petit petit | ナノ

地元の公園は大変らしい


「白雪、白雪!」
「あら素敵ね清多夏さん、さしずめ堕ちた司祭といったところかしら。素敵な仮装だこと」
「(……まさかの普段着、だと……?! 何故斯様な日に限って後見人(某アイドルなど)は手を抜いているんだ!)」
「とっても格好いいわ。……ええと、御用は何かしら?」
「風紀委員たる者、学内の催事にはきちんと取り組むのが務めなのでね。したがって、僕がこうしてきみにステレオタイプの二択を迫るのは自然なことだし、きみにもそれを受ける義務があるな――さて、お嬢さん。Treat me or I’ll trick you.」
「にっ……えと、お菓子のご用意はあるのよ」
「(あるのか! 数瞬前のたじろぎは何だったんだ!?)」
「これがかぼちゃのパイ、小舟型で可愛いでしょう。其方はチョコレートのパイね。それから、かぼちゃ天と安納芋天。甘いのばかりでは何だと思ってこれがさつまいもチップd「待ってくれ」

「……なぜ斯様に万全の用意をしてしまったんだね」
「だ、だって悪戯こわかったんだもん」
「ちょっとしらゆきちゃんが出てくるには未だ早い刻限だ、いい子だから今暫し我慢してくれーーうん、何故だね」
「さっき、学園長からお菓子を貰えなかったって言って響子さんとさやかさんが」
「……うん。二人が?」
「つい先月買い換えたばっかりだと仰っていた学園長の私用車(※もちろん外車)に消えるクレヨンで壮大なパピルスを描いていらっしゃって」
「悪戯が怖いというかチョイスが怖いなそれは! せめて山田君にイラストを描いて貰う程度で留めてほしいところだ」
「ということで悪戯は怖いからできれば芋天で妥協していただきたいのだけれど」
「(つくづく白雪の地雷が分からない……)まあ、きみが嫌だと言うならば控えるほかあるまい。戴きます」
「うふふ、どうぞ」

 まあ、いい。
 もとより、悪戯に留まるような範疇で満足できるような身の上でもないので。





「……ところで白雪、僕には」
「え? お菓子は此方で用意したぶんがあるし困っていなくてよ?」
「……白雪、そうじゃないんだ、そういうことじゃないんだ……(頭を抱える)」 

※忘れられがちですが有栖川はこれでも宗教団体の人間なのでわりと異教のルーツを持つ文化に疎い
※石丸くんの衣装ですが適宜「ゲーニッツ」あたりで検索して脳内補完オナシャス(元ネタで書き手の年齢が知れるとか言っちゃいけない)

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2016/10/31 (12:24)

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