーブルに一旦置く。
わんこにちょっと深い皿にスープをよそって床に置くとお腹が空いてたのかがっついて食べた。
私もグラタンに手を付けると身軽なのかダイニングテーブルの上に綺麗に食べたお皿をくわえながら上がって来た。
「…おかわり?」
「わん」
お皿によそうとダイニングテーブルから降りようとしないわんこに、私はダイニングテーブルの上にお皿を置くと大人しく食べはじめた。
いや真面目に頭良いな!
結局いっぱいあった筈のスープは全部食べたわんこの口元をティッシュで拭きながら気になってたことがあった。
「このフワフワ感、何かどっかで見たことがあるんだよねー……」
「わふ?」
「うーん、柳君だっけ…いや違う、何だったかな……」
「! わんっ」
「え、何?てか…光ってる?」
青く輝くわんこ。
……まさか。
そう思っている間にも徐々に人の形になっていく。
生意気そうな鋭い目に、無造作に跳ねまくった黒髪。
「アンタ、もしかして…柳先輩のこと知ってんの?」
「え……えええ?」
そこには以前、柳君…いや弦ちゃんだったかな、から見せてもらった写真に写っていた切原赤也が立っていた。

(黒い犬には気をつけろ)

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