text (しつもん!) | ナノ


( 3 )巫女様がどんな格好でもしてくれるとしたら、どんな服を着させますか?

 なッ?! 破廉恥ではないか、女性の衣服に関してやれ好みだ好みでないだ、そのような話題は健全たる学生生活には無縁であるというのに! 君たちは一体僕に如何様な返答を期待しているというのだね! 呆れてものも言えないな、まったく……。

 勿論、女学生としてあまりに相応ではないと思わしきものについては僕とてはっきりと「それは宜しくない」と指摘するさ。白雪が、清楚で可憐で繊細な僕の白雪が、それこそ江ノ島くんのような極端に丈の短いスカートを履いたりしてみろ、何が起こるやら知れたものではない。純然たる風紀のためにも僕は常に白雪のスカートの丈には細心の注意を払っているぞ――まあ無論のこと、彼女に限っては斯様に乱れた服装など平生は在り得たためしがないのだけれどな。僕は白雪の膝の形と幼い赤みが非常に愛らしいと思うので、寧ろもう少しくらい丈は短くしても機動性や風紀面を損なう事はないのではないだろうかと常々提案している。否、済まない。話が逸れてしまったな。ただ、僕も愛しい伴侶との邂逅を経てこれまでの間にずいぶんと「丸く」なったと言われる所以の通り、昨今の女子学生の中では多少の制服の着崩しは同年代の女子とのコミュニケーションの一環であり個人性の有り様であるとも理解はしているさ。そう、たまになら…たとえば放課後に僕の個室で、というささやかな程度であれば、白雪が平生の折り目正しい服装を少々緩めるくらいは許容したいと思う。ブラウスのボタンもすべて留めていてはもしかしたら苦しいのかも知れないし、規定とはいえ夏場はあまりにスカートを長くしていると暑くてかなわないかも知れない。少しくらいなら――僕の前でなら――開放的な恰好をして貰っても僕はいっこうに構わない。うん。我ながらずいぶんと寛大になったものだと思うッ!
 そうだ、色や形の奇抜なものも白雪には相応しくないな。彼女にはごくごく少女らしさ極まる愛らしい意匠のものがたいへんよく似合っている。桃色に生成り色、淡い色調は所謂「膨張色」というものらしいがこと白雪に関してはもともとが華奢なこともあり却ってその繊細な立ち姿をますます蠱惑的な……コホン、魅力的なものにしていると思う。腰の高い位置からふわりと広がるスカートの丈も慎ましく、保守的な襟元も実に淑女然としていて良い。乙女たるを体現しているかのような彼女の普段着はまっこと僕の好みであると言って申し分ないぞ。ただ。だからといってさきに述べたような極端に個性的な衣服がまったく彼女にそぐわないとまでは言う心算は無いぞ。お仕着せ――現代では既製品の服、という認識らしいが実際のほうの意味合いだ――つまり、西洋で古くから女中が纏っていたような衣裳も最近ではとても愛らしいものが出ていると聞く。山田くんが言っていたぞ、何だったか……メイド服、というものか? 俗っぽいものではないぞ、白雪に着せるのであればそれはもう風紀に則って楚々淑々とした傍目にも美しい仕立てのものでなくてはならないな。ちょっと待ってくれ、調べるから。――おお、これは素晴らしいッ! やはりヴィクトリア朝時代の意匠を凝らしたものが丈も装飾も白雪らしい麗しさで非常に宜しい。ああでもこの巫女メイドとやらも、……フレンチメイドも、……否、…やめ、…よう。うん。

 しかしながらやはり白雪には何を以ても純白だ! これは譲れない。僕は希望ヶ峰に編入する以前に三年弱ほど開成灘のほうに在学していたのだが、其方の制服は白い学ランだったんだ。学校行事などで女子生徒が学ランを羽織って応援団、などという光景は一般的なものであるらしいが、――むぅ…なんとなく僕の心象とは異なるな。こう、白雪に羽織って貰うところまでは同じなのだが何が違うのか……嗚呼! 分かったぞ、ああも勇ましい恰好までは付帯させないでおきたいということか! 応援団と言ったらそれこそ兄弟のような少々雄々しい衣装を纏わなくてはならなくなるものな。うん、僕の学ランは上だけ貸し出したい。スラックスは不要だろう…応援団宜しくな所謂ボンタンなど言語道断だ、サラシも要らない。もう肌着程度で十分なのではないだろうか…この間ちょうど白雪が新調していた、白いワンピース…なんというのだったか……ええと、キャミソール? の、丈が長くて裾にフリルが付いた、あれの上に羽織らせれば丁度いい気がする。白雪の可憐さを損なわないままに僕の理想を重ねることが出来る。なんということだッ、悪いこと無しではないかッ!
 ということでやはり純白が至高だと言わざるを得ない。これはまったくの余談だが、希望ヶ峰では水泳の授業時間に僕を含めて殆どの学生が男女それぞれ指定の水着を着用しているのだが、――その、……学外を訪ねると女子生徒用の白いスクール水着も販売されているという事じゃないか。穢れなき純白が比類なく相応しい存在である僕の白雪がだ、平生の紺色のそれ――も、勿論素晴らしい。水分を含んだ部位の色が濃くなるところが彼女の色素の淡さに相俟って非常に好ましい――ではなく、まるで彼女のために誂えられたかのような純白のスクール水着を纏う。素晴らしいことだと思わないかね! 嗚呼、もちろん風紀的見地から考えれば皆の前で堂々と指定外のものを着用させる訳にはいかないからな、水練場には連れてゆけないな。そもそも僕が堪n…否、彼女の姿を視界に収めることが出来れば問題は無いんだ、やはりこれも僕の部屋でしか許容できないな。

 ――ということだ。
 特に人並み外れた拘りなど持ち合わせてはいないし、そもそも学業と無縁の話題に僕がそうそう着いて行けるわけがないことなど君たちもよく知っているだろう…むぅ、我ながら情けないが。
 学生諸君が恋人の身形についてどういった感想を抱いているのか、……気になるところだな。よかったら次の機会にでも教授してくれたまえ! 楽しみにしているぞ。



勝手に質問を破廉恥扱いしたあたりからTg丸くんのオープンスケベ街道が始まっております
もう注釈するまでもないけど彼は白いスク水に某健康器具とかを試してみたいわけです
 



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