スーーーッ


扉を開けて、俺(姿はブンちゃん)とブンちゃん(姿は俺)はバレないようにそろそろと教室に入る




しかし、先生はすぐに俺達に気付いたらしく



「テニス部揃って仲良く遅刻か?丸井、それから仁王」



と呆れながら言う


「すいませーん…」



ブンちゃん(姿は俺)は腰を低くして謝り

俺(姿はブンちゃん……、ってもうええか)は先生を無視して席に座ろうとするが



ブンちゃんに小声で「お前も謝れよ!」と言われたのでとりあえず謝っておいた



それから座ったブンちゃんの席は1番後ろの右端、隣には…



「雅治はいつものことだけど、丸井くんが遅刻ってのは珍しいね」



とにっこり笑う純子



……俺が今回の席替えの時、どれだけコイツが羨ましかったことかおわかりじゃろう



「そうだな」



とブンちゃんっぽく返事をして、純子をさりげなく見る



純子の視線はもう俺からは外れていて、その優しい視線の先を辿れば



「………」



中身はブンちゃんな俺がいて



少しだけ複雑じゃけど、嬉しい気持ちになる








視線の先にあるもの






放課後になり、ブンちゃんと相談をしようと立ち上がる



すると教室に大量の女子が現れた



「……プリッ」



これから起こることを考えると思わずうんざりしてしまう


何故なら彼女たちの目的は、ブンちゃんにお菓子をあげることだからだ



ブンちゃんと入れ替わったためにその役目は俺に回ってくることになる




「丸井くん!
今日は手作りしてみたの!」

「わたしも!」

「丸井くんなら全部食べてくれるよね!?」



一気にまくし立てながら次々とお菓子を押し付けてくる女たち


……ブンちゃんって、大変じゃな




俺がブンちゃんにお菓子を恵む会に囲まれて身動き出来ないでいると、



「雅治、ちょっといいかな?」



という純子の声と、



「おっ、おう……

じゃなくて、ピヨッ?」



というブンちゃんの不自然な返事が聞こえた










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