text (しつもん!) | ナノ


( 1 )正直霧切さんのこと好きですよね?

 もっちろんです! だって大切なお友達ですもん当たり前じゃないですか。……え、そういう話じゃなくて、ですか? いえいえ、普通に大好きですよ?

 霧切さんは普段、わたしとか白雪ちゃんと一緒に居てくれることが多いからみんなからはツッコミ役だって思われてると思うんですけど、実はあれで結構抜けてるところも多いんですよ。この間だって水筒の中蓋閉め忘れて鞄に入れてきちゃったみたいで鞄の中びっしょびしょにしちゃってたりしましたし。あっあと、購買でジュース買うときにいちごミルクとチョコミルクどっち買うか10分悩んだ結果どちらも買って帰ってきたこととかもあります。片方わたし貰っちゃいましたけどね!
 見たとこクールですしこう…高嶺の花! って感じで近寄り辛いのかなーって感じですけど、実際たぶん全然そんなことない、と思いますよ。クラス始まったときはそれこそわたしも白雪ちゃんも――あ、わたしたちは結構早いこと打ち解けたんです、勿論白雪ちゃんを名前で呼ぶようになったのも断っ然わたしのほうが石丸くんなんかより早かったんですよ?――話しかけていいのかなーって思ってたこともありました、でもよくよく考えてくださいよ。あんなにきれいでかわいい女の子とお友達になりたくない訳がありますか? ありませんよね? お友達にならなくていいんですか? よくないじゃないですか? ね? そういうわけで時に疎んじられつつ時にどつかれつつでも一緒に居て、結果いまに至っています。……え? 時に疎んじられつつ時にどつかれつつって当初から変わってない、って? そうですねー、えへへ。そんなこんなで今では自慢のお友達なんですからっ。

 霧切さんには、わたしでも白雪ちゃんでも触れることが出来ないすごく繊細な部分があります。そういうことって直接は聞いたことはないんですけど、でも、きっとあるんだと思います。お休みの日に一緒に外出するときにも、楽しい水泳の授業でも、手放すことがないあの黒い手袋――の下についてはわたしたち、知ってはいるんですけど――みたいに、深淵の部分があるんだろうなって。
 でも、わたしも白雪ちゃんも、それを無理に聞き出したりはしないでおこうねって暗黙に了解し合ってるんです。なんでもかんでも話し合って打ち明けることが真の友情、とは限らないってわたしたちは考えていますから。だって、そんなことゆったらわたしだって二人には話してないことって結構ありますし、白雪ちゃんだってきっとそれは同じで。――だから、わたしたちはわたしたちに出来る方法で、霧切さんのこと安心させてあげられたらいいなって思いますね。クラスで楽しく遊んで、お休みの日も楽しく遊んで、えっと……あ、もちろん卒業してからも楽しく遊びます! うふふっ、そんな感じで多分、いいんじゃないかなーって。

 霧切さんのことはそんな感じでだーいすきです。勿論、白雪ちゃんも。もっと広くとるのであればクラスの女の子たちのことも、苗木くんも、お友達はみんな大好きですよ。
 そうじゃなくて? ――ごめんなさーい、その質問、アイドル聞こえませーん☆


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Tg舞園さんはノーガードに見えて実は隙のないタイプです




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