memo | ナノ



→[返信] /メールお返事(11/14)


 ところが、それは意図せず叶うことになる。
 いつも品よくしゃなりしゃなりと小幅で歩む一条が「あら、」と微かな声を挙げたかと思えばスカートの裾を翻して波打ち際のほうへ向かったからだ。
 上等そうな靴が汚れやしないかと心配しつつ見守る俺をよそに、そっとスカートを畳んでしゃがむ一条。清潔そうな絹のハンカチを取り出して何か拾っているらしい。この間ソニアと何やら話していた星の砂あたりだろうか。

「……何かあったのか?」
「ごめんなさい、突然道を外れてしまって。ええ、これが気になって」
「瓶だな。ん、何か入ってる」

 洋酒の小さな瓶――上品な一条の手によりによって酒瓶なんて、と一瞬思ったが相当古めかしいものらしくアンティークのような風情もあるものだった――の中に、丸められた羊皮紙のようなものが入っている。栓もされていないのに濡れている様子はない。

「ボトルメール、かしら」
「遭難した人が流すようなやつか? この島に流れ着いても何もしてやれないのが申し訳ないな」
「いいえ、日向君。きっとこのお手紙はもっと素敵なものの筈だわ」

 否定というより嗜めるようなニュアンスのそれ。ほのかに微笑の声をさせながら、「だって」と一条はハンカチ越しに摘んだ小瓶を軽く振ってみせた。

「見えますか?」
「ん? 手紙の他に何か……これは、種か?」
「説明書きは無いから分からないけれど、きっとそう遠くない何かだと思うんです。……ふふ、なんだかロマンチックだと思いません?」

 ただ物静かで瀟洒なだけではない、俺が気になってやまない一条の素の姿が垣間見える。
 長い睫毛で縁取られた大きな瞳はきらりと生きた光を湛えていた。

「知らない誰かにお手紙を書く、なんて。どんな気持ちなのかしら――お返事ができないことだけが、そうね、申し訳ないけれど」


 *


 今回は用件だけにしようと思ったのに「でもそれだけじゃ味気ないよな」という謎のOMOTENASHI精神と「一度ひなみや書いてみたかった。後悔はしていない」などとのたまうテロ犯の供述が相俟ってなんか謎のまえがきが……申し訳ありません……

 此方こそ日参していたというのに!(迫真)
 やっぱり頂くお手紙の文面一つとっても上品で、言葉に女性らしい香りが漂うような素敵な文章で「これあたし一人で貰っちゃっていいの……?」と毎回動揺しております。ゆめ要素は勿論のこと、やっぱり文章自体が美しいと読んでいて満足感がありますからね、個人的にも心がけて精進すると共に今後も貴宅の珠玉の作品をたくさん拝読して勉強していきたいなーと思っております(*`・ω・)
 あとあたしよく感想お送りした皆さま方に「褒め過ぎ」って言われるんでもう諦めてください、申し訳ない……お嫌でなければそのまま受けとっていただけると送り手冥利に尽きる感じです。超夢女子級の図書委員(感想書くのだけは得意、的な意味で)を目指していこうという次第です。心の中にイタリア人男性が住んでるんだと思います。でも多分いちみさまの中にもイタリア人男性住んでる気配しますよ…蕗、自分がひとに言うわりにひとから褒めてもらえること皆無に等しいんでほんと「うわあこの御方ほんとにうちのテキスト読んでくださってるんだ……!」ってありあり分かるお褒めの言葉いただけちゃうとガチで動揺します。文字書きは文体褒められると嬉しい、ってあれ真理だと思います(しみじみ)。いただけたお言葉に報いることができますよう、あたし今後も張り切って自分とこ更新して貴宅にも感想届けにいこうと思いました(*`・ω・)イタリア人男性レベルのより高みを目指すぞ!

 ご自身でも絵を描かれる(しかも超絶技巧)神絵師さまに絵を捧げるってめっちゃ緊張するやつだったんですが、……まさかお持ち帰り頂けるとな……?! えええ申し訳ない、光栄です! どうぞ貴宅の最下部に「Trash room」とか「garbage」とかってコンテンツ作っていただいて放り込んでおいていただければと思います。確かデコヤにゴミ箱のアイコンあったと思います(具体的)。
 よろしかったら是非また何か、今度はきちんとひなみやで三次創作させていただけたら嬉しいなーなどと思っております。

 ということで返信不要にて用件のみ(必死で削った)にて失礼致しました、今後とも何卒宜しくお願い致します〜!
 短篇は更新都度わーわー感想言いにいきますねってだけ犯行予告しつつ。長編は一章完結ごとにいこう! ふふふ楽しみ!



11/15 (23:54)


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