似たもの同士




※灰谷兄弟が年子だとわかる前に書いたので双子設定。夢主出番なし。



「「はぁぁ」」
灰谷兄弟が柵にもたれかかりため息をついている。

「なぁ、あいつら今日変じゃね?」
と斑目が望月に話しかける。
「そうか?」
「モッチー鈍すぎだろ」

望月は置いておいて、確かに変だ。今日は横浜の隣のチームを潰しに行ったが、いつも我先に手柄を取りに行く二人がどこかやる気なく、投げやりだった。オレも気にはなっていた。
するとイザナが、
「昨日二人とも彼女にフラれたらしい」
と答える。
「は?二人同時に?」
「しかも誕生日にな」
「うわー」
斑目は可哀想なやつらー、と笑いながら茶化す。


「「斑目コロス」」
結構離れていたはずなのに斑目の声が聞こえた二人がものすごい目でこちらを睨んでいる。
「こえーな」
と二人のあまりの形相にビビる斑目にため息を吐きながら、このまま放置するわけにもいかないので二人に話しかける。
「事情はわかったが、抗争の最中はちゃんとしろ」
「うぜーな鶴蝶」
「勝ったんだからいいだろ」
とまたため息を吐く二人。

「「いい女だったんだよなー」」

「「誕生日、楽しみにしててねって言ってたのに…」」

「「…」」

「「マネすんな」」

そこから二人の言い争いは始まった。



「オレの女、マジで美人だったから」
「兄ちゃんなんていっつも同じような胸だけのブスつれてんじゃん。オレの彼女はモデルでもおかしくないくらい綺麗だった」
「は?オマエこそケツだけのまな板連れてんだろ」
「あいつは胸あったし」
「竜胆くんのあるは、オレにとっては無いのとおんなじなの」
「竜胆くん言うな。あいつは胸もケツも最高だったんだよ」
「だからオレの女と比べたら残念って話。あいつは目がデカくてチワワみたいに癒し系だった」
「そんな女いたらキモいだろ。オレの方こそタレ目で気が弱そうに見えるのに芯はしっかりしてるいい女だったんだよ」
「気の弱いタレ目なんて上目遣いしとけばそう見えるだろ。大体そんな女に芯はねぇ」
「見てもねーくせにオレの女語んな」
「もうオメーの女じゃねーだろ」
「兄ちゃんだってフラれたくせに」
と二人で一頻り言い合ったあと、お互いの傷口を抉ったことに気付き、
「「…はぁ」」
とため息を吐く。

「「いい女だったんだよな」」

「「…」」

「竜胆はいいよな?オマエの趣味はそこらへんにいそうな頭のカルイ女だからすぐ見つかるし。オレは話についてこれる頭も良い女がいいからなかなかみつかんねぇんだよ」
「兄ちゃんこそいつも蘭ちゃん蘭ちゃんうるさい媚び売るしか脳のない女連れてんじゃん。その点オレは人の話を聞ける気遣いのできる女が好きだから」
「蘭ちゃんは別にいいだろ。どうせオマエの女なんて大した特技とかないだろ。あいつは料理がスーパー得意で、オレの好きな飯なんでも作ってくれたけど」
「兄ちゃんの好きな料理なんてどうせどんな女でも作れるような簡単なやつだろ。それに引き換えあいつは和食だけじゃなくて洋食も中華もイタリアンもなんでも作れて、ハイパー料理得意だったし」
「は?オレの好きな料理お前知ってんの?」
「どうせカレーとかだろ」
「ちげーよ。カレーは好きだけど」
「じゃぁなんだよ。カレーはうまいよな」
「オレの好きな料理は…」

クソどうでもいい!!!!!
なんでオレらがお前らを振った女とお前らの好きな飯の話をいつまでも聞かなきゃいけないんだよ、とそろそろ全員我慢の限界がきていた。それなのに何故かニコニコしながら話を聞き続けるイザナ。
「で?」
と話の続きを聞こうとする。やめろ。

「あいつは抱き心地も最高で体が柔らかいからどんな体位でもできた」
「兄ちゃんマニアックだからな。まぁオレの女もふわふわでオレの寝技でキメると苦しそうにしながら喘いでるのが最高だった」
「締め具合も良くて、何回ヤってもキツかったな」
「あいつの中せめーから入れるとすぐにいっぱいになって苦しいって言ってたっけ」
「あと胸はでけーのに乳輪が小さくて感度が良くて可愛かった」
「小さい乳輪の内側にある黒子が可愛くてそこ何回も舐めるとくすぐったがってかわいかったんだよな」

…。なんだか二人が同じことを言っているような気がするんだが…もしかして…と思い始めると、空気を読まないイザナの声が響く。


「で?そいつの名前は?」
「おいイザナ」
そこは触れてはいけないところだ。

「「…。ミョウジナマエ」」

「「は?」」

二人は同じ名前を呟くと、お互い顔を見合わせる固まる。
しばらくして急に二人で前を向き、
「行くぞ竜胆」
「オウ」

と行ってしまった。






「イザナ、わかってて聞いただろ」
「あいつらの話聞くの飽きた」

「つまり…」
「どういうことだ?」
事情の飲み込めない斑目と望月にイザナが説明をする。

「あいつら同じ女と付き合ってたんだよ。誕生日が同じだから約束が被って、どっちかに行くわけにもいかず、逃げたんだろ」
「うわー、なかなかやるな」
と斑目が言う。


「しかしあいつらどこに行ったんだ?」
と望月が聞くと、イザナは笑いながら
「聞くまでもねーだろ。その女のとこだよ」
それで察した斑目が
「今頃3Pか」
3人で付き合えばいいだろー、とか言ってんのかな、リアル穴兄弟とかウケる、と斑目が笑い出すと、望月が思い出したように言う。
「しかしあんなに言い合いしてたのに何も言わずに歩き出すなんてな」
「同じこと考えてたんだろ」
「あんなにお互いの趣味貶しあってたくせに同じ女に惚れるとか」

ほんとあの兄弟って…と斑目と望月が顔を合わせて言う。

「「結局似た者同士だよな」」


「しかし灰谷兄弟を振り回すとはヤベー女だな」
「でもオモシレー女だよな」
斑目の戯言にイザナが笑いながら信じられない発言をする。
「これ以上めんどくさくするのはやめろ」
とは言ったものの、イザナが聞くはずないので、今後の展開を考えてため息をついた。






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