text(5☆) | ナノ

「おっ、桑田っち。はよーさん」
「……くっそ眠ィ。無理。つらみ」
「あーっ桑田と葉隠もやっぱ呼ばれてたんだ! よかった〜」
「よかった、私たちだけじゃなくて」
「このメンツが揃うっつーのは大体予想できたべ、中間テストのケツから4人」
「やんなるわーイインチョのお節介。ほっとけっつーの」
「戦刃ちゃん、結構本気で逃げてたのに最終的に捕まってたよね……石丸って何気に凄いのかも」
「……指揮官は、単に指示を執るだけじゃなくて隊員より強く在るほうが求心力が増す、から。多分だけど、彼は軍属に向いてる…と思う」
「どーでもいいわ! っつかアイツ基本的にウゼーっつうのな、前のガッコじゃ生活指導のセンセすら最終的に黙らせたオレの粘り腰もぼちぼち限界よ」
「桑田っちたちのバトル、俺らは毎度楽しみにしてっかんな。生活点検日のエンターテインメントだべ」
「そもそもその点検日とやらもオレらしかやってねーってよ?! 左右田センパイとか花村センパイとかいーよなー、あんな自由なカッコしたりイロイロ持ち込んだりしててよー」
「いや、あんた普通に自由なカッコじゃん……」
「本気のオレはこんなもんじゃねーんだよ! 石丸がマジでうるせーから制服の形だけはとりま留めてっけど、折角高校デビューにっつって奮発したアクセサリーが腐っちまうっつーの」
「休みの日に着けたらいい、んじゃない…かな。私服なら文句言わないよ」
「なんだかんだでお前らが普通にアイツを受け入れてんのもワケわかんねーから!」
「石丸っちなあ……あ、学級行事でおれにまで係振ってくんのはリアルに迷惑だべ! 働きたくねえからな!」
「サボり防止に決まってんじゃん葉隠のばか! ……うーん、私は特に不満とかないよっ。有栖川ちゃんと付き合うようになってからなんていうか、こう、雰囲気柔らかくなったよね! 新作ドーナツのポンデモフモフみたいに!」
「……盾子ちゃんとか舞園さんみたいな忙しい人でも、ちゃんとクラスの行事に参加できるよう考えたり、とか。そういうの見てると、すごい気配りだな…と思う、かな」
「夏のお好み焼きパーティーに十神っち引っ張り出して来たのはファインプレーだったよなマジでよ! あれからなんだかんだで全員揃うようになったしよ」
「でもセレスとか腐川とか露骨に鬱陶しそうにしてんじゃねーか。暑苦しいっつって」
「あ、それは否定しないよ? ちょっとは変わったけど石丸は今でも普通に暑苦しいよ?」
「うん。この時期は暖房が要らなくて助かる……よね、あ、あと声も大きい。煩い」
「有栖川っちは石丸っちと四六時中一緒に居るっつうのによく耐えられるよなァ」
「だろ? だろ? ほら!」
「じゃあ桑田は石丸が嫌いなの?」
「えっ」
「……嫌いなわりに、こうして彼が強引に取り決めた補習には出てくるんだ…桑田、えっと、律儀?」
「いや、別にそんな、あーモチ昔はチョー嫌いだったぜ?! 努力botかよっつって」
「成程なァ。昔は。……そんじゃ桑田っち、今は昭和レトロな友情に目覚めちまったっつーことだべな! はっはっは」
「やめろっつーの気色悪ィ! あいつ皆がそんなして持ち上げるほどスゲー奴じゃねーだろうがよ! ウゼーしウルセーししつこいし面倒くせーし努力botだし有栖川ちゃんの風紀乱しまくってるくせになんっかそれ以外じゃクソ真面目だし授業中やたら張り切るし行事全部仕切るし挨拶マシーンだし有栖川ちゃんに対してこえーくらいキモいしィ!!!!」

「でもでも、桑田」
「あ? ンだよ朝日奈……っあ! 戦刃テメー! 返せよ!」
「……これ、えっと、緑茶。未開栓、の」
「んー? 桑田っちそれ飲むんか? さっきコラコーラも買ってたべ」
「あ゛――――――オメーらもくっっっっそウゼェなもー!!!! べっつに何もねーわ!!! 恩着せられっぱなしじゃカッコワリーだけじゃねって思ったンだっつーの!!!!!」
「うわー私たち差し入れとか思いつかなかったや、桑田やっさしー」
「うっせーわ! ただただうっせーわアホアホアホアホアホァア!!!!」


・正義の味方はあてにならない

//20161214


「――あらあら! 清多夏さん、きっと喜ぶでしょうねえ。うふふっ」

「む。白雪、どうしたのだね」
「いいえ、なんにも。それでは仰せ通り、2時間後に参りますわねえ」
「わざわざ済まないな、休日だというのに」
「とんでもない、あなたのお役に立てるなら願ったりなのだから――簡単な朝食程度しかお出しできないけれど」
「宜しく頼む。……むぅ、きみの手製の食事を彼らに振る舞うのはなんとなく口惜しいが、矜持は大きく持たねばなるまい」
「偉いわ、よしよし。すてきな心遣いだと思ってよ――それでは先生……じゃないわねえ、うふふ。委員長どの、行ってらっしゃいまし」