恋愛スキルゼロのいばら姫がオレを翻弄してくる




※スパイファミリーとの微クロスオーバー



オレの隣の席の女の子は美人だ。
しかも普通の美人じゃなくてものすごい美人。枝毛一つなさそうな艶やかな黒髪を胸のあたりまで伸ばし、大きな瞳はまるで黒曜石。形のいい唇はリップも塗っていないのに魅惑の紅色。華奢な体に似合わないふくよかな胸。そんな抜群の容姿を持ちながらもいつも無言で他人との接触を拒む。その冷たい印象からなのか、彼女のあだ名は誰が呼んだか『いばら姫』。そんな高嶺の彼女が気になり出してもう数ヶ月経つ。

「あの、松野くん…ノートを」
「わっ!」
ちょうど彼女のことを考えていたら目の前に彼女の顔があり驚いてしまう。

(うわ、ダセェ)

可愛くて気になっている子に呆けたところを見られたと恥ずかしくなる。先程日直に課題のノートを集めるよう教師が言っていたからおそらく彼女が今日の日直なのだろう。

「ごめん、これ」
そう言ってノートを渡そうとするが彼女の手にはもうクラス分のノートが乗っていて、受け取れない状態だった。

(女子に持たす量じゃねぇよな)

渡そうとしたノートを彼女の持つ課題の上に置き、すべてのノートを彼女からそっと奪う。

「あ!」
「重いだろ。オレ運ぶから。場所どこ?」

すると彼女は申し訳なさそうに
「あ、ありがとう。職員室…です」
と上目遣いで言った。

(うッ…か、かわ…)
彼女の方が小さいからこちらを見ると上目遣いになるのは仕方ないが、あまりの凶器に胸が高鳴る。

じゃぁ、と言って一人で運ぼうとするが、何故か彼女が付いてくる。
「日直私なのに行かないのおかしいから」
と言う彼女はとても律儀だ。普通なら二人で行く必要はないから断るけど、せっかくの話すチャンスなので一緒に行くことにした。

「ミョウジさん、よくネコのもの持ってるけど、ネコ好き?」
「ネコ…好きだよ」
「オレもネコ好きでさ。飼ってるんだけど」
「そうなんだ。うちはお母さんがだめって言うから飼えなくて残念だよ」

そう言いながら悲しそうにする彼女にやっぱりネコ好きなんだな、と少し嬉しくなる。さっきもネコの話を振ったらニコニコしてたし、会話のチョイス成功したな。

(なんでいばら姫なんて呼ばれてんだろ。たしかにツンとして見えるけど、実際は授業中よく居眠りしてるし、必要だったらこうやってちゃんと話してくれるのに)

でもたしかに他の人とそんなに会話をしているところを見ないので、もしかして自分が特別なのかもしれない。なんて勘違いをしそうになる。今も少し恥ずかしそうに俯いてるし。少女漫画だとツンツンした子がヒーローにだけ優しいとかよくある設定だし。

「松野くんは不良なのに優しいね」
「…別に不良でも優しいやつはいるだろ」
「そうなんだ。あの…松野くんのいるとーまんとかいうのの話聞いてもいい?」

(ミョウジさんトーマン知ってんだ。意外)

そう思って少し返事が遅れると、オレが聞かれたくないことを聞いてしまったのかと思ったのか、
「あ、あの、風の噂で聞いて。変なこと聞いてごめんね」
と謝ってくる。

「いや、大丈夫。トーマンは渋谷をシメてるチームなんだけど、トップがマイキーくんって言ってメチャクチャつえぇの。あとオレの所属する一番隊の隊長が場地さんって言ってめっちゃカッケーんだぜ」
(場地さんは本当にカッケーし、一生ついていきたい)

それを聞くと彼女は
「カッケーんだね」
と笑う。またその顔が可愛くて、
(くそ…サイコー)
なんて思ってしまう。

「トーマンに興味あんの?」
「あー、うん。少し…なんかいいよね、カッケーって感じ」

(なにこいつ…)
いちいちツボをついてくる彼女に先程から胸がドキドキしている。返事をしないオレに気を使ったのか、さらに質問をしてくれる。
「チームってなにするの?」
「あー。バイクで走ったり、他のチームとケンカしたり…」
「バイク?」
「みんなで夜中に走らせたりしてる」
「へー、そうなんだ。バイクは買ったの?」
「いや、貰い物とかその辺の集めて組み立てる」

彼女がバイクの話になると食い気味で聞いてくるので
(ひょっとしてバイクに興味あんのかな)

もしそうなら彼女を乗せて走ったりしたい。誘ってみようか、と声をかけるけど、
「もし…あー、なんでもねぇ」
と途中で止める。

(こんな女子がバイクに興味あるわけねぇか)
「…そっか」

そんな話をしていると残念ながら職員室に着いてしまった。

(こいつが頼まれてたんだし、オレが持ってくのも変か。不良がセンコーに提出物渡しにくるとかねぇな)

そう思い、彼女にノートを渡す。
「後はよろしく」

彼女はふふっと笑いながら
「ありがとう」
と言ってノートを受け取った。


次の日から窓の外ばかり見ていたミョウジさんに少しずつ話しかけるようになって、ミョウジさんからもたまにこっちを見て話しかけてくれるようになった。

「松野くんはネコ好きなんだよね?」
「好き」
「じゃぁ××川の橋の下に最近ネコのきょうだいがいるの知ってる?」

その話題に驚く。その話はネコ好きのミョウジさんにいつか話したいと思っていたことだった。

「あ、知ってる。オレよくエサやりに行ってるし」
「そうなんだ。私もたまに見に行くんだけど、会ったことないね」
「夜に行ってるからな」
「そっか。私も夜行ってみようかな」
とこちらを見て笑う彼女にドキドキする。

(え?それは会いたいってこと、なのか?)

「よ、夜は危ないからやめとけ。それなら今日学校帰りに行く?」

と頑張って誘ってみると、彼女は先ほどまでの笑顔をどこかに置いてきたのか少しガッカリした顔で

「あ…えっと、今日はやめとこうかな」
と言って窓側を向いてしまった。

(なんかオレ、ダメだった?)
なんでかわからないけど不機嫌になったように見える彼女に、せっかく話しかけてくれたのにやっちまったな、と落ち込んだ。

(まぁ今日はどうせ集会でそのあと場地さんとバイクで流す予定だし、あいつらんとこ行けなかったし仕方ないか)

と自分に言い聞かす。また神田さんが話しかけてくれたら夜でもいいからネコ見に行くか…そう思ってミョウジさんの方をチラッと見ると、彼女は窓からまた目線をこちらに移していた。

「あの…またとーまんのこと聞いてもいい?」
「え?いーけど…」
「とーまんって渋谷を締めるチームって言ってたけど、何人くらいいるの?」
「100人くらいかな」
「え!100人もいるの?…すごいね」
「別のチームとやり合って大きくなってくから。どんな敵もオレら一番隊がシめるし」

(場地さんに逆らう奴はオレがブチのめすしな)

そう思っていると彼女がまた機嫌良さそうに
「場地さんと松野くんはいいコンビなんだね」
なんて言うからますますミョウジさんの好感度が上がる。

(なんか気まぐれなとこもネコみたいで悪くないんだよな)

と彼女を見つめる。

彼女は聞きたいことを考えているとき少し目をきょろきょろさせていることが多い気がする。そんなところもいばら姫っぽくなくてオレだけが知ってればいいな、と思う。

「チームみんなで集まったりとかするの?」
「たまにな」
「100人とか入れる場所あるの?」
「武蔵神社の境内でやってるけど」
「神社なんだ。なんか神社で暴走族の集会ってシュールだね」

そこでチャイムが鳴り授業が始まるのでお互い黙って会話は終わった。

(いばら姫とか言われてるけど、やっぱり全然いばらじゃないんだよな。さっきのきょろきょろしてるところとか、もしかして…)

そのタイミングでセンコーに当てられた彼女のことを考えながらそちらをチラッと見ると、焦りながら必死に答えている姿が見えて可愛かった。

(もしかしてオレと話したくて頑張って会話探してたりすんのかな…)



放課後、場地さんと一緒に集会の前にネコを見に行くことになった。

「ペケJ元気か?」
「はい!めっちゃ元気っス。朝からメシ完食してました」
「そりゃよかった。ここ数日ウチに来てなかったしな」

ペケJが場地さんのところにお世話になっていたのを知ったのは場地さんと会ってすぐだ。あの頃はメシを食わないアイツを心配してたっけ。

(ネコといえば…場地さんはミョウジさんのこと知ってるのか?)
ふと気になって聞いてみる。

「そういえばいばら姫って知ってます?」
「あ?なんだそれ」
「うちのクラスで美人で有名な女なんすけど、川のネコたちの面倒たまに見てるらしくて」
「へー」
「いばら姫って呼ばれてるんですけど、全然印象違くて。なんか気まぐれでネコみたいなんですよね」
「へー」
「でも場地さんとオレのこといいコンビとか言っててわかってるんですよね」
「…」
「?場地さん?」
「…千冬ぅ、お前、そいつのこと好き?」
「え!?な、急になんですか?」
「ヤケにソイツのこと話すから」
「や、か、可愛いなって思ってますけど…」
「ふーん。いんじゃね?」

そんな会話をしながらネコたちのところに着くと、ネコたちは身を寄せ合って気持ちよさそうに寝ている。近くには食べきれなかったエサが少し残っていて、あ、ミョウジさんが来たんだ、と思った。

(今日はやめとくって言ってたくせに)

と断られたことを少し残念に思って口を尖らせていると、場地さんが

「お前思ってること顔に出過ぎ」
と笑った。


トップクに着替えるために一度家に帰り、バイクに乗って武蔵神社に向かうと、すでにメンバーはほとんど揃っていた。オレと場地さんが定位置に着いて少ししたらすぐに集会が始まった。

今日は近く起こりそうな抗争の話で、まだ具体的には何も決まっていないから状況整理ぐらいで終わった。

「よし、千冬。行くか」
「ウッス」
場地さんと流しに行こうとバイクを取りに行くと、俺たちのバイクの近くから聴き慣れた声が聞こえてくる。

「ちょ、ちょっとやめてください」
「いーじゃん。どっか行こうよ
「私そんな暇じゃないので」
「嘘だ、そんなところで座ってたくせに」

女子がオレらのバイクの前でナンパされている。

(あれは…)

走って向かい、女子の手を掴む男の手を捻りあげる。

「いだだだだ!何すんだコラァ」
ナンパ男がこちらを見ると、オレのトップクの東京卍會一番隊副隊長と書かれた袖を見て、
「トーマン!?」
と後ずさる。

「テメェどこのシマで女に手ェあげてんだゴラァ」
と凄むとすぐにすみませんでしたと走って逃げる。

ナンパされていた女子を見るとやはり神田さんだった。

(なんでこんな時間に…!)

か弱そうな女子が一人で夜にこんなところにいることにカッときて、

「オマエ何やってんだ!こんな時間にあぶねーだろ!」

とつい怒ってしまう。
するとミョウジさんはしゅんとしたかと思うと目に涙を溜めて

「ご、ごめんなさい」
と謝ってきた。
「何してたんだ?」
「え?あ、と、塾の帰りで…」
「いつもこんな遅ぇのか?あぶねーな」
「いつもはこんな遅くないよ。今日はたまたま…」
「それならいーけど。…気をつけろ」
「う、うん。ごめんね。助けてくれてありがとう」

よほど怖かったのか目に溜まっていた涙がついに頬を伝って流れた。

(怖い思いしたのに強く言いすぎたか)

「ごめん。強く言いすぎた」

すると彼女は

「怖かったぁ」
と言って泣き始める。

可愛い彼女の顔が歪むのが嫌で、
「泣くなって」
と言いながら涙を指で拭った。

その時、
「おー、千冬。ダイジョーブか?」
と場地さんに話しかけられ、手を神田さんの頬から勢いよく離した。

(お、オレ、何やってんだ!?)

「だ、大丈夫です。こんなとこでナンパしてるやつがいたんでシメときました」

そう急ながら言うと、場地さんはミョウジさんに気付く。

「そいつは?」
「あ、クラスメイトです。こいつがナンパされてて」
「ふーん」

場地さんはオレとミョウジさんを交互に見て、
「千冬ぅ。今日は無しにしてお前そいつ送ってやれよ。あぶねーだろ」
と言った。場地さんと流せないのは残念だが、ミョウジさんを置いていくわけにはいかないと思っていたのでその提案を受ける。

「じゃぁそうします。場地さん、すみません」
「いーって。じゃあな」
場地さんはゴキを鳴らしながらそのまま走っていってしまった。

(場地さんカッケー)
「バジさんカッケー」

思った瞬間に同じことが彼女の口から言われる。そして目があって微笑まれる。
「あの人がバジさんでしょ?松野くんの言う通りカッケーね」
「…だろ?」

(なんか場地さんを褒められたのにモヤモヤする)

「…松野くん、今日バジさんと用事だったんだよね?ごめんね…」
「あー、まぁ場地さんがああ言ってくれたし。大丈夫だろ」
「…実は塾っていうのは嘘で、この神社で集まりしてるって言ってたから松野くんいるのかなって思ってちょっと見に来ただけだったんだ。本当に迷惑かけてごめんね」

(は!?オレに会いに来たってこと!?…マジか)

「い、いや、ほんとに大丈夫。」

場地さんと流せないことは頭からすっ飛んで彼女の言葉に酔いしれる。ひょっとしたら本当にひょっとするかもしれない。

今日は遅いし、とりあえず気持ちを落ち着けて彼女を送ろう。
「もう遅いしオマエんちまで送るわ。家どこ?」
「あ…ありがとう!場所は…」

場所を聞くとうちと近かった。ヘルメットを渡してバイクの後ろに乗せる。
「危ないから捕まってろよ」
「うん!」

そう言って楽しそうに彼女がぎゅっと自分に捕まってくると、背中に柔らかいものを感じる。

(こ、これはもしやミョウジさんの…胸、なのか?)
そう思ってドキドキしていると、少し体が離されてしまう。残念に思いながらもバイクを走らせようとするとなぜかさっきまで楽しそうにしていた彼女が少しむくれている。

(なんで?)

そう思いながらバイクを走らせると急な発進に驚いた神田さんが
「わっ」
と言ってまた背中に抱きついてきた。

背中を意識しないようにして走らせると、さっきまでむくれていたのが嘘のように
「きもちいー!」
と笑う彼女の声が聞こえてくる。

「だろ?」
「うん!サイコー!」

嬉しそうな姿に

(ホントネコみてぇ)
と気まぐれな彼女を盗み見る。なんだこの可愛い生き物。

ネコで思い出す。
「ミョウジさんさぁ、今日ネコんとこ行っただろ?」
「あ、うん…勝手にごめんね」
「いやいーけど。今日は無理みたいに言ってたから」
「あ、ここにくる前に少し時間あったし…まだあの子たちと日が浅いから松野くんばっかりと仲良くされたら寂しいから」
「ふーん」

(こいつやっぱネコ好きなのかな?)
ネコ好きならひょっとしてまたこうして二人で会えるかも、なんて邪な考えが浮かんでくる。

「うちのネコ、ペケJって名前なんだけど、頭に傷あってさ。スゲェかわいんだぜ?」
「ペケJ!いい名前だね。いいなぁ」
「よ、よかったら今度見に来る?」
「いいの?行きたい!あとよかったらまたバイクにも乗せてくれる?」

思いもかけない彼女の提案に嬉しくなる。

「ん。わかった。このバイクさ、場地さんと見つけたやつをカスタムして走らせてんだよ。結構気に入ってて…」

(怖がるかと思ったけど意外とバイク好きなのか?オレが好きなのミョウジさんも好きだといいけど)

「最高だよ!松野くんカッケーね!」

(!!)

あのいばら姫が自分をカッケーという。チョロいのはわかっているけど、彼女の気まぐれなところとかいちいちツボなところとか、やっぱり好きだと思う。

もう言うなら今しかない。

「あのさ、神田さんに聞きたいことあるんだけど」
「何?」


「オレ…好きなんだけど…。ミョウジさんは?もしよかったら付き合って欲しい」
「私も好きだよ!一緒だね!」

その言葉にめちゃくちゃ嬉しくなる。
「よっしゃー!」
「松野くん喜びすぎ」
「そりゃ喜ぶだろ」
「やっぱり同志が多いと嬉しいんだね」
「…は?」
「?バイク好き同志。それでどこに行くの?私はどこでも大丈夫だよ!」
「…」

(ちげぇ!!)


「…え!違うの!?」






◇◇◇



最近私の隣の席の松野くんのことが気になる。
彼は可愛い顔をした中学生なのにバリバリの金髪で、不良だ。
でも、私が気になっているのはそこじゃない。

まずいつも彼の心の声に出てくるぺけじぇーだ。ぺけじぇーってなに?かわいいらしいけど。

あと彼は他の人と違って私のことをいばら姫って思ってないみたい。私も自分をいばら姫と思えないので、私のことわかってくれてるのかなって勝手に思ってる。私はあんまり他人に関わらないようにしているだけで、無口でもなんでもない。

そして最後は彼が所属しているらしいとーまんとかいうやつ。どうやらなんかアブナイ抗争とかをするグループらしくて、わくわくにつながりそうで気になる。

なんとなくわかってもらえたと思うけど、私は超能力者だ。前世からの能力で、転生してもどうやらなくならなかったみたい。生まれかわったときは忘れていたけど、3歳ぐらいからなんとなく思い出して、7歳のときにずっと違和感のあった自分の顔が綺麗な『はは』の顔だと思い出した。それ以降、前世でぶきみな子と言われていたのもあって、極力人と話さずにいようと決めていたけど、退屈で退屈で。前世からの好奇心が止められずにいたところに出会った少し危険な香りのする彼のことが気になって仕方なかった。


そんな彼が気になり始めて数ヶ月だったある日。
日直の日に先生に課題を集めて持ってくるように頼まれてしまった。

(めんどい…)

そう思うけど仕方ない。みんなが教卓に出した課題のノートを数えると、一人分足りない。松野くんのだ。なんだかぽやっとしている松野くんの前に行き、

「あの、松野くん…ノートを」

と話しかける。すると彼は不意を突かれたのか
「わっ!」
と驚く。それと共に聞こえる彼の心の声。

”うわ、ダセェ”
(え!?ダサい!?私驚くほどダサいの!?)

そんな彼の心の声に少し落ち込んでいると、
「ごめん、これ」
と私にノートを渡す。しかし両手でノートを持っている私は受け取れなくてワタワタしていると、

”女子に持たす量じゃねぇよな”

と言って私の持つ荷物を持ってくれた。

「あ!」
「重いだろ。オレ運ぶから。場所どこ?」

(松野くん優しい…)

「あ、ありがとう。職員室…です」

(これはわくわくを引き寄せるチャンスなのかも)
そう思って心でニヤリとしながら見上げる。

”うッ…か、かわ…”
(…川?)

じゃぁ、と言って一人で運ぼうとする松野くんを追いかける。

「日直私なのに行かないのおかしいから」

松野くんは意外そうに私もを見て、おー、じゃあ行くか、と一緒に歩き始めた。

(計算どおり!)

でもやっぱり話し下手な私は話しかけられないでいると、気を使った松野くんが話しかけてくれた。

「ミョウジさん、よくネコのもの持ってるけど、ネコ好き?」

(…そうだっけ?どちらかと言えば犬派だけど、よく頭の中でネコネコ言ってる松野くんだし、ここは合わせよう)

「ネコ…好きだよ」
私がそう答えると松野くんはやっぱりって感じで笑って続きを話し始めたので、正解だった!と自分の会話スキルの向上にニヤニヤする。

「オレもネコ好きでさ。飼ってるんだけど」
「そうなんだ。うちはお母さんがだめって言うから飼えなくて残念だよ」

(うちは動物禁止だから…)
私が昔誰とも会話せずに、飼っている金魚に話しかけ続けていたのを見てお母さんが怖いって言ってペット禁止になったのだ。悲しい…

そう思っていると、

”なんでいばら姫なんて呼ばれてんだろ。たしかにツンとして見えるけど、実際は授業中よく居眠りしてるし、必要だったらこうやってちゃんと話してくれるのに”

と心の声が漏れる松野くん。ちゃんとわかってくれる人がいてくれて嬉しい。でもそれより…

(居眠りバレてた
と恥ずかしくて俯いた。まずい、そんなだらしない子と思われるとこれから仲良くなれなくてわくわくが遠のく…

(そうだ!例の松野くんの好きなとーまんについて聞いてみよ!)

「松野くんは不良なのに優しいね」
「…別に不良でも優しいやつはいるだろ」
「そうなんだ。あの…松野くんのいるとーまんとかいうのの話聞いてもいい?」

”ミョウジさんトーマン知ってんだ。意外”

(え?知ってるのまずかったかな?誤魔化した方がいい?)

とりあえず謝ろう。
「あ、あの風の噂で聞いて。変なこと聞いてごめんね」

そうすると松野くんは全然嫌そうにせずに笑ってとーまんについて教えてくれた。

「いや、大丈夫。トーマンは渋谷をシメてるチームなんだけど、トップがマイキーくんって言ってメチャクチャつえぇの。あとオレの所属する一番隊の隊長が場地さんって言ってめっちゃカッケーんだぜ」

それと同時に心の中でも
”場地さんは本当にカッケーし、一生ついていきたい”
とバジさんという人を褒める松野くんに、

(本当にバジさん?好きなんだな。松野くんよくバジさんバジさん頭の中で言ってるし)
と感心する。それだけ好きな人がいるのはいいことだ。

「カッケーんだね」

と笑いかけると彼は胸を押さえながら

”くそ…サイコー”

というので、
(…本当に好きなんだな…)
と少しひいた。

「トーマンに興味あんの?」
そう聞かれるとどう答えたらいいのか悩む。

(アブナイことしててわくわくにつながりそう、なんて言えないよな…)

ここは少し興味ある感を松野くん風に言ってみよう。
「あー、うん。少し…なんかいいよね、カッケーって感じ」

そう言うと松野くんは

”なにこいつ…”

と言ってくるので、
(え!?ダメだった?また間違えた?)
とわたわたしてしまう。もうこうなったら怒らせる前にもう少しとーまんについて聞いておこ。

「チームってなにするの?」
「あー。バイクで走ったり、他のチームとケンカしたり…」
「バイク?」

その単語に胸が躍る。
(バイク!前世でちちにサイドカーに乗せてもらって気持ちよかった。後ろに乗ってみたかったけど、ははがいるし小さい私は乗れなかった。乗ってみたい!!)

「みんなで夜中に走らせたりしてる」
「へー、そうなんだ。バイクは買ったの?」
「いや、貰い物とかその辺の集めて組み立ててる」

(すごい!自分のバイクあるんだ!乗りたい!)

そう思っていると、松野くんが
”ひょっとしてバイクに興味あんのかな”
なんて考えるから

(ある!あるよ、松野くん!)
と期待を込めた眼差しで見つめる。

しかし
「もし…あー、なんでもねぇ」
そう言いながら
”こんな女子がバイクに興味あるわけねぇか”
と考える松野くんにガッカリした。

「…そっか」
(失敗しちゃった…やっぱり人と話すのは難しいな…)

私がガッカリしたところで職員室についた。


”こいつが頼まれてたんだし、オレが持ってくのも変だし、不良がセンコーに提出物渡しにくるとかねぇな”
と考える松野くんに、

(たしかに。不良と職員室は結びつかないものの代表かも。でもちゃんと課題を出す不良もちょっと変だよ、松野くん)
と笑う。

「後はよろしく」
「ありがとう」
と言ってノートを受け取った。

(今日は失敗したけど、松野くん悪い人じゃないし、なんとかして仲良くなってバイクに乗せてもらいたい)


次の日からも少しずつだけど話すようになって、少ししたら私からも話しかけれるようになった。

「松野くんはネコ好きなんだよね?」
「好きだけど」
「じゃぁ××川の橋の下に最近ネコのきょうだいがいるの知ってる?」

この間急に心の声で”川”と言い出した松野くんの心の声を頑張って拾っていたら発見した話題。

「あ、知ってる。オレよく餌やりに行ってるし」
「そうなんだ。私もたまに見に行くんだけど、会ったことないね」

(まぁ昨日初めて見に行ったし、会わないのは当たり前なんだけどね)

「夜に行ってるからな」
「そっか。私も夜行ってみようかな」

(夜に行ったら優しい松野くんのこと。きっとバイクで送るよ、とか言ってくれるはず!…言ってくれないかな?)

そう思っていると黙っていた松野くんの心の声が聞こえてくる。

”え?それは会いたいってこと、なのか?”

(そうそう!会いたいんだよ、君のバイクに!)

そう思って期待を込めた眼差しで見つめるけど、
「よ、夜は危ないからやめとけ。それなら今日学校帰りに行く?」

と言われてしまう。

(ちがう…学校帰りに行ったらバイクないじゃん…)

とりあえず次の機会を待つために
「あ…えっと、今日はやめとこうかな」
と答える。

(うーん…どうしたものか…)
松野くんから目を離して窓側を向いて悩んでいると、
”なんかオレ、ダメだった?”
と松野くんが気にしていた。違うと否定したいけど、話しかけられていないので答えられなくてモヤモヤする。

”まぁ今日はどうせ集会でそのあと場地さんとバイクで流す予定だし、あいつらんとこ行けなかったから仕方ないか”

すると聞こえてくる彼の言葉に何!?となる。

(つまり!今日の夜会えばひょっとして乗せてもらえる可能性がある!?)

(だけどしゅーかいって何?不良の集まりのこと?どこでやってるんだろ…それもわくわくしそうで気になる…)

場所を聞かないと偶然を装って会うこともできないので、ここは意を決して松野くんの方を向く。

「あの…またとーまんのこと聞いてもいい?」
「え?いーけど…」
「とーまんって渋谷を締めるチームって言ってたけど、何人くらいいるの?」
「100人くらいかな」
「え!100人もいるの?…すごいね」
「別のチームとやり合って大きくなってくから。どんな敵もオレら一番隊がシめるし」

”場地さんに逆らう奴はオレがブチのめすしな”

(出たバジさん。松野くんバジさん大好きだな

そう思いながら
「場地さんと松野くんはいいコンビなんだね」
と言うと、松野くんは嬉しそうにする。

”なんか気まぐれなとこもネコみたいで悪くないんだよな”

(ネコ?私のことかな?私って気まぐれ…?心の声が聞こえるからそんなふうに見えるのかも…気をつけないと)

うまく話しかけないと、と目をキョロキョロさせて次の質問を考える。

(なんとかして聞き出さなきゃ…)

「チームみんなで集まったりとかするの?」
「たまにな」
「100人とか入れる場所あるの?」
「武蔵神社の境内でやってるけど」
「神社なんだ。なんか神社で暴走族の集会ってシュールだね」

(よし!武蔵神社!やった!)

そこでチャイムが鳴り授業が始まるのでお互い黙って会話は終わった。

授業中に松野くんからまた心の声が聞こえてくる。

”いばら姫とか言われてるけど、やっぱり全然いばらじゃないんだよな。さっきのきょろきょろしてるところとか、もしかして…”

(え!?な、なんか変だったかな?まさか心の声が聞こえてるってバレた?)

焦っているとそのタイミングで先生に当てられて、どこを答えたらいいのか分からずにあわあわしたら先生に注意されてしまった。



放課後、夜の集会にお邪魔することは決めていたので、それまでの時間潰しに例の川のネコに会いに来た。

なけなしのお小遣いでネコ用のごはんを買っていくと、昨日は見知らぬ人間に毛を逆立てて警戒していたのに、ご飯を持ってると見ると擦り寄ってきた。現金なやつらめ。

(まぁでも今日は君たちをダシに使っちゃったし。話題提供ありがとう。これはワイロです)

ご飯を置くとネコたちは美味しそうに食べる。うん、ネコも悪くないな。そう思って川岸を後にした。

武蔵神社は行ったことがないので時間をかけてゆっくりと向かおう。そう思って早く川を出て、川沿いを歩く。すると向こうから明らかに不良って感じのメガネをかけた金髪坊主みたいな頭の人が歩いてくる。

(不良!何か面白いことないかな?)

そう思って耳を澄ませると、

”日本一の不良になる。緻密に練り上げた計画を実行する”

という声が聞こえてくる。

(日本一の不良!
でもなんか顔つきが怖い。言い方もいやらしいし。なんかわるものっぽいな…)

きっと良くない不良だ。松野くんとは違うんだ。
ついジッと相手の顔を見てしまい、不良にこちらを見られてしまった。さっと顔を背けて早歩きでその場を去った。

その不良が
「…ミョウジ?」
と私の名前を呼んでいたのには気付かなかった。



(迷った…)

武蔵神社はどこなのか。駅の地図を見たところこの辺りだったはず。

ウロウロとしていると、男の人たちの大声が聞こえてきた。

(あ!もしかして!)

そう思って声の方に近付くと、武蔵神社を見つけた。

(わーい!あったあった!よし、それとなく松野くんに会うためにバイクを探すぞ!)

武蔵神社の周りを回っていると、数台のバイクを発見した。

(わー!ちちが乗ってたバイクと全然ちがう。カッコいい。松野くんのどれだろ?)

ジロジロとバイクを眺めるけどどれか分からないので、仕方なくバイクが止められているところの近くの石垣に座る。

(作戦、うまくいくかな?)

そう思って松野くんが来るのを待っていると、変な男の人に声をかけられた。

「おねーさん、一人?美人だね。こんなところに一人でいるとアブナイよ?」
「…」
(え、わ、私?)
普段こんなことないので慌ててしまう。
嫌なことを考えているその人の心の声が聞こえてきて、ものすごく怖くなる。

「無視は良くないよ」
「…」
(どうしよ…)
怖くて動けないでいると、腕を掴まれる。

「ちょ、ちょっとやめてください」
「いーじゃん。どっか行こうよ
「私そんな暇じゃないので」
「嘘だ、そんなところで座ってたくせに」

さらに腕を掴む力が強くなる。
(い、痛い…怖い…誰か助けて)

そう思っていると、神社の中から黒い服を着た男の人が私の手を掴む男の手を捻りあげた。

「いだだだだ!何すんだコラァ」

男は助けてくれた男の人の服を見ると

「トーマン!?」

”ヤベェ、松野千冬だ…!”
と後ずさる。

「テメェどこのシマで女に手ェあげてんだゴラァ」
と凄まれた男はすぐにすみませんでしたと走って逃げて行った。

(ま、松野くん!)

会いたかった人がこんな形で現れてくれて、本当に安心した。しかし松野くんの

”なんでこんな時間に…!”

と言う怒った心の声にしゅんとする。

「オマエ何やってんだ!こんな時間にあぶねーだろ!」

そして実際に怒られて、また先程の恐怖が蘇り、涙が出る。

「ご、ごめんなさい」
「何してたんだ?」
「え?あ、と、塾の帰りで…」

松野くんにバイクに乗せて欲しかったなんて言えなくて、とっさに嘘をつく。

「いつもこんな遅ぇのか?あぶねーな」
「いつもはこんな遅くないよ。今日はたまたま…」
「それならいーけど。…気をつけろ」
「う、うん。ごめんね。助けてくれてありがとう」

(助けてもらえてよかった…怖かった…)

目に溜まっていた涙がついに頬を伝って流れた。

「ごめん。強く言いすぎた」
と謝ってくれる松野くんに嘘をついている罪悪感と先程の恐怖で涙が流れる。

「怖かったぁ」

そう言う私に松野くんは
「泣くなって」
と言いながら涙を指で拭った。

(え、え…?)
これは一体…と焦っていると、

「おー、千冬。ダイジョーブか?」

と黒髪の男の人が来て松野くんに話しかける。
すると松野くんは手を私の頬から勢いよく離した。

”お、オレ、何やってんだ!?”
(うん、ホントだよ…)

松野くんの行動に盛大に焦って涙はどこかに行ってしまう。

「だ、大丈夫です。こんなとこでナンパしてるやつがいたんでシメときました」
そう松野くんが答えると、男の人は私を見る。
「そいつは?」
「あ、クラスメイトです。こいつがナンパされてて」
「ふーん」

(ひょっとしたら…この人がバジさん?)
黒い服の袖に東京卍會一番隊隊長と書かれてる。
(は!とーまんって東京卍會のことなんだ!)

するとバジさんから
“コイツが千冬の言ってたヤツか”
と心の声が聞こえてくる。

(松野くん私のこと何か言ってたのかな?変なやつって言われてないといいけど…)

「千冬ぅ。今日は無しにしてお前そいつ送ってやれよ。あぶねーだろ」
「じゃぁそうします。場地さん、すみません」
「いーって。じゃあな」

そう言ってバジさんはバイクをふかして行ってしまった。なるほど確かに松野くんの言うとおり。

「バジさんカッケー」
”場地さんカッケー”

私の声と松野くんの心の声が合わさる。

「あの人がバジさんでしょ?松野くんの言うとおりカッケーね」
「…だろ?」

”なんか場地さんを褒められたのにモヤモヤする”

(ええ!?私の褒めたらダメだったかな?あ、もしかしたらバジさんと今日予定あったのに私のせいでダメになっちゃったからモヤモヤしてるのかも…)


「…松野くん、今日バジさんと用事だったんだよね?ごめんね…」
「あー、まぁ場地さんがああ言ってくれたし。大丈夫だろ」

なんだかどんどん罪悪感が湧いてくる。バイクに乗せて欲しかっただけなんだけど、迷惑かけてバジさんとの約束もダメにさせちゃったし…松野くんに悪いことしちゃった…

「…実は塾っていうのは嘘で、この神社で集まりしてるって言ってたから松野くんいるのかなって思ってちょっと見に来ただけだったんだ。本当に迷惑かけてごめんね」

”は!?オレに会いに来たってこと!?…マジか”
「い、いや、ほんとに大丈夫。」

その後の松野くんの反応を見るとそんなに怒ってなさそう。よかった。

「もう遅いしオマエんちまで送るわ。家どこ?」
「あ…ありがとう!場所は…」

(や、やった!申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、ついにバイクに乗れる!)

松野くんがヘルメットを渡してくれてバイクの後ろに乗る。
「危ないから捕まってろよ」
「うん!」

ぎゅっと松野くんに掴まると、松野くんの心の声が響いてくる。

”こ、これはもしやミョウジさんの…胸、なのか?”
(…)
松野くんからスッと離れる。

”なんで?”
(…)

すると松野くんがバイクを走らせた衝撃で
「わっ」
とまた背中に抱きついてしまった。

(…仕方ない、もんね)
意識しないようにして松野くんに抱きついていると、夜の闇を走り抜ける風がすごく気持ちいい。

「きもちいー!」
とつい声が漏れると、
「だろ?」
と松野くんが笑う。
「うん!サイコー!」

私がバイクに酔いしれていると、
「ミョウジさんさぁ、今日ネコんとこ行っただろ?」
と聞かれる。

「あ、うん…勝手にごめんね」
「いやいーけど。今日は無理みたいに言ってたから」
「あ、ここにくる前に少し時間あったし…まだあの子たちと日が浅いから松野くんばっかりと仲良くされたら寂しいから」
「ふーん」

”こいつやっぱネコ好きなのかな?”

(松野くん、本当にネコのことばっかり考えてる)

すると松野くんが
「うちのネコ、ペケJって名前なんだけど、頭に傷あってさ。スゲェかわいんだぜ?」
と言う。

(ぺけじぇーってネコの名前だったんだ!納得!)

「ペケJ!いい名前だね。いいなぁ」
「よ、よかったら今度見に来る?」
「いいの?行きたい!あ、あとよかったらなんだけどまたバイクにも乗せてくれる?」

とつい別のお願いも付け加えてみると、松野くんが

”ひょっとして本当にミョウジさんもオレと同じ気持ちなのかも…”

と考えている。

(これはもしかしていい流れ!?)

「ん。わかった。このバイクさ、場地さんと見つけたやつをカスタムして走らせてんだよ。結構気に入ってて…」
“怖がるかと思ったけど意外とバイク好きなのか?オレが好きなのミョウジさんも好きだといいけど”
その言葉に私もなんだか嬉しくなって
「最高だよ!松野くんカッケーね!」

(やったー!また乗せてもらえそう!このまま仲良くなってあわよくばとーまんのわくわくを観察したい!)

打算的で申し訳ないけど、なかなか人とうまくいかない私はこのチャンスを逃すわけにはいかない。そう思っていると、

「あのさ、ミョウジさんに聞きたいことあるんだけど」
と松野くんに言われる。

「何?」
「オレ…好きなんだけど…。ミョウジさんは?もしよかったら付き合って欲しい…」

(松野くん、ネコだけじゃなくてバイクもそんなに好きなんだ。松野くん前の時聞かずに誘うのやめちゃったから、今回はちゃんと誘ってくれてよかった)

「私も好きだよ!一緒だね!」

と答えると、
「よっしゃー!」
と大喜びする松野くん。そんなに趣味合う人増えて嬉しいんだ…なんか私も嬉しいな。

「松野くん喜びすぎ」
「そりゃ喜ぶだろ」
「やっぱり同志が多いと嬉しいんだね」
「…は?」
「?バイク好き同志。それでどこに行くの?私はどこでも大丈夫だよ!」
「…」

(ちげぇ!!)
「…え!違うの!?」

(ずっと心読んでたのに何を間違えたの、私!?)





終わり



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ミョウジナマエ

とある世界から、ははの姿で転生してきた少女。超能力者で人の心が読める。そのせいで人とうまく接することができない。しかしわくわくが好きなので、好奇心から松野くんが気になり始める。
ちちのバイクに乗るのが好きだったので、また乗りたくて今回頑張った。
心は読めるが男心はまったく読めない。恋愛スキルはもちろんゼロ。





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