○石丸提督の執務室○
「――む？ 時報の刻限では無い筈だが僕に何か相談かね。いいだろう、込み入った話なら向こうで聴くとしよう――……なに遠慮は要らないさ、此処は僕の鎮守府だ。提督たる僕にどうにかならない案件など殆ど無いのだからな。うん、……素敵なものだよ、きみが巫女などという万人から求められる立場でなく、ただ僕のみを恭順する対象として生きてくれるこの環境が。僕が求めていた世界とは、存外このようなものだったのかも知れないな。どうか出来るだけ長く、この任務が解かれないよう願うばかりだ。深海棲艦共には根性を見せて貰わねばなるまいな、僕が公然ときみを手元に置いておけるこの至福を続けるためにも。……む、…如何したのだ、……怖い？ ハッハッハ、何を言っているのかね！ ――元来見ることはない筈のこの場に居合わせたきみが悪いのだ、本来はまだ見せないでおこうとしていた心算であったというのに」
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