text (風紀巫女SS) | ナノ
パンツの話


「――こ、これはとんでもないラッキーに遭遇してしまったべ!」
「オイオイ何だァ? どうせまたオーパーツがどうとかワケワカンネーこと言うんだろ」
「いや今回ばかりはマジなんだべ桑田っち、いいからこれを見るべ」
「な…っちょ、葉隠、オイこれはマジでヤベーだろ! マキシマムに性少年のハート射抜いてくるだろコレは……でもよ、実際コレ誰のなん?」
「それは分からんべ。ただこの場に残されていた、それだけが確かな真実だべ」
「やだ葉隠がかっこいい……////」
「うへぇ何だべそのスラッシュスラッシュってのは…なんか召喚する気だべ?!」

「む、朝から脱衣所が騒がしいと思ったら…やはり君たちか」

「うわだべ」
「あ痛ァー……」
「なんだねそのリアクションは! 休日の早朝からこんな所で睦み合っている君たちの姿など僕のほうが見たくなかったというのにッ!」
「いや四六時中睦み合ってんのはイインチョと有栖川ちゃんでしょ…」
「やめるべ桑田っち、今更『地球は自転している』レベルの事実を告げたところで石丸っちが動揺するとも思えねえべ」
「ところで君たち、見たところ入浴しに来たわけでもないようだがここで何を?」
「オレは葉隠にメールで呼ばれて来た」
「何だとッ! まさか本当にここで今から睦み合う気だったのか……ッ」
「それ誰が得するんだべ…いんや、オレも風呂に入りたかった訳じゃねえんだ。ちっとマッサージチェアで昼まで寝こける心算でだな」
「許し難いぞ葉隠君ッ! 君がそうする事で婦女子諸君が昼まで入浴を楽しめなくなってしまうでは無いか!」
「ああああもおおおお話の腰折ってんじゃねーよ進まねーだろ! オメーが片想いしてた時ゴミ箱からこっそり有栖川ちゃんの使用済みマスク回収してたことバラしちまうかんな! 次の日わざとらしく風邪装ってマスクして来やがったけどアレ絶対そういう事だろ!」
「ああ、それは確かに恥ずべき過去だな。こっそり、という点が実に不道徳的だ。今はきちんと白雪本人から許可を得て集めているので安心して頂きたい!」
「うわあ…」
「本人公認のストーカー……斬新な身分に流石のオレもボケ返せねーべ」
「それで、何があったんだね?」
「(変態に仕切られた…)ソイツがここでエラいもん見つけたって言うからよー」
「(変態に仕切られたべ…)これだべ」

▽黒のTバックがあらわれた!


「何と…失くした誰かはさぞ困っているだろうな」
「うわお前もう顔赤くもしないのな…公式のチンパンジーぶりは何処に遣ったんだよマジで……」
「いやでもリアルな話、これってTバックだべ? つまり女物だべ! これは誰のおパンティーなのか究明する必要があるべ! 可及的速やかにな!!」
「それはオメーに同意するぜ、誰かなー…誰ちゃんのパンツかなー……」
「き、君たち…あまりに品性下劣過ぎて僕は既に声を荒げる気力も無いぞ……」
「それイインチョにだけは言われたくないわー…っつか随分と余裕じゃね?」
「む。何故僕がこの展開で余裕を失くさなくてはならないのだね」
「だってよー、昨日の朝とか昼に騒ぎにならなかったっつーことはコレって昨日の夜にココ使った奴のモンってことになんだろ?」
「そして石丸っち、昨日は何の日だったか勿論覚えてるべ?」
「勿論だッ! 昨日は『第○回 78期生はだかのつきあい祭』の開催日だったのだからな。皆で一緒に夕食を摂り、時間を決めて男女ごとに大浴場で親睦を深めただろう」
「男と女、どっちが先だったよ?」
「レディーファーストと迷ったが男子が先だったではないか。そのほうが結果として女子の諸君がゆっくりと風呂を堪能できると思っての判断だったと記憶しているが」
「そ、そうだろ? だからこのパンツは高確率で78期…つまりオレたちのクラスメイトの女子のパンツってことになるだろーが!」
「……嗚呼、成程。理屈だ」
「理屈だ、キリッ! じゃなくてよー、そんなら石丸っちもちょっとは焦るなりハァハァするとかあんべ! だって78期の女子には有栖川っちも含まれるんだからよ!」
「ふむ。それが何か?」
「だーかーらー! この扇情的で且つどこかエレガントさ溢れるこの黒いティーバックはもしかしたらイインチョが愛してやまない有栖川白雪ちゃんのものかも知れませんよねって話だy「――それは違うぞッ!」

b r e a k !


「(カットイン付きで論破してきやがった…)」
「な、なんでそんな自信ありげなんだべ…愛の力とか言い始めたら流石に模擬刀も辞さない構えだべ?」
「なに、単純な事だ。清聴したまえ――

 白雪は基本的に白ないし淡色系のショーツを愛用しているのだ。清らかで且つイノセントな意匠のたいへん少女らしいものを、だ。例えば淡い桃色…ああ、ベビーピンクというのだったかな、それを基調にさらさらした生地の水玉のもので腿のあたりのみ透ける仕様のものや、純白でたっぷりとしたレースがあしらわれている目にも麗しいものなど、日によってさまざまだがどれもすべて遍く僕の好みだ。ちなみに昨日は鴇色の、少し変わったつくりで前の部分にプリーツが刻まれていた。上部は白のレース、黒いサテンリボンが通してあって中央で結ぶ仕様になっていた。――つまり、それは白雪のものではない。……む、どうしたのだね桑田くん葉隠くん」

「だ、誰かあああああ!!! 変態が語ってくるううううう!!!!」
「パンツの持ち主探そうとして御免なさい! 風紀委員長に有栖川っちの話振っちまって御免なさいだべえええ!!!!」


//20130115

「ところで桑田君、葉隠君。それはもしや『支配者のTバック』というものではないかね」
「「あっ……(察し)」」

白夜さまのでした


back