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03


Interval 1:ゲームセンターにて


「何だあの人だかりは、タレントでも来てンのか」
「ちがいますよ。あれはですね、音楽ゲームのギャラリーです」
「はあ。つまりアレか、上手い奴がやってんのを見てる訳か」
「そうです。……あの、あたしも、一回だけ、やってきたいんですけど」
「一回だな。よし、待っててやるからさっさと済まして戻って来い」
「え! マルコさん、着いてきてくださらないんですか?」
「こんな喧しい中にゃ五分も居られねぇよい」
「うう……お待たせするのも心苦しいですからやっぱりいいです」
「ああもう分かった分かった着いてってやるから」

「お、あの子なかなか上手いじゃん」
「後で声掛けてみよーぜ、見たとこ一人っぽいし」
「――残念だが、保護者付きだよい」
「「!!」」

「あー、何処に行ってらしたんですか! 急に居なくなっちゃうから心配しましたよー」
「ちょっとその辺に、な」
「なんか面白いものでもありました? …ううん、それにしてもあたしのプレイにはやっぱりギャラリーは付かないんでしょうか。寂しかったです」

(誰もお前を見ていなかったか、それは良かった。)





「……と、とれない……」
「こう、アームの片側だけ引っ掛けるようにして傾けんだ」
「こ、……こんな感じ、ですか、……っあ、――あーあー……」
「惜しかったな。もう気が済んだろ、諦めて帰ンぞ」
「両替」
「?」
「両替。これ、くずしてきてください」
「……ちょっと一回、代わってみろい」

「ほら、これだろ?」
「――っ、ひっ、ひどいですっマルコさんの莫迦!!」
「はあ?」

(自分で取ることに意義があるに決まってるじゃないですか!)
(……付き合ってられっかい)





「あ、記念にプリクラとか撮って行きませんk「置いてくぞ」

(そんなに避けなくたっていいじゃないですか、写真ほしいです)
(四六時中一緒に居といて、写真なんざ眺める必要ねぇだろ)


//20161122 Rewrite.


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