text (しつもん!) | ナノ


( 2 )白雪ちゃんのパーツで一番好きなのはどのパーツですか?

 ふむ、――難しい質問だな。

 彼女、有栖川白雪を構成する要素のひとつひとつが至高に魅力的であるということは今更言うには及ばないし、かと言って僕が白雪を愛する理由はそのひとつひとつ自体にあるのではなく、そのすべてを集約した存在としての彼女にこそ在るのだ。とは言え、その一部分に絞って見るにしても彼女は十分過ぎるほどに僕を惹きつける。どう答えるのが理想的だろうか……。

 陽の光を受ければ暖かさを、月の光を受ければ静謐さを湛える緩やかに凪いだ水面のような髪も、潤んだ紫水晶の瞳も、白魚のような滑らかさと可憐さを思わせながらも日々ペンを握るなり僕に料理を振舞ってくれるなりと非常に器用に働く手指も、慎ましやかな丈のスカートをたくし上げて見える円い膝も、ころりとして愛らしい爪の形も、すべて愛しいと思う。
 だが、――うん。やはり、僕が一番この手で触れて愛でている一部を挙げるなら、頬……に、なるだろうか。水蜜桃のように瑞々しい白雪の肌が描くまろい稜線、花が恥じらうように薄らと色づいた赤さ。僕などの未熟な語彙では到底表現し得ないほどに魅力的だと常々感じている。……それから、水気をよく含んで仄かに甘いのも水蜜桃によく似ているな。桃に頬擦りをすると産毛が刺さってたいそう酷い目に遭うが、白雪に頬擦りをするのは至福の時間だ。柔らかくていい匂いがする。少し熱を持つと猶更心地よい。

 ――嗚呼、それから。身体の話で思い出した。白雪本人は平生から胸囲について密かに気に病んでいるようだが、僕としては現在の彼女のサイズをまっこと好ましいものと捉えているぞ。背後から見下ろすときのなだらかな丘のような慎ましさは見ていて心が落ち着くのだ。此処は僕だけの場所だ、という意識はたらくというか――僕はさっきから何を言っているんだ――…と、……兎に角。あれで手触りも実に良い。頬も二の腕も同じくらい柔らかいので白雪の身体はどこを取っても非常に離し難くて…むぅ、いけないな。ああ、感触で語るのであれば太腿の内側もなかなかに惹かれるものがある。
 舌も好きだ。猫のそれのように淡い桜色をしていて、少し短いのかな……白雪は平生なんでも器用にこなす女性だが、舌はあまり器用に扱えないらしい。よく噛んでいるな。それも愛らしいうえに、どう形容すべきか、……うん、甘いんだ。吸うと甘い、気がする。

 あまり長くなり過ぎても事だと判断して要点だけ簡潔に挙げさせて頂いたのだが、これで大丈夫だろうか……? 不足であれば各々十行ほどずつ注釈を入れるから遠慮なく言ってくれたまえッ!
 む? なんだろうか霧切くん――ん? 長すぎる? ははは、冗談は程ほどにしたまえよ!





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