再確認の話
僕は、きみが好きだ。
美しいきみが好きだ。
学業に余念なく、常に僕の隣に座してくれるきみが好きだ。
勤勉なきみが好きだ。
幾ら抱いても清らかで神聖なままのきみが好きだ。
けれど、きっと、それよりもっと。
粘膜が弱いのか、頻繁に鼻風邪をひき鼻の頭を真っ赤にしているあどけないさまや、
100円均一で戯れに購入した漬物が意外に美味なのだとはしゃぐ無邪気さや、
紙コップ式の自動販売機が好きなのだ、かに蒲鉾のおでんを扱っているコンビニがよいのだ、という些細な拘りや、
道を聞かれたら目的地まで自ら案内しなくては気が済まない律儀さや、
人違いで声をかけてしまったらしい相手と暫く和やかに歓談したのち「……ところであたし、人違いをしてしまったみたいで」と遅蒔きながら事実に気付き恐縮してみせるお茶目さや、
寝起きにみせる愛らしくいたいけな笑顔や、
僕の名前を呼んでくれるときの柔らかい声や、
きみが僕に与えてくれるすべての感情を、幸いを、日常を、
そしてきみ自身を、
――有栖川白雪を、愛している。
「……白雪、」
「あら、如何なさったの?」
「愛しているぞ」
「まあまあ! 唐突になにかしら…」
「きみからも、聞きたいのだが」
「んん?」
「白雪」
「もう…愛しているわ、勿論」
ああ、疑いようもなく。
石丸清多夏は、有栖川白雪を愛している。
有栖川白雪もまた、石丸清多夏を愛している。
僕の、何物にも乱されざる前提。
無比の幸い。
//20140201
早いもので、「Twilight gloom」開設から2ヶ月です。
皆さま、いつもご愛顧くださりまことに有難うございます。今後もご贔屓のほど宜しくお願い申し上げます。
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