text (おあそび) | ナノ



「っはあ、笑った笑った……それにしても見事に同じものふたつ。どうします?」
「あたしとしては、既にお二人にあげたものですからお二人のいいように使って頂けたらと思うのだけれど。――ほら、何方かとお揃いで持つとか。ねえ、響子さん」
「……ひとつ、あの人に渡せと? 冗談じゃない」
「じゃあわたしが持ってる霧切さんのぶんを今からお渡ししてきますね、ブレスレットを! 学園長のポストに! しゅーっ!」
「あらあら。超エキサイティン!」
「此処で私とリアルバトルを目論むという事ね、いい度胸じゃない舞園さん」
「ギブ! ギブです! ふにいぃ!」
「まあ。まだ触れてもいなくてよ、さやかさんたら」
「と、言うか。……私にそのつもりがなくたって、品の提供者が推薦するならそうするのが妥当だという事くらいは、分かっている心算なのだけど」
「(ツンデレですね)」
「(ツンデレよねえ)」
「――まあ、私に負けを認めて霧切の名に謝罪するまでは生き永らえて貰わないと困る訳だし。いいのかもね、幸運石」
「うふふ、素直じゃないのだから。――さやかさんは如何されるおつもり?」
「わたしはですね、自分で二つ付けます。重ね付けで効果の累乗を狙っていきます!」
「誰かに渡さないの? 自分は私に勧めてきておいて」
「渡さないですっ。変に勘ぐられちゃってもいやですし、迷惑掛けちゃうかも知れないじゃないですか。お父さんにはちょっとこれは可愛らしすぎますしね……えへへ、これ、わたし、私服ロケのときにぜーったい付けますから。チェックしててくださいよねっ」
「ええ、勿論だわ」

「それで――白雪は、どうするのかしら」

「あたし? そうねえ……」
「(あ、後ろですっごい無言で存在をアピールしてくるひとがいる)」
「(エア「僕を呼んだかね!」を発動している人が居るわ。白雪は気付いていてこの対応なの?)」
「響子さんの件で思ったのだけど、何方かとお揃いで持つのって素敵よね」
「(あ、すっごい頷いてる。すっごい頷いてますね白雪ちゃんの背後で)」
「――それって、白雪の場合は誰を相方にと想定しているの?」
「いまパっと浮かんだのは、一期上の先輩ね。とても可愛らしく聡明なかたなのだけれど、――愛を護り穏やかな友情を築く、のアメジストと聴いたらこう…なんだかシンパシーを覚えてしまって。こう、一緒に頑張りましょうね……じゃないのだけれど、うん」
「(ここここここ怖い! 石丸くん無意識ですかね目から光が消えてますけど!)」
「(日頃ただの賢いチンパンジーだとしか思っていなかったぶん普通に戦慄を覚えるのだけど。気付いて頂戴、白雪)」
「でも、多分お渡しして彼女が『えへへ、白雪ちゃんとお揃いだねぇ』なんて仰った日にはあたし次の瞬間何者かの手によって粉微塵にされていそうだし、諦めておくかしら」
「(光戻ったー?! 怖いのか単純なのかどっちかにしてくださいよお)」
「(大和田君が「最近の兄弟は単なる熱い男じゃねェんだ正直ちっと怖ェ」って言っていたのはこの事? ちっとどころじゃないわよよく見なさいよ)」
「でも、女性らしい意匠だものねえ。流石に殿方にお渡しするわけには――あら。着信……ごめんなさいねお二方、ちょっと失礼するわね」

「(ほ! なんとか石丸くんの居る場で白雪ちゃんに結論出させるのは回避しました。あの様子じゃ間違いなく男子である石丸くんにはブレスレット渡りませんからね…)」
「(最善は、舞園さんと同じく白雪にも重ね付けを推奨することかしら。次善は、同じセットをもう一組だけ購入して私・舞園さん・白雪でいっそ三色ひとつずつ所持してしまうか――って、え?)」

「(可笑しいでしょう、なんで当然のように白雪ちゃんのあと着いて出て行っちゃうんですか委員長! 白雪ちゃん今からお電話するんですよ? また戻ってくるのに)」
「(▽スキル:観察眼)――!!!」







「(ああああああ石丸くん後ろ手に自分の携帯持ってるー!!)」
「(白雪の携帯鳴らしたのあなただったのね……!)」



「そ、其処までして……其処までして欲しいんですか白雪ちゃんのお揃い……!」
「……些細なことだから猶更、其処に拘泥する様に狂気を感じるわね」


//このあとやんわりと壁ドンされるけど特に狼狽もせず「ええ、じゃあ差し上げるわね」とかナチュラルに返してしまう巫女である。Tgの風紀さんは甘く切なく唐突にヤンデレる系の思い詰めなくても何やらかすか分からない系ダンスィ